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労働実務事例

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労働者に責がある場合、解雇の認定いつ受けるか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合、労基署長の認定を受けなければなりませんが、この認定は解雇の意思表示をする前に受けなければならないのでしょうか。1日も早く解雇したい場合、事後処理しても構わないのでしょうか。

富山・I社

[ お答え ]

 労基法第20条のただし書きによれば、労働者の責に帰すべき事由により解雇予告、解雇予告手当を支払わずに解雇する場合には、所轄労働基準監督署の認定が条件とされています。
 「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者の故意、過失又はこれと同視すべき事由を指します。
 この判定に当たっては、「労働者の地位、職責、継続勤務年数、勤務状況等を考慮の上、総合的に判断すべきであり、『労働者の責に帰すべき事由』が法第20条の保護を与える必要のない程度に重大又は悪質なものであり、従って又使用者をしてかかる労働者に30日前に解雇の予告をなさしめることが当該事由と比較して均衡を失するようなものに限って認定すべきものである」(昭23・11・11基発第1637号)とされています。
 たとえば、重大な秩序違反を犯し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合とか、原則2週間以上正当な理由なく無断欠勤して出勤の督促に応じないとか、雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合です。
 解雇予告除外が認められる「労働者の責に帰すべき事由」の存否については、「解雇予告除外認定申請書」により所轄労基署長の認定を受けなければなりません。この認定は、解雇の意思表示をする前に受けなければなりません。
 認定を受けないで即時解雇の意思表示をし、その後認定を受けるため労基署に申請し、労基署長の認定を得た場合には、即時解雇してもやむを得ない事実は解雇の意思表示がなされた当初においてすでに存在していますから、その効力は即時解雇の意思表示がなされた当時に遡って発生します。
 行政解釈でも、「法第19条及び第20条にある認定は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものである」(昭63・3・14基発第150号)とされており、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を受けた場合は、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生します。
 しかし、使用者が認定申請を遅らせることは、法第19条又は20条違反(前掲通達)となります。つまり、除外認定を受けずに解雇した場合、仮に解雇は有効であっても、解雇予告をせず、解雇予告手当の支払いをせずに解雇したということで、処罰の対象となり、事業主は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。



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