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GbizID

【社会保険手続きも】もう役所に行かなくてOK!「gBizID」でできる電子申請を徹底解説

2021.10.20

最近、ある経営者が「社会保険の電子申請を始めたら、役所に行く手間が省けてものすごく便利になった」と喜んでいらっしゃいました。

以前は、社内で書類を作成したうえで、本人が役所に出向き手続きを行っていました。しかし、電子申請を活用することで会社にいながら手続きができるように。移動時間や待ち時間も不要になり、業務効率化を実現できたとのことでした。

このように、最近では電子申請で行える行政サービスの幅も広がってきており、利便性がますます向上してきています。

今回は、さまざまな行政サービスの電子申請で利用できる『gBizID(ジービズアイディー)』をご紹介します。2019年9月よりデジタル社会形成の司令塔として産声を上げたデジタル庁が運営し(以前は経済産業省)、1つのIDで複数の行政サービスが利用できるのが特徴です。2020年4月からは社会保険関係の一部手続きも対応が始まりました。

「gBizID」を利用してどういうことができるの?

「gBizID」とは?

『gBizID』とは、1つのIDとパスワードで、複数の行政サービスにアクセスできる認証システムのことです。

これまで事業者が電子申請で行政手続きを行う際は、あらかじめ電子証明書の取得(有料)が必要でした。さらに、種類ごとにそれぞれIDとパスワードを設定する必要もあり、管理が煩雑でした。

そんななか、『gBizID』が導入され、電子証明書が不要となり無料で行なえるように。また、共通のIDとパスワードで複数の行政手続きを行うこととなり、アカウントの管理が容易になりました。

使用できるサービスの全容はのちほどご紹介しますが、補助金の申請や社会保険の手続きなどをインターネット経由で行うことができ、その内容も年々増えてきています。中小企業にとっても身近な社会保険関連の手続きを例にとると、以下のようなよく行われる手続きにも対応しています。

・資格取得届
・資格喪失届
・報酬月額算定基礎届
・報酬月額変更届
・賞与支払届
・国民年金第3号被保険者関係届

日常的に社会保険の申請を行っている場合、ぜひ『gBizID』取得の検討をしてみることをおすすめします。

「e-Gov」との違いとは?

『gBizID』と似たもので、『e-Gov』を耳にしたことがあるかもしれません。両者とも電子申請を行えるという点では同じですが、『e-Gov』は電子証明書の発行が有料である一方、『gBizID』はアカウント発行が無料です。

では、有料の『e-Gov』と無料の『gBizID』でどのような違いがあるかというと、“申請可能な届出等の種類”に違いがあります。例えば、社会保険関連の手続きについてみてみると、『e-Gov』は約270種類に対して『gBizID』では約80種類となっています(令和3年7月1日現在)。

『gBizID』と『e-Gov』でそれぞれ申請可能な社会保険関連の手続きは『日本年金機構』公式サイトで確認することができます。そのほか、経済産業省や金融庁などの手続きについても申請できる対象に違いがあります。

今回は無料で始められる『gBizID』をメインにご紹介しますが、『gBizID』よりも対応範囲が広い、『e-Gov』があるということは知っておくとよいでしょう。

電子申請にはどういうメリットがあるの?

さまざまな行政サービスの電子申請を行う際に使用する『gBizID』。では、そもそも“電子申請”にはどのようなメリットがあるのか見てみましょう。

・メリットその1:自宅や職場からいつでも手続きができる!
パソコンや携帯電話などインターネットにつながる端末があれば、いつでも、どこでも手続きをすることができます。サーバーのメンテナンス等により手続きを行えない時間帯以外、24時間365日手続き可能です。

・メリットその2:移動時間や待ち時間に加え、書類を郵送するコスト等が削減できる!
手続きを行うために行政機関へ出向く必要が無くなり、移動時間や待ち時間を他の業務に割くことができます。また、書類を送る際の封筒代や切手代が不要になります。

・メリットその3:申請資料作成の手間が削減できる!
企業情報や財務情報など、一度入力した情報はIDに紐づいて保存されます。そのため、複数の手続きを行う場合、同じ情報を繰り返し入力する必要がなくなり手間を省くことができます。

・メリットその4:押印が不要になる!
各種行政サービスにログインする際、IDとパスワードを入力することで申請者を確認することができます。この認証機能により各書類への押印が不要になります。

どんな行政サービスが利用できる?

