労働実務事例
[ 質問 ]
退職予定日の前日に業務上の事由で負傷した労働者がいます。労災保険法の給付を受けるには、3日間の待期期間を経なければなりませんが、その間は事業主が補償しなければならないと聞きました。労働者としての身分がある退職日まででよいのでしょうか。
【奈良・Y社】
[ お答え ]
業務上の事由による負傷・疾病について、病院や診療所で治療を受けると労災保険から療養補償給付が支給されます(労災保険法第13条)。業務外の事由による負傷等で健康保険から給付が行われる場合は、原則として医療費の3割を窓口で負担しなければなりませんが、労災保険では原則として労働者の負担は生じません。
業務上か否かの認定では、負傷に比べると疾病の判断が困難とされています。労基則の別表では、補償の対象となる「業務上の疾病」の範囲が規定されています。平成22年5月7日には、改正労基則が公布・施行され、新たに過重負荷による脳・心臓疾患や心理的負荷による精神障害、石綿によるびまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水等が追加されました。
業務上の負傷、疾病により、療養のため労務に服することができない休業期間中は、労災保険から休業1日当たり賃金の60%を補償する休業補償給付が支給されますが、受給するためには「3日間の待期期間」を経過する必要があります。待期期間は、療養のために労務に服することができない日をカウントし、連続した3日でなくても構いません。
労災保険から給付が行われない待期期間中の補償については、労基法第76条の「休業補償」の規定が適用されます。補償内容は、労災保険法の休業補償給付とほぼ同じで平均賃金の60%が補償されます。
また、労基法第83条では、補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはないと規定しています。被災労働者の退職に関係なく、使用者は補償義務を負うことになります。たとえ、災害発生の翌日が退職の日であっても、待期期間3日間は休業補償を行うことになります。
業務上の負傷・疾病が所定労働時間内に発生して、所定労働時間の一部について労働できない場合は、その日の賃金が全額(平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%以上)支払われていれば、休業補償が行われたものとして取り扱われます(昭40・7・31基発第901号)。負傷当日も含め、3日間、休業補償を支払えば足ります。
なお、労働時間内ではなく、残業中に負傷した場合等は、その日は休業の日とはならず、待期期間は翌日から起算され、翌日から3日間の休業補償が必要となります。
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