労働実務事例
[ 質問 ]
基本手当の受給期間中にもかかわらず、短期間のアルバイトなどで就労した事実を隠していた場合には、不正受給とされ受給した手当を返還しなければならないと聞きました。不正行為が発覚した以前のものについても、すべてを返還することになるのでしょうか。
【富山・N社】
[ お答え ]
偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部または一部を返還することを命ずることができるとされています(雇用保険法第10条の4)。
「命ずることができる」とありますが、これは反面に「命じないことができる」という意味のものでなく、例えば返還義務者の住所不明など返還を命ずることができない場合を除き「命じなければならない」として取り扱うものとされています(昭26・5・31失保収第410号)。
また、特に悪質な手段により失業等給付を受給した場合には、失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができるとしています。
納付命令の対象となる不正の行為としては、ご質問のような「安定した職業に就いているにもかかわらずその事実を秘匿した失業の認定を受けるための申告書の提出」のほか、各種申請書や届出書、証明書の偽造などが挙げられています。
納付を命ずる金額は、直接不正の行為により受給した失業等給付の額に相当する額がベースとなります。
不正受給が行われた場合、前述の返還命令、納付命令のほかに「給付制限」も課されます。「給付制限」については、雇用保険法第34条に「これらの給付を受け、又は受けようとした日以後、基本手当を支給しない」という規定が存在します。
受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、管轄のハローワークへの届出が義務付けられています。この届出は、自己の労働によって収入を得るに至った日の後における最初の失業認定日に行います。
不正の行為により給付制限が課されるのは、不正の行為のあった日後となります。なお、不正の行為によって失業等給付の支給を受けた場合のほか、実行に着手したが未遂に終わった場合も不正受給とされ、その日以後について不支給となります。ただし、「やむを得ない理由がある場合」などでは、手当の全部または一部が支給されるケースもあります。
不正に申告しなかった以前に受け取った給付のうち、不就労日分としてすでに受け取った手当については、返還する義務はありません。
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