
5人以下のチームでも!AI活用で営業成果を最大化する方法
中小企業の営業部門が直面する課題は多岐にわたります。人手不足や属人的な営業活動、成果が上がらないなどの問題を抱えている企業も少なくありません。そんな中、AIを活用した営業支援ツールが注目を集めています。本記事では、中小企業の営業が抱える課題とAIを活用した解決策について詳しく解説します。
目次
中小企業の営業が直面する課題
中小企業の営業部門は多くの課題に直面しており、たとえば以下のような課題が挙げられます。
成果が上がらない
最もよくあるクリティカルな課題は、「営業の成果が上がらない」ことでしょう。中小企業は、営業リソースに制約がある場合が多く、効果的な営業活動を展開することが難しいケースが少なくありません。できる限りの手を打っても、期待通りの結果が得られないことがあります。改善しようとしても社内のノウハウ不足により、効果的な提案や交渉ができず商談の成約率が低迷することも珍しくないでしょう。
人手不足
中小企業では、限られた人員で多くの業務をこなす必要があり、営業部門の人手不足は深刻な問題となっています。新規顧客の開拓や既存顧客のフォローアップ、商談、提案書作成など、営業活動には多くの時間と労力が必要です。しかし、人員を増やすことは経営的な負担が大きく、簡単には解決できません。
この状況は、営業担当者の負担増加やワークライフバランスの悪化にもつながり、優秀な人材の流出や新規採用の難しさにも影響を与えています。
属人的な営業活動
中小企業の営業活動で十分な成果が出ていても、特定の優秀な営業担当者の個人的なスキルやノウハウに依存している場合、これが大きな課題となります。属人的な営業活動は、その担当者が退職したり異動したりすると、営業力が急激に低下するリスクがあるからです。属人的な営業体制から脱却し、組織全体で標準化された営業活動を行うことが、中小企業の成長と安定した業績につながる重要な課題となっています。
【こちらもオススメ】トップセールス依存から脱却!営業プロセスを標準化するには?
AIを活用できる営業業務
AIは、営業業務のさまざまな側面で活用できます。
営業プロセスの自動化
AIを活用することで、営業プロセスの多くの部分を自動化できます。
- トークスクリプトやプレゼン資料の叩き台作成
- メール対応
- 営業計画の作成
- 新規スタッフへの研修資料や研修計画の作成
- 商談の議事録作成
- CRM/SFAへの自動入力
- チャットボットによるカスタマー対応
- 見積書や請求書の発行
このような作業を自動化することが可能です。AIが膨大なデータを瞬時に判断し、最適な処理を自動で行ってくれるため、営業担当者は本来の営業活動に集中できます。
データ分析
AIを活用して営業データを分析し、パフォーマンスを向上させることが可能です。以下のような活用方法が考えられるでしょう。
- リードスコアリング
- 市場調査データの分析
- 季節変動やトレンドから売上を予測
- 最適な営業タイミングの分析
- 価格最適化(プライシング戦略)
- 営業担当者のパフォーマンス分析
- 商品レコメンデーション
AIは、過去のデータからパターンを解析して将来を予測したり、新しい知見を導き出したりすることに長けています。AIの優れた分析能力と人間の経験やスキルを組み合わせることで、最大の効果を発揮するのです。
営業戦略全般のコンサル(壁打ち)
AIは営業戦略全般のコンサルタントとしても活用できます。営業マネージャーや担当者が戦略や戦術について悩んだ際、AIに相談することで、新たな視点や解決策を得られる可能性もあるでしょう。AIは膨大なデータと過去の成功事例を基に、客観的な助言を提供できるほか、人間では気づきにくい市場トレンドや競合分析なども行えます。そのため、より効果的な営業戦略の立案をサポートできるのです。
ただし、AIの提案をそのまま採用するのではなく、人間の経験や直感と組み合わせて最終判断しましょう。AIを「壁打ち相手」として活用し、アイデアの幅を広げたり、思考の整理に役立てたりすることで、より質の高い営業戦略を構築できるはずです。
営業業務にAIを取り入れた事例
新潟県で2店舗を展開するベーカリー、株式会社ブルックリンは、AI需要予測サービス「サキミル」を導入しました。店舗や人流、気象データを活用した予測により、パンの廃棄ロスと販売機会のロスを大幅に削減することに成功しています。さらに、来店客数や必要な製造個数の事前予測が可能になったことで、製造・販売スタッフの適切な人員配置が実現し、残業時間と人件費の削減にもつながりました。
「カレーパングランプリ」3年連続金賞を誇る同社は、AIの活用によって経営効率の向上を達成しています。
【参考】AI需要予測サービス「サキミル」の導入でパンの廃棄・販売機会ロス、残業時間を削減/SoftBank
AIを導入する際のステップ
AIを営業業務に導入する際は、段階的なアプローチが効果的です。
- 自社の課題を明確に洗い出す
- 具体的なAIツールやサービスを選定
- 限定的な期間と範囲でテスト運用を実施
- 効果の評価と検証
- 実際の業務に導入
AIにもさまざまな種類があり、得意領域が異なります。まずは課題と導入目的を明確化し、最適なAIを選びましょう。また、営業担当者がAIをスムーズに導入できるよう、丁寧な研修とサポート体制の整備も重要です。AIと人間の強みを活かした最適な役割分担を見極め、段階的に業務プロセスを改善していきましょう。
AIで補えない業務はBPOやオンラインアシスタントも検討
AIは多くの営業業務を効率化できますが、すべての業務を完全に代替することはできません。人間の判断や感情的なコミュニケーションが必要な場面では、AIの活用には限界があります。
そこで、AIで対応しきれない業務については、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やオンラインアシスタントの活用を検討することをおすすめします。たとえば、複雑な顧客対応や創造的な提案書の作成、高度な交渉など、人間ならではの柔軟性や経験が求められる業務は、外部の人材に任せることで効率的に処理できます。
AIとアウトソーシングを組み合わせることで、より包括的な業務効率化が可能になり、営業部門全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
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まとめ
AIを活用した営業改革は、中小企業にとって大きな可能性を秘めています。人手不足や属人的な営業活動といった課題に対し、AIは効率化と戦略的なアプローチを提供してくれるでしょう。営業プロセスの自動化やデータ分析、さらには戦略立案のサポートまで、AIの活用範囲は広がっています。AIと人間の強みを組み合わせることで、営業力は飛躍的に向上する可能性があるのです。
*Lupae/ shutterstock