労働実務事例
[ 質問 ]
社労士の勉強中の者です。子どもの遺族年金が失権するのは、「直系血族・姻族以外の者の養子になったとき」と覚えていました。しかし、別の場所を読んでいて、「妻以外の者の養子になったとき」という記述を発見しました。一体、どちらが正しいのでしょうか。
東京・U生
[ お答え ]
子どもの遺族厚生年金の失権事由の1つとして、「直系血族・姻族以外の者の養子(事実上の養子関係を含む)になったとき」が挙げられています(厚年法第63条)。子どもの遺族基礎年金にも、同様の規定が存在します(国民年金法第40条)。
子どもの場合、妻以外の者の養子になったからといって、自動的に年金の権利を失うわけではありません。
ご質問にあるのは、遺族基礎年金の「子の加算額」に関する規定です。被保険者が死亡して、妻と子が残されたとします。被保険者が保険料納付要件等を満たし、妻子と生計維持関係にあれば、遺族基礎年金が支給されます。
年金の金額は、本体の79万2,100円(平成22年度)に、子どもの数に応じた金額が加算されます。1、2人目は22万7,900円、3人目以降は7万5,900円です。遺族基礎年金は、妻が受給権を有する間、子どもへの支給が停止されます(国民年金法第41条第2項)。
しかし、対象となる子どもが死亡等した場合、この加算額が改定されます(国民年金法第39条第3項)。この改定事由の1つとして、「妻以外の者の養子(事実上の養子関係を含む)になったとき」が挙げられています。
妻に対し、子どもの分も含めた年金額が支給されているので、その子どもが妻以外の者の養子になったときは、子どもの分の加算が減額されるのです。
妻の年金受給権は、「生計を同じくする子(18歳の年度末まで等の年齢要件も満たす必要があります)」がいることが条件となっています。このため、「子が1人であるときはその子、2人以上であるときは同時にまたは時を異にしてすべての子がいなくなれば」、受給権が消滅します(国民年金法第40条第2項)。
子どもが「妻以外の者の養子になり」、1人も生計を同じくする子がいなくなれば、妻の遺族基礎年金は失権してしまいます。子どもが妻以外の者の養子になるか否かは、子ども自身の年金ではなく、妻の年金の受給権に影響します。
遺族厚生年金には、そのような規定は存在しません。妻の受給権は、妻自身が「婚姻したとき」「直系血族・姻族以外の者の養子になったとき」等に消滅してしまいます。
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