【通勤費支給ルール】定期代一律支給は難あり? 会社で規定すべき通勤費のルール
出社が当たり前だった世の中は今となっては昔のこと。リモートワークが推進され、出社とリモートを併用するハイブリッドワークが増えてきました。それに伴い、通勤定期代の支給ルールも柔軟に対応している企業も増えてきています。
しかし、通勤定期代を一律で支給している企業では、転職や育休等での人の入れ替わりが活発になると、支給方法について「そんなところまでルールが定まっていないよ」と悩むこともあるでしょう。
今回は、そんな通勤費の支給に関するお悩みを取り上げました。
通勤費のルール見直しの参考にしてください。
1.退職予定者の通勤定期代はどう支給する?
質問日:2024年4月23日
◆1.質問内容(全文)
通勤定期代についてご教授ください。
通常、6か月定期代を定期が切れる前月に給与と一緒に支給しています。
退職する場合は在籍しなかった月の払戻額を確認し、給与より返金してもらっています。数か月後退職する者の定期が退職前に切れる場合、
定期が切れてから〜退職まで(6月退職で4月に定期が切れる場合5・6月の2か月分)の定期代を支給すべきか、
6か月定期代から在職しない月の定期代を払い戻したものとした額(6月退職で4月に定期が切れる場合5月〜10月の6か月定期代から7〜10月の4か月を払い戻しする分を差し引いた額)を支給すべきか悩んでおります。
(規定には特別記載はありません)
◆1.総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
2か月後に退職することが分かっている社員に6か月分の定期代金を支給するのですか?
割り戻し率にもよるのでしょうが、
解約・戻し入れの手間を考えると2か月分の代金を支給するのが合理的と思います。もしくは6ヶ月定期を解約した場合…
6か月定期代金 ー 解約戻し金:A
2ヶ月定期代金:B として
A、Bの比較で小さい方にするのもありだと思います。
会社としてどうするか決めておけば悩まなくてすむと思いますよ。
例えば、退職予定に関わらず6か月分を支給し、未使用分は速やかに解約・戻し入れをする。
とか、残りの勤務期間に応じた金額とする。とか、とにかくケースバイケースで最小金額の手段にする。とか。
(後略)
●回答②
(前略)
事業体の定期設定は1か月、3か月、6か月とあると思います。
退職が決まっているのであれば退職月までを1か月や3か月の組み合わせで支給することで
解約・返戻や振込確認という双方の手間が省けます。
2か月後であれば1か月定期を2回
4か月後であれば3か月と1か月をそれぞれ
として支給することで解約返戻という事後処理をせずに済みます。
他には6か月定期の1/6を1か月として退職月まで分を支給するというのもあります。
通常の1か月より少な目なので従業員は自己負担分が発生しますが致し方ないとなります。
無理に6か月に拘らなくとも利用できる設定期間を使用する方が合理的かと思います。
(後略)
●回答③
(前略)
規定には記載がないとありますが、
> 通常、6か月定期代を定期が切れる前月に給与と一緒に支給しています。
> 退職する場合は在籍しなかった月の払戻額を確認し、給与より返金してもらっています。
これは慣例としておこなっていた方法でしょうか。
支給から3か月半で退職した場合、
(6ヶ月定期券代)ー(4ヶ月分の定期券代)ー(払戻手数料)の額を
返金してもらうということでしょうか。
> 数か月後退職する者
すでに退職届が提出されているのであれば、退職日が確定しているのでしょうから、
会社負担を減らすという目的で上記の場合、
(3ヶ月定期券代)+(半月の日々の通勤費)
を支払うことは方法かと思いますが、規定にない方法であれば、
会社の経営陣もしくはそれに準じる方と相談の上、
支給をどうするのかを決めていただき、それを規定に定義することが方法でしょう。辞めると公言していても退職届が出ていないのであれば、
退職として扱うことは早急かと思いますので、規定に沿って処理することが望ましいかと思います。
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総務の森<相談の広場>『退職予定者の通勤定期代について』
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2.先渡ししていた復職者の通勤費は返納してもらえる?
質問日:2024年3月18日
◆2.質問内容(一部抜粋)
(前略)
通勤費は、6か月定期の金額を年2回先渡ししています。
29日間病気欠勤した職員が、4月1日から復職する予定であることが分かりました。
通勤費規定には、途中入社や復職した人には暦日日割りで支給すること、
退職者には1日分の通勤費を算出して返納してもらうという記述があります。
復職社員の給与試算をしますと、
欠勤控除、通勤手当返金、社会保険料住民税雇用保険料控除で、振込額がマイナスになります。そこで私情になるかもしれませんが、
退職者は、自分が1か月程度前から退職が分かっているので定期券の払い戻しなどできますが、
病欠の人にとっては、定期券を払い戻しに行くことはできませんし、
いきなり1日300円ほどになる通勤費を返せというのは、
労働者が損をする不利益になるということはありませんでしょうか。規程には復職者には支給の記述、退職者には返納の記述(運用細則)となっています。
(後略)
◆2.総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
個人としてどう考えるか、ではなく会社としてどう考えるかの問題です。
欠勤が長期にわたる場合に、社会保険料などで支給額がマイナスになることは通常のことです。
また、通勤手当について、会社の規定で返金について決まっているならば、
その通りに処理するのが原則だと思います。その内容自体は当然のものであり、事前に決まっていることでもあるため、
不利益だとは思いません。ただし、返金額が大きくなるなら、分納などを認めることはありえるでしょう。
また、仮に返金を求めないのであれば、定期を解約してしまえば丸儲けということになります。
下手に返金を求めない、とするよりかは解約の代理をするほうがよほど理にかなっていると思います。
●回答②
(前略)
結論的にいえば、貴社の規程がどのように記載されているのか、でしょうね。> 通勤費規定には、途中入社や復職した人には暦日日割りで支給すること、
復職した方とありますが、何から復職した方ですか?
休職の規程があれば、それから復職した方ではありませんか。
そして休職期間中には通勤手当の支給がないという規定になっていませんか。そして、退職者と復職者は同じではありませんので、
退職者に対する規定は復職者には当てはまらないはずです。病欠からの復帰の際に、欠勤分の通勤手当を控除するという考えであれば、
たとえば発熱で1日お休みしても1日分の通勤手当を今までも控除されていたのでしょうか。
貴社の就業規則では、29日程度の病欠で休職扱いになるのでしょうか。
等の疑問があります。就業規則における「復職者」というのは、何に対する復職なのかを確認してください。
単に病欠からの復職であれば対象となっていますか?> 復職社員の給与試算しますと、
> 欠勤控除、通勤手当返金、社会保険料住民税雇用保険料控除で、振込額がマイナスになります。働いていない分の給与がなくても、
住民税や社会保険料については支払いが必要になりますので、その分はマイナスになることはありますよ。
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『 復職時、通勤費の返納』
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