
【働き方改革】採用に有利!フレックスタイム制のメリットや注意したい点とは
かつての終身雇用制は鳴りを潜め、今や世の中は働き方改革の流れが加速しています。そのような状況で、柔軟性の高い制度として注目されているのが「フレックスタイム制」です。
フレックスタイム制自体は比較的認知度の高い制度ではありますが、今回はこの制度の概要や種類、導入時の効果や懸念点についておさらいをしていきます。ぜひ制度導入や改定のための参考にしてみてください。
フレックスタイム制とは
フレックスタイム制とは、会社で前もって決められた1ヶ月以内の期間のなかで、社員が希望する出社時間、退社時間を決めて働くことができる制度のことです。
通常の働き方の場合、会社で定められた所定労働時間に出社、退社をすることになります。たとえば、9:00~17:00が所定労働時間の会社では、社員は9時に仕事を開始できるような時間帯に出社し、17時になったら退社をします。これと比較すると、フレックスタイム制は柔軟性の高い制度となり、「この日は時間に余裕があるから一日10時間働けるが、この日は予定が入っているため4時間だけ働く」というような働き方が可能になります。
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フレックスタイム制の種類
フレックスタイム制には主に2種類の制度があります。通常の「フレックスタイム制」と「スーパーフレックスタイム制」です。
フレックスタイム制は、「コアタイム」と「フレキシブルタイム」の2種類の時間帯が設定されているフレックスタイム制度です。
コアタイムとは、1日の間で「必ず就労をしなければならない」時間帯を指します。一方、フレキシブルタイムとは、出社や退社の時間帯を自由に選択することができることで、フレキシブルタイムとして定められている時間は「働いていても、働いていなくてもよい時間帯」になります。
一方、スーパーフレックスタイム制は、「コアタイム」が定められていないフレックスタイム制のことで、「フルフレックスタイム制」「完全フレックスタイム制」などとも呼ばれます。
絶対に働いていなければならないコアタイムがないということは、一日をとおして自由に出社、退社の時間を定めることができる「フレキシブルタイム」という扱いになります。
フレックスタイム制導入におけるメリットや効果
フレックスタイム制を導入するメリットとしてまず挙げられる点は、やはり社員が自由に出退社の時間を定めることができるため、より社員自身の生活スタイルに合わせた働き方が可能になる点でしょう。朝や夕方の満員電車を避けることができるだけでも、社員のストレスを減少させる効果があるはずです。
また、昨今では、育児や介護と仕事を両立させながら働くことを望む社員が増えています。ワーク・ライフ・バランスや働き方改革が浸透していることもあり、働き方が多様化しています。新型コロナウイルスが蔓延した影響もあり、リモートワークやワーケーションなど、時間や場所の制約なく働くことができる環境を求める労働者は今後も増加することが予想されています。
このような背景から、自身のプライベートや家庭の事情に合わせて働く時間帯を決めることができるフレックスタイム制は、時代の流れに即した制度であるといえるでしょう。
さらに、フレックスタイム制を導入する企業は、対外的なイメージアップを図ることができるというメリットもあります。通常の雇用形態では育児や介護などとの両立が難しく、キャリアを断念せざるを得なかった労働者も、フレックスタイム制がある会社ならば働き続けることができる可能性が高まります。その結果が、既存の社員の離職率を防ぐ効果や、優秀な人材を確保できるチャンスが広がる効果へとつながるのです。
フレックスタイム制導入におけるデメリットや注意点
一方、フレックスタイム制を導入するにあたって気をつけなければならない点としては、まずは柔軟性の高い制度にあわせた労務管理の徹底が必須であるということです。フレックスタイム制は前述のように毎日の所定労働時間が定められていないことから、社員一人ひとりの出退社時間をきちんと管理することができる体制づくりが必要になります。また、会社側も社員の労働状況に合わせた形で仕事の割り振りをしなければならないため、就労状況がひと目で把握できるような労務管理ソフトを導入するなどの対策が求められるでしょう。
特に、コアタイムが定められていない「スーパーフレックスタイム制」を導入している企業の場合、通常の雇用形態と比較すると社員が一堂に会する機会が減少し、社員同士のコミュニケーション不足が問題視される可能性があります。互いの性格や仕事の進め方、趣味嗜好が不透明な者同士が仕事をすることで生じる可能性がある弊害を考えると、打ち合わせや会議、面談などの機会を定期的に設ける努力も必要になります。
コミュニケーション不足の問題については、社員同士のみならずクライアントと接する際にも同様の危険性が潜んでいるということです。フレックスタイム制を導入する場合、またはすでに導入している場合は、どのような形で営業活動を進めていくかを入念に検討することが求められています。
フレックスタイム制を実際に導入するためには、就業規則によるルールづくりと労使協定の締結が必要になるため、社内でどのような手順で導入をしていくかをあらかじめ話し合っておく必要があります。また、前もって定めておく総労働時間を超える就労をした社員に対しては、超えた部分の割増賃金を支払う必要があることも覚えておきましょう。
フレックス制度にはメリット、デメリットの両方がありますが、時代に即した働き方といえるでしょう。ぜひ自社にあった働き方を取り入れる際の参考にしてみてください。
*metamorworks, Chay_Tee, mapo_japan, Vitalii Vodolazskyi, maroke / shutterstock
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