ここで、『gBizID』で利用できる行政サービスについて、代表的なものをいくつかご紹介します。

jGrants(経済産業省・補助金申請システム)
補助金の申請から採択後の手続きまでの全プロセスをデジタル化した補助金申請システムです。

社会保険手続き(日本年金機構)
年金事務所やハローワークへ出向かずに、算定基礎届や資格取得時の申請等の社会保険関連の手続きが行えます。

農林水産省共通申請サービス(農林水産省)
農林水産省の申請手続きをオンラインで行うことができます。

保安ネット(経済産業省)
産業保安や製品安全関連法令に関して、申請・審査状況の確認・交付される通知文書の確認等を行うことができます。

食品衛生申請等システム(厚生労働省)
食品リコール情報の公開や営業許可申請・届出が行えます。

ミラサポplus(中小企業庁)
中小企業向けの補助金検索や支援サイトです。支援制度や事例の検索、各電子申請サイトへのポータル機能等を利用することができます。

DX推進ポータル(経済産業省 独立行政法人情報処理推進機構)
DX推進のための支援サイトです。指標による自己診断やDX認定制度への各種申請手続きが行えます。

e-Govポータル(総務省)
先ほどご紹介した『e-Gov』は、一部手続きで『gBizID』を代用できます。行政情報の総合的な検索・案内サービスの利用や各府省に対するオンライン申請や届出を行うことができます。

なお、『gBizID』の公式サイトのgBizIDで利用できる行政サービス一覧に、利用可能なすべてのサービスが掲載されているので、気になる方は一度確認してみましょう。

「gBizID」にはどのような種類があるの?

gBizIDには“プライム”、“メンバー”、“エントリー”という3種類のアカウントがあります。下記のように、利用者や行政サービスにより、異なるアカウントを取得することになります。

・プライム:利用者は会社代表者または個人事業主。書類審査が必要。使用可能な行政サービスは多数。
・メンバー:利用者はプライムを取得した組織の従業員。書類審査は不要。使用可能な行政サービスに制限あり。
・エントリー:利用者は事業をしている方ならだれでも。書類審査は不要。使用可能な行政サービスに制限あり。

例えば、社会保険手続きの申請を行う場合は“プライム”または“メンバー”のみが利用することができます。

先ほども紹介した、『gBizID』公式サイトのgBizIDで利用できる行政サービス一覧では、各行政サービスについてどの種類のアカウントで利用可能かも確認できます。ご自身が必要な行政サービスを『gBizID』で電子申請するためには、どのアカウントが必要かをチェックしておきましょう。

「gBizID」の登録はどのようにすればいいの?

最後に、登録について説明しましょう。『gBizID』は公式サイトからアカウントの作成ができます。

最も利用できる行政サービスが多い“プライム”の場合は、以下のような情報の入力が必要になります。登録の際は、これらの情報が確認できる書類を手元に用意しておくとよいでしょう。

・法人番号
・法人名/屋号
・所在地
・代表者名
・代表者生年月日
・連絡先電話番号
・メールアドレス
・SMS受信用電話番号(※ワンタイムパスワードを通知するため)

また、“プライム”のみ必要な書類審査について、提出書類は以下のとおりです。

・印鑑証明書(発行日より3ヶ月以内)
・印鑑登録証明書(発行日より3ヶ月以内)

“プライム”のアカウントについての作り方は、経済産業省の動画でも確認できるので、ぜひ参考にしてみてください。

 

通常、1週間程度でアカウントが発行されますが、書類の不備や重複申請の場合は時間を要する可能性があります。

補助金の申請など期限が設定されているものもあります。『gBizID』を取得する場合は、時間的に余裕を持ってアカウントを作成しましょう。なお、アカウントの申請状況は上記サイト上から確認することが可能です。

 

『gBizID』は今後も利用できる行政サービスが拡大され、ますます利便性が高まっていくと筆者は考えています。今後何らかの行政サービスを利用する可能性があれば、登録だけでも済ませておいてもよいでしょう。

【参考】
gBizID』 / デジタル庁
日本年金機構』 / 日本年金機構

* アン・デオール / PIXTA(ピクスタ)
* takeuchi masato / PIXTA(ピクスタ)