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労働実務事例

提供:労働新聞社

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業務効率化を図る狙いでの産業ロボの導入対策は?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社は、産業用機械器具の製造などを行っています。このたび、産業用ロボットを導入し、業務の効率化を図ることにしました。労働安全衛生法令で示す産業用ロボットを使用するに当たって講ずべき対策についてご教示ください。

千葉・J社

[ お答え ]

 産業用ロボットは、その作動に柔軟性を有することを生かした生産工程の自動化や危険有害な職場に導入されることにより労働災害の防止に活用することが期待され、その導入が進んできています。しかし、産業用ロボットの可動範囲内に作業者が立ち入ってロボットと接触するなどの労働災害も発生しています。
 ご質問の産業用ロボットの使用に当たって講ずべき対策について申し上げますと、安衛法第59条第3項に基づき、①産業用ロボットの可動範囲(産業用ロボットの各部の動くことができる最大の範囲をいう)内において産業用ロボットについて行うマニプレータの動作の順序、位置若しくは速度の設定、変更または確認(以下「教示など」という)の業務、②産業用ロボットの可動範囲内において産業用ロボットについて教示などを行う労働者と共同して産業用ロボットの可動範囲外において行う教示などに係る機器の操作の業務、③産業用ロボットの可動範囲内において行う産業用ロボットの検査、修理若しくは調整またはこれらの結果の確認の業務および④産業用ロボットの可動範囲内において産業用ロボットの③の検査などを行う労働者と共同して産業用ロボットの可動範囲外において行う検査などに係る機器の操作の業務について、労働者をこれらの業務に就かせるときは、安全または衛生のための特別教育を行わなければなりません(安衛則第36条第31号および第32号)。この特別教育の内容は、安全衛生特別教育規程(昭47・労働省告示第92号)第18条および第19条に定められており、学科教育として、産業用ロボットの種類、各部の機能、取扱いの方法、教示などまたは検査などの作業の方法などを、また、実技教育として、産業用ロボットの操作や教示などまたは検査などの作業の方法を所定の時間以上行うことが定められています。
 特別教育以外に、安衛則第150条の3において「事業者は、産業用ロボットの可動範囲内において産業用ロボットについて教示などの作業を行うときは、産業用ロボットの不意の作動による危険または産業用ロボットの誤操作による危険を防止するため、次の措置を講じなければならない」として、産業用ロボットの駆動源を遮断して作業を行う場合を除き、(1)次の事項(①産業用ロボットの操作の方法および手順、②作業中のマニプレータの速度、③複数の労働者に作業を行わせる場合における合図の方法、④異常時における措置、⑤異常時に産業用ロボットの運転を停止した後、これを再起動させるときの措置、⑥その他産業用ロボットの不意の作動による危険または産業用ロボットの誤操作による危険を防止するために必要な措置)について規程を定め、作業を行わせること、(2)作業に従事している労働者または労働者を監視する者が異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止することができるようにするための措置を講ずること、(3)作業を行っている間産業用ロボットの起動スイッチなどに作業中である旨を表示するなど作業に従事している労働者以外の者が起動スイッチなどを操作することを防止するための措置を講ずることとされています。
 さらに、同規則第150条の4において、産業用ロボットを運転する場合において、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、柵または囲いを設けるなど危険防止のために必要な措置を講ずること、(年25・12・24基発1224第2号)同規則第150条の5において、産業用ロボットの可動範囲内において産業用ロボットの検査、修理、調整、清掃、給油またはこれらの結果の確認の作業を行うときは、産業用ロボットの運転を停止するとともに、作業を行っている間産業用ロボットの起動スイッチに錠をかけ、起動スイッチに作業中である旨を表示するなど作業に従事している労働者以外の者が起動スイッチを操作することを防止するための措置を講じること(同規則第150条の3における(2)の措置などを講じた場合を除きます)が定められています。
 なお、(1)の規程については、その具体的な内容が通達(昭58・6・28基発第339号)に示されており、「規程」に定めるべき内容が同一であれば、複数の産業用ロボットについて共通の「規程」を定めても差し支えないこととされています。
 また、産業用ロボットの使用などの安全基準に関する技術上の指針(昭58・9・1公示第13号)が示されており、参考にしてください。



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