労働実務事例
[ 質問 ]
従業員が行方不明となり、家族が困惑しています。その奥さんが、知人から「行方不明になって3カ月したら」遺族年金の申請ができるという情報を仕入れてきました。あまりに早すぎる気がしますが、本当にそんな手続きが可能なのでしょうか。
長野・U社
[ お答え ]
遺族厚生・基礎年金は、被保険者が「死亡」した際、一定範囲の遺族に支給されます。しかし、死亡が確認されない限り、年金の支給を認めないのは、遺族にとって酷です。このため、死亡の可能性が高い場合には受給要件を満たしたとみなす規定が設けられています。
お尋ねにある「3カ月」というのは、厚年法第59条の2(死亡の推定)を指すと思われます。しかし、これは「船舶・飛行機が沈没・転覆(墜落)し、滅失し、行方不明となった際」、その乗客の行方が3カ月分からない場合に適用されます。ちなみに、東日本大震災については特例が設けられています。
単に、「家を出たまま、連絡のない状態が続く」だけでは、要件に該当しません。厚年法第58条第1項は遺族厚生年金の支給事由を列挙していますが、その第1号として「被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であったものを含む)が死亡したとき」を挙げています。いわゆる「行方不明」は、この条文を根拠に処理されます。
民法第30条では、「不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる」と定めています。ですから、7年後に失踪宣告の手続きをして、初めて年金の申請が可能となります。
ただし、保険料納付要件と生計維持要件は、行方不明となった時点で判断します(厚年法第59条)。受給権の発生は、失踪宣告により死亡したものとみなされた日(7年経過時)に発生します。年金はその翌月から支給が開始され、行方不明当時に遡って清算(遡及支払い)がなされるわけではありません。
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