企業が取るべき懲罰と対応は?社員の不正行為に関するお悩みまとめ
企業における不正行為は、会社の信用や経済的な損失につながりかねない、重要な問題です。関与した社員に対して、適切な懲罰を下す必要があります。そもそも起こらない方が望ましいですが、万が一発生した場合、どのように対応すべきでしょうか?
本記事では、労務管理におけるトラブルに関するお悩みについて取り上げました。組織の健全な運営を維持するために、どのような対応が必要なのかを考えるきっかけになれば幸いです。
1. 不正受給に協力した社員、罰則対応はどうしたらいい?
質問日:2024年3月31日
◆1. 質問内容(全文)
労務管理をしている社員が、労働者からの求めに応じて短期契約であるにも関わらず1年以上契約が間違いないという書面にサインをして提出してしまいました。
その後も不審に思ったハローワークからの問合せに、契約社員ではなく正社員で雇ったと回答したそうです。
労働者は不正受給した金額の3倍を変換する場合もある罰則があるそうですが、企業側は積極的かつ確信的に協力しても、実際損や不利益はないのでしょうか?
◆1. 総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
不正受給に関して会社が虚偽の報告や証明をしたことによるのであれば、不正受給者と連帯して返還しなければならないケースもあります。
●回答②
(前略)
業務の不正行為と判断されるようですから、検討としては御社の就業規則及び御社社内規則長懲罰規則等での考えとなるでしょう。
お話では、公的機関への報告内容条件等を不正に行っているわけですから、考え方としては、御社の信用度それに対する影響度がどれほどかにかかると思います。
形としては、労働者の採用などに関する関係機関ですからそれ相当の懲罰となるかもしれません。個人的な視点からは、役員、社員代表者、人事責任者などの立ち合い審議の上の判断とみなすことも考えます。また、犯した社員からの意見書の提出などお必要かと思います。
昨今、中小企業先では、新入社員、中途社員に対する採用度が低下してますからあまりに激しい罰則はいかがとも思います。
(後略)
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総務の森<相談の広場>『再就職手当の不正受給を協力した罰則』
【関連記事】社員の横領が発覚…こんな時はどう対応する?
社内で問題が起きた際に、懲戒処分や損害賠償請求など、対応すべき必要が出てきます。下記記事では、横領が発覚したケースから、対応方法について解説。金銭的な損失が発生することはもちろん、社内に動揺が広がりますので、経営者としては迅速かつ適切な対応を取る必要があります。どのような対応が必要か見ていきましょう。
2. 残業代を架空申請している社員がいる。法的措置は可能?
質問日:2024年2月28日
◆2. 質問内容(一部抜粋)
(前略)
製造業で第一工場、第二工場とあり、第一工場は事務所とつながっておりますが第二工場は少し離れており工場長に任せています。第二工場長は月40時間以上の残業代を申請してきます。社長の指示はありません。
内容(理由)は管理指導です。
しかし工場長以外の作業員の残業申請はありません。気になって残業しているであろう時間に工場を覗いたところ、誰も働いている様子はありませんでした。
日中、勤務時間内でもほとんど仕事を作業員に任せて休憩している工場長に十分すぎるお給料の上に残業代を払わないといけないのでしょうか。
注意など意味のないモラハラな人です。法的措置はとれるでしょうか。
◆2. 総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
率直にまず、貴社は労働者の労働時間をどのように把握管理されているのですか?
そのシステムに不備があるのであれば、システムの改善が必要でしょう。
> 気になって残業しているであろう時間に工場を覗いたところ、誰も働いている様子はありませんでした。
実際に残業していない日に残業申請がされているのであり、会社が労務をしていないことを確認できているのであれば、本人に申請内容についての事実確認を行い、不労分の支給は必要ないでしょう。
不正な請求をしていることに対して、就業規則等における懲罰の対象になるようであれば貴社の就業規則の規定に従って対応する必要があるでしょう。ただ1日の申請ミスをもってすべての残業がなかったとはいいきれないと考えます。不労分と判断できない部分での申請があるのであれば、貴社の管理の問題であると思いますので、会社が不労を証明できず本人が労働したと申請している部分は賃金を支払う必要があると考えます(残業は1人でも不可能ではありませんからね…)。
その上で、労働時間の把握方法についてをどうされるのかは貴社内で議論する必要があるでしょう。
●回答②
(前略)
実際におこなっていない残業については賃金の支払いは不要ですけど支払っているのでしょうか。
会社としてそれ以上対応しないということであれば、それまでであるかとは思います。
経営者や株主さんはどうされるのでしょうかね。
両者が納得しているというのであれば、賃金を多く支払っている状況と思いますけどそれがどのように問題になっているのか、ではありませんか。自己申告とありますが、そのように労働時間を把握していけないというわけではありませんが、虚偽多くしてそれに対しては会社がどのように対応されるのか、でしょう。経営者の考えが変わらないのであれば、今後もあまりかわらないようには思います。
(後略)
●回答①への返信
(前略)
> 自己申告とありますが、そのように労働時間を把握していけないというわけではありませんが、虚偽多くしてそれに対しては会社がどのように対応されるのか、でしょう。経営者の考えが変わらないのであれば、今後もあまりかわらないようには思います。
例えばどのようにして本当は残業していないことを証明できますか。
証拠を固めれば社長は動いてくれるかと思います。(後略)
●回答③
(前略)
> 例えばどのようにして本当は残業していないことを証明できますか。
> 証拠を固めれば社長は動いてくれるかと思います。現在おこなっている申請されている内容と実際に業務されている場におらず業務をしていないことは客観的に記録することで対応はできるかと思います。
ただそもそも経営者が容認していることを、一社員が恨まれてまでおこなう必要性はなさそうに思いますけど、その点はどのようにお考えですか。
正義感から行動されるのであれば、労務していない事実を確認し記録して対応することになりますが、会社がどこまで対応するのか不透明ですよね。過労で倒れたとして、会社や経営者は責任が及ぶ可能性はありますが、一事務員に影響が及ぶことはないと思います。
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総務の森<相談の広場>『残業代の架空申請について』
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