労働実務事例
[ 質問 ]
当社の所定労働時間は、午前3時間、午後4時間半(間に休憩1時間)の合計7時間半となっています。すでに半日年休制度を運用していますが、新たに時間単位の年休制度をスタートさせます。
仮に午前に3時間の時間単位年休、午後に半日年休の請求があった場合、丸1日の年休請求より有利になりますが、認めるほかないのでしょうか。
【佐賀・M社】
[ お答え ]
過半数労組(ないときは過半数代表者)と労使協定を結べば、年休を時間単位で付与することができます。協定事項の一つに、「時間単位の年休1日の時間数」が挙げられています(労基則第24条の4)。所定労働時間に1時間未満の端数があるときは「時間単位に切り上げる必要がある」(平21・5・29基発第0529001号)ので、7時間半勤務の場合、「8時間の時間単位年休取得で1日の年休消化」として処理します。
半日年休制度は「従来の取扱いで変更はない」ので、午前3時間、午後4時間半という区分も引き続き有効です。従業員とすれば、1日を正確に2等分するより、休憩を境として2分する方が利用しやすいでしょう。
仮に午前中に3時間の時間単位年休、午後に半日の年休を取得したとします。半日の年休は一律0.5日として処理するので、4時間の年休を取得したのと同じです。結局、丸1日休んだのに、年休の消化は合計7時間にとどまります。
一方、年休取得時に「所定労働時間労働した場合の通常の賃金」を支払うとして、賃金額を計算してみましょう。時間単位年休の賃金は「通常の賃金の額を所定労働時間数で除して得た額」を基準として計算します。3時間分の賃金は、1日の賃金の7.5分の3です。
半日年休(4.5時間分)の賃金は7.5分の4.5ですから、両方合わせるとちょうど1日分の賃金で、損はありません。
両方考え合わせると、時間単位年休・半休セットの請求方式が有利ですが、「1日の年休を取得する場合には、原則として日単位で取得する」(前掲解釈例規)というルールが定められているので、貴社は拒否できます。
ただし、半日年休と別の日に3時間の時間単位年休を請求されれば、拒むことはできません。制度の仕組み上、ある程度の有利・不利が生じるのは仕方のないことです。
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