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営業マン

トップセールス依存から脱却!営業プロセスを標準化するには?

どの会社にも稼ぎ頭であるトップセールスがいるでしょう。「トップセールスのおかげで業績は右肩上がり!」なんてこともあるかもしれません。しかし、このままでよいのでしょうか。あまりにもトップセールスに業績を依存しすぎてしまうと、経営上のリスクとなるかもしれません。転職が前提になった昨今、優秀な人材は引く手数多で、いついなくなってもおかしくないのです。そのため、トップセールスの営業プロセスを標準化することは、効率的な営業活動や業績向上に不可欠です。本記事では、営業プロセス標準化について解説します。

業績が下がっている会社が陥っている営業上の課題

業績が下がっている会社には営業面で共通する課題があるようです。それは、少人数のトップセールスたちの特異なスキルによって獲得案件の多くがもたらされており、営業プロセスが標準化されていない点です。2013年にリクルートが調査した「営業部長実態調査」によると、業績が伸びている会社のグループでは、「営業プロセスの標準化と実践ができている会社」が40%を占めましたが、業績が下がっている会社のグループでは10%にとどまることがわかっています。

【参考】継続的に業績が向上している営業組織の特長とは/リクルートマネジメントソリューションズ

営業プロセスの標準化ができていると人員を増やすことで業績を拡大していけますが、数人のトップセールスに依存していると、同じようなトップセールスを雇わない限り業績の拡大が難しくなります。営業は個人で完結させようと思えば完結できるため、属人化しやすい業務です。できるだけ個人のスキルに依存せず、組織的かつ標準的な営業プロセスを確立することが会社の業績を高めることに繋がります。

なぜトップセールスに依存してはダメなのか?

トップセールスに依存するデメリットは複数あります。以下が代表的なデメリットです。

  • 顧客資産が営業スタッフ個人のものになる・・・顧客が自社でなく営業スタッフについてしまい、その営業スタッフが退職すると顧客も同時にいなくなる可能性がある
  • 社内に営業ノウハウが蓄積されない・・・新入社員の教育がOJTで行われるため、トップセールス以外のスタッフに指導された新人にはノウハウが継承されない
  • 営業スタッフ間の連携がとりにくい・・・一般的に多くの営業スタッフは自分の顧客情報や営業ノウハウを秘匿したがる傾向にあり、営業スタッフ間に溝ができやすい

これらのリスクを考えると、特定の営業スタッフに業績が依存してしまうのは避けるべきでしょう。

営業プロセスとトップセールスのノウハウ

“営業プロセス”とは「見込み客(以下、リード)の獲得」から「成約」に至るまでの一連の営業活動の流れを指します。そして、社内でこの営業プロセスを明示的にルール化し、同じ成果を出せるようにすることを「営業プロセスの標準化」といいます。

営業プロセスは企業によっても異なりますが、概ね以下のような流れであり、併せて、トップセールスのノウハウを解説していきます。

1)リード獲得

リードとは、まだ成約には至っていないが、将来的に成約の可能性が存在する「見込み客」のことです。リードを獲得する方法は、オフラインとオンラインの2つに分けられます。オフラインだと、展示会やセミナー、テレマーケティング、ダイレクトメールなどがあります。オンラインだと、WebサイトやWeb広告、資料提供(ダウンロード)などが一般的です。

狙っているリードを獲得するためには、KPIを設け、ターゲットを明確にしましょう。そうすることで、どのようなマーケティング手法を利用するべきかが決まり、狙ったターゲットを獲得しやすくなります。

2)ナーチャリング

次に、リードが自社の製品やサービスにどの程度の興味をもっているか、購入する可能性があるかどうかを判別します。判別するためには評価基準を決めなければなりません。たとえば、部長や一般社員といった「階級」、セミナー参加やWeb広告からの流入といった「接点の濃さ」から考えることが多いです。後述しますが、これらの判断は、ITツールを導入するとより効率的にできます。

ターゲットを絞った後、自社の製品やサービスへの理解を促し、購買意欲を高めるためにさまざまなアプローチをして見込み客を教育します。これをナーチャリングといいます。ナーチャリングに使われるアプローチはメルマガやステップメール、セミナー、Webメディアなどが一般的です。

獲得できたすべてのリードにアタックすればいいというわけではなく、狙っているターゲット層であるかを意識しましょう。時間は無限ではないため、ここでターゲット外の顧客にアタックしてしまうと、注力すべきリードに充てられる時間が減ってしまいます。

