労働実務事例
[ 質問 ]
当社は、金属製品を製造する会社ですが、職長に対する安全衛生教育について、詳しくご教示ください。なお、当社では、作業班長が仕事の進行の責任を有していますが、作業員が多い作業班には、作業班長の下に係長を配置しています。この場合、係長にも職長に対する安全衛生教育を行わなければなりませんか。
茨城・U社
[ お答え ]
職長は、作業中の作業者を直接指導または監督する者であり、その作業における安全衛生を管理するキーマンです。職長が安全衛生に理解があるか否かは、その作業の安全衛生の状態を大きく支配します。そこで、労働安全衛生法では、その第60条において、事業者は、その事業場が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務に就くこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導または監督する者(作業主任者を除く)に対し、一定の事項について、安全または衛生のための教育を行わなければならないこととし、その職務上特に必要とされる事項についての安全または衛生のための教育を行うべきこととされています。
職長その他の作業中の労働者を直接指導または監督する者に対する安全または衛生のための教育については、具体的には次のように定められています。
職長等に対する安全または衛生のための教育を実施すべき事業場として政令で定めるものは、建設業、電気業、ガス業、自動車整備業および機械修理業のほか、次に掲げるものを除く製造業が定められています。
(イ)食料品、たばこ製造業(うま味調味料製造業および動植物油脂製造業を除く)
(ロ)繊維工業(紡績業および染色整理業を除く)
(ハ)衣服その他の繊維製品製造業
(ニ)紙加工品製造業(セロファン製造業を除く)
(ホ)新聞業、出版業、製本業および印刷物加工業
職長等に対する安全または衛生のための教育の内容および教育時間は、次ページ表の左欄に掲げる事項について、右欄に掲げる時間以上行わなければならないこととされています(安衛則第40条第2項)。
教育事項について十分な知識および技能を有していると認められる者については、教育事項の全部または一部を省略することが認められています(安衛則第40条第3項)。
職長等は現場作業についてある程度の経験と安全または衛生に関して一定の知識を身につけていると考えられることから職長等の教育については、①原則として討議方式とすること、②15人以内の受講者をもって1単位とすること、③講師は、教育事項について必要な知識および経験を有する者とすることとされています(昭47・9・18基発第601号の1)。
なお、平成18年の安衛則第40条の改正により、職長等に対する安全または衛生のための教育内容に「安衛法第28条の2第1項の危険性または有害性等の調査およびその結果に基づき講ずる措置に関すること」が織り込まれたことから、すでに職長等に対する安全または衛生のための教育を受けた者であっても、この危険性または有害性等の調査等に関する部分の教育を実施することが望まれます。
職長その他の作業中の労働者を直接指導または監督する者とは、現場にいて、直接労働者の作業の進め方を指導、監督する立場にある者の意であって、ラインの最末端の監督者がこれに該当し、組長、作業長等の名称にかかわらず実際にそのような立場にある者が対象者となります。ご質問の係長については、作業中の労働者を直接指導または監督する者と一般的には考えられますが、貴社の係長がそのような立場にある場合には、新たに係長に就いた者には、この職長教育が必要であると考えられます。
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