
違法になってない?みなさんの残業時間に関するお悩みと回答
年度末だと増えがちなのが残業。いつもの仕事に加えて決算前ということもあり、売上の最後の一押しや各種の報告資料などやらなければならない事象が増え、気が付けば残業になっている従業員が増えている…ということも少なくないかと思います。
しかし、経営者、管理者としては残業になりすぎるのも悩みの種。場合によっては従業員の負荷を増やしてしまうことや、法令違反になってしまう可能性もあります。
そこで本記事では残業時間に関するお悩みをまとめてみました。従業員を、そして会社を守るためにもこの機会にぜひ知っておいてください。
目次
1.【法令違反になる前に】残業時間を効果的に管理する方法とは
質問日:2023年07月21日
◆質問内容(一部抜粋)
(前略)
時間外労働についてです。残業する人が固定化しており、36協定の特別条項すら超えるのではないかと危惧しております。代表にそれとなく苦言を呈していますが、納期があるから仕方ない、昔はもっと残業していた等の回答しか返ってきません。
弊社は変形労働時間制を採用しており、36協定も特別条項付きで提出しています。労基の抜き打ち検査が入る可能性が高いこと、違反すれば補助金の申請や新卒採用ができなくなることなど伝えていますが、今一つ響いていないようです。
顧問をお願いしている社労士の先生にもっと強く言っていただけるようこっそりお願いすることぐらいしか、これ以上できることはないと思っています。
時代錯誤な質問で大変恐縮ですが、事務担当者として他にできることがありましたらご教授いただきたいです。(後略)
▼総務の森に寄せられた回答例
回答①
当社も以前は残業する人が固定化していて、御社と同じ状況でした。
労務担当で「見える化」を目的として、時間管理のソフトを導入し、残業時間を数字で見える化したところ効果がありました。それとなくではなく、数字ではっきり見える化して社長に報告すると良いかもしれません。
また、当社の同業他社でサービス残業の内部告発があったらしく、一昨年、非定期監査が入りました。とばっちりを受ける可能性が高いことも情報提供したほうがよいと思います。
回答②
貴社に労働組合があるのであれば、労働者を保護するという考えから違法な時間外労働に対しての労使の話し合いというか、そのような対象者に残業をさせないように「見える化」することも可能ではないかなと思います。
「昔」と今では法律の内容も異なっているので、時代に順応できないトップがいるという点ではトップダウンの改善は期待できないと思います。
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『36協定違反を防ぐために』
2.【残業にならないために】これって通勤時間?労働時間?
質問日:2023年09月19日
◆質問内容(一部抜粋)
弊社は遠方での業務が多く、現場までの移動時間により36協定の範囲内で時間外労働を抑えるのに苦労をしています。つきまして、下記のご質問があります。
1、社用車で自宅より直接現場に行く場合、又は直接自宅に帰る場合は現場まで、又は自宅までの時間は通勤時間としますが、社用車に自身が使用する工具類を載せている場合は通勤時間でしょうか、労働時間でしょうか。
2、上記の車で作業員同士打合せをし、集合場所にて同乗した上で直接現場に行く場合、又は現場から解散場所を決め直接帰宅する場合は通勤時間でしょうか労働時間でしょうか。
3、工具類は「会社、又は上司から監視や運搬を命じられた物品」となるのでしょうか。(後略)
▼総務の森に寄せられた回答例
回答①
(前略)
1.
業務に必要な物品を現場まで搬送する必要があるのであれば、それは通勤時間でなく、労働時間として扱う必要があると思います。2.
集合することが会社の指示によるものであれば、合流からは会社の指示により移動していることになります。
会社の指示でなく労働者同士が通勤のために申し合わせて乗り合わせた状況であれば、それは通勤時間として解釈できるかと思います。3.
命じられていなくても、移動した先で業務に必要な物品であれば、その時間は業務として搬送に必要な時間であると解釈されると考えます。
回答②
ご質問の1,2については判例があります。長野労基署がリーフレットを作成していますので、参考にしてください。
https://jsite.mhlw.go.jp/nagano-roudoukyoku/content/contents/idoujikanminaishi_R302ueda.pdf3.については会社の備品であれば、「会社、又は上司から監視や運搬を命じられた物品」になると考えます。自腹で買ったものなら個人の所有物なので、当該の物品にはならないのではないでしょうか。
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『通勤時間について質問です』
時間外労働の上限を超えないために。管理職が残業時間で押さえておくべきポイントは?
時間外労働の上限は厚生労働大臣の告示(限度基準告示)によってのみ定められていましたが、働き方改革による労働基準法の改正によって、労働基準法において時間外労働の上限が定められました。中小企業に対しても適用され、一部の業種を除いてほとんどの企業へ適用されるに至っています。
時間外労働の上限規制に違反すると、行政指導の対象になるだけでなく刑事罰の対象にもなりますし、なにより企業のレピュテーション(評価、評判、信頼)を大きく下げることになり、人材獲得に深刻な影響を与える恐れがあります。本稿では、時間外労働の上限規制について解説していきます。
>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『残業45時間を超えたらどうなる?超過する場合の対処法とは』
最後に〜相談の広場ご紹介〜
『総務の森』は、『経営ノウハウの泉』の姉妹サイト。総務、人事、経理、企業法務に関わる方の、業務のお悩みを解決する日本最大級の総務コミュニティーサイトです。
調べても分からなかったことを質問や相談をしたり、専門家が執筆しているコラムを参考にしたりして、今抱えている疑問や問題を解決していく場を提供しておりますので、ぜひご参考にしてください。
※記載されている返信はいずれも総務の森サイトの会員による投稿文であり、掲載情報の正確性、有効性および完全性等に関して、保証することはできません。
詳しくは「総務の森 利用規約」をご確認ください。
*TheCorgi / PIXTA(ピクスタ)