3)アポイント

購買意欲が高まったリードからの問い合わせや直接的なアポ取りによってリードを商談化します。この時点で見込み客が「顧客」に変わるといっていいでしょう。

アポイントから商談へ進む際は、場所や日時などは率先して提案し、スムーズに決めましょう。段取りが悪い会社だと思わせてしまっては印象が悪くなってしまいます。メール文面は型化してしまうと、毎回作成する手間がかからず楽に行えます。

4)商談

顧客を訪問して対面で提案を行います。コロナ禍以降はWeb会議でのオンライン商談も増えましたが、基本的には同じです。顧客は商談の結果を受けて契約するかどうかを検討します。顧客と商談をしているのは自社だけでなく、競合他社も並行して商談をしている場合があります。

この際、「アクティブリスニング」を行うようにしましょう。自身の伝えたいことに一生懸命にならず、相手の反応や話す内容に注目し、言葉を理解した上で適切な反応をすることが重要です。

5)クロージング

商談の中で顧客の購入意思が確認できたら、クロージングに入ります。クロージングとは顧客の最終意思決定と契約締結に向けて細かい条件のすり合わせや詰めの作業を行うことをいいます。見積書や契約書のドラフトを発行し、条件をすり合わせ、顧客の社内の意志決定者に稟議を通して契約締結します。

また、商談後すぐにクロージングできることは多くはありません。競合と悩んでいる場合や決裁権のある人へ相談するため持ち帰ることがあります。そういった場合は、メールや電話でコミュニケーションを継続的に行い、関係値を深めましょう。このとき商談だけでなく、顧客が抱えている課題を引き出し、相談にのることで関係値を高めていけば、商談獲得率は上がってゆくでしょう。

【こちらもおすすめ】顧客との関係構築が売上につながる!電話や訪問に替わる「メール営業」とは?

営業プロセスを標準化する際のポイント

自社の営業プロセスを標準化する際には以下のポイントに気をつけましょう。

①トップセールスの営業プロセスを可視化する

自社の営業プロセスにもっとも精通しているのはトップセールスたちです。トップセールスたちにヒアリングし、どのような営業プロセスで実施しているかを可視化しましょう。併せて、あまり成果が上がっていない営業スタッフたちのプロセスもヒアリングにより可視化します。トップセールスたちと成果が上がっていない営業スタッフたちの営業プロセスを比較し、どこが違うのかを調べます。そこで現れてくる差異が自社のトップセールスの営業ノウハウです。それらを軸に標準化していきましょう。

②できるだけシンプルなプロセスにする

標準プロセスはできるだけシンプルにつくりましょう。複雑な作業や個人の適性に依存してしまう難しい要素が含まれると、プロセスを充実に守れないスタッフが増えてしまい、標準化の意味がなくなってしまうからです。

③プロセスにある程度の柔軟性を持たせる

営業プロセスには、商談の状況や顧客の要望に合わせて対応する柔軟性が必要です。厳格にプロセスを適用しようとするあまり、固定的なプロセスにしすぎると、顧客の要望を満たせず満足度低下の原因となる場合があります。変化に適応しやすいプロセスを目指しましょう。

④SFAやMA、CRM(ITツール)を導入する

営業プロセスの標準化のために、ITツールの導入を検討しましょう。営業活動に役立つITツールにはSFA、MA、CRMがあります。

  • SFA(Sales Force Automation):営業活動の管理や効率化を図るためのツール
  • MA(Marketing Automation):メールやWebサイトなどリードを獲得するマーケティング活動の支援を行うツール
  • CRM(Customer Relationship Management):顧客や見込み客の情報の一元管理を行う

これらは営業プロセスの各フェーズを担うもので、3つすべての機能が統合された営業支援ツールもあります。営業プロセスの標準化にはこれらのツールを導入するとよりスムーズです。ITツールによって営業活動の進捗や成果などのデータを蓄積し、自社の営業活動の弱い部分を洗い出すことでプロセスそのものの改善活動が容易になるからです。それぞれの営業スタッフの活動が可視化されることで営業の属人化も防げます。

まとめ:営業プロセスを標準化して業績を向上させよう

営業プロセス標準化のポイントは、トップセールスの営業プロセスの可視化、シンプルで柔軟性のあるプロセス作成です。また、より効率化するにはITツール導入を検討しましょう。営業プロセス標準化により、効率的な営業活動や業績向上を実現できます。まずは現状の営業プロセスを可視化するところからはじめてみましょう。

*kouta, ふじよ, metamorworks, タカス, takeuchi masato, kou / PIXTA(ピクスタ)

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