労働実務事例
[ 質問 ]
秋になってスズメバチによる被害が急増しています。当社は建設業で、山林地で作業する従業員には注意するよう呼びかけていますが、特別な安全措置は講じていません。このままの状況でハチによる被害が従業員に生じた場合、労災保険の給付に影響がありますか。
福島・N社
[ お答え ]
業務上の疾病の範囲は労基則第1の2に列挙されていますが、その第1に「業務上の負傷に起因する疾病」が挙げられています。
その例の一つに、「ハチの刺傷から体内に侵入した毒素による疾病」があります(昭53・3・30基発第186号)。ハチによる被害一般でなく、「ハチのいる可能性の高い場所で作業し、危険な職場環境に起因して」傷病が発生した場合には、業務上災害と認めらます。
安全管理上、会社としては、危険を予知し(リスクアセスメント)、必要な回避措置を講じておくべきといえます。しかし、事業主が安全管理上の配慮を怠っていても、従業員に対する労災保険給付には影響が及びません。業務災害の原因となった事故が労基署の指示を無視するなど「事業主の故意または重大な過失」による場合は、ペナルティーが科せられ、費用徴収の対象になります(労災保険法第31条第1項第2号)。
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