労働実務事例
[ 質問 ]
社会保険の担当になったばかりで、知らない用語の勉強に追われています。先日も、「差額ベッドは、選定療養の対象になる」という話を聞いたのですが、「選定療養」とはどういうものなのでしょうか。
滋賀・M社
[ お答え ]
選定療養という用語自体は古くからありますが、平成18年10月以降、意味が少し変わっています。新しい定義を中心にご説明します。
保険診療(いわゆる「保険が利く」診療)と保険外診療は、原則として組み合わせることはできません。しかし、一定範囲の例外が認められていて、お尋ねにある差額ベッドもその一種です。
保険が利く診療では、保険給付は7割で、3割が自己負担です。保険外医療の場合、原則は全額負担ですが、差額ベッドなどでは、健保の基準を超える特別料金のみを患者が追加で支払う仕組みとなっています。
健保基準の費用の3割と特別料金(上乗せ分)を患者が負担し、健保基準の費用の7割を健保がカバーするという形となります。
従来、この仕組みは「特定療養費」と呼ばれ、対象は高度先進医療と選定医療に分かれていました。しかし、現在では、「保険外併用療養費」という名称に変わり、対象は評価療養と選定療養の2種類となっています。新旧両方の制度で、選定療養という用語が出てきますが、冒頭で述べたとおり、その中身は若干変わっています。
旧選定医療に含まれていた診療が評価療養に移された部分もありますし、新たに選定医療に追加された部分もあります。現在の選定療養の範囲は次のとおりとなっています。
〈快適性・利便性に係るもの〉
・特定療養環境室への入院
4人以下で設備も優遇された病室に入院した場合、3割の自己負担に特別料金(室料差額)をオンしたものが患者負担となります。
・予約診療
・時間外診察
・歯科の材料差額
〈医療機関の選択に係るもの〉
・200床以上病院での初診
・200床以上病院での再診
〈医療行為等の選択に係るもの〉
・180日以上の長期入院
・制限回数を超えて受けた診療
・小児のう蝕治療後の継続管理
保険外併用療養費の対象となる評価・選定医療を実施するときは、病院がその説明を行います。しかし、企業の社会保険担当者も、従業員から質問を受けることもあるので、基本的な知識を備えておく必要があります。
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