こんにちは。社会保険労務士の田中です。
紙媒体での申請から電子申請に切り替えると
社保手続きは格段に効率的になります。楽になります。
しかし、「どのタイミングで、何の手続きが必要なのか」
という事は引き続き、担当者が判断すべきことです。
忘れると従業員がもらえるべきお金をもらえなくなってしまい、
将来的にそれを会社が補填する、という事にもなりかねない、
忘れがちな社保手続きを、お伝えいたします。
その1 育児休業からの復職時に忘れてはいけない手続き
…「育児休業等終了時報酬月額変更届」
育児休業が終わり復職した従業員が短時間勤務となった場合、
それに伴い、時間外労働や休日労働もほぼ0になるでしょう。
一般的にはその結果、給与額が少なくなります。
しかし、給与が減少しても社会保険料は育児休業前と変わりません。
そのため、給与に比べて社会保険料の負担が重くなってしまいます。
それだけ「手取り額」が少なくなってしまう、という事ですね。
このような時、通常の「月額変更届」とは異なる要件で
「育児休業等終了時報酬月額変更届」があります。
詳細は日本年金機構のHPをご確認頂きたいのですが、
ポイントは、標準報酬の等級差が1等級でも月変となり、
また、固定的賃金の変動がなくても良い、という事です。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20150407.html
そして、ご注意頂きたいのはこの手続きが
「被保険者の申し出によって」行われるという事です。
とは言っても会社が手続きをするのですが、
これを忘れてしまうケースが意外と多い…
忘れると従業員の保険料負担が大きいままになってしまいます。
一方、傷病手当金をもらう事になった場合、その計算は
新しい(低下した)標準報酬に基づくことも注意点です。
良い事ばかりではありません。
従業員と手続きを行うかどうか話し合った上で進めてください。
☆☆ 養育期間標準報酬特例申出書 も忘れずに ☆☆
なお、上記の手続きを行う場合、次も同時に行ってください。
「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」
こちらも「被保険者の申し出により」となっていますが、
会社が主導で手続きすることが望ましいでしょう。
健康保険の傷病手当金は低下した標準報酬に基づきますが、
こちらは将来の年金計算の際に、従前の標準報酬で計算されます。
それも「3歳未満の子を養育している期間」ですから、
従業員にとってメリットは大きいのではないでしょうか。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(2020.05.19)
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田中事務所 特定社会保険労務士 田中理文
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