
「これは経費で落とせる?」コスト削減にもつながる経費ルールを考えよう!
皆さんの会社では経費のルールはどのようにしていますか。
社員の皆さんにとっては、業務に関わる支出を経費で処理して、自分の負担を減らしたいというのが本音でしょう。
しかし、経営者にとっては、何でもかんでも経費で落とすことを許すと、会社の経営を圧迫してしまう恐れがあります。
今回は、経費に関するお悩みをピックアップしました。
自社のコスト状況を精査し、経費ルールを今一度見直してみませんか?
1.立替経費の上限はある?社内ルールはどうなっている?
質問日:2023年9月1日
◆1.質問内容(一部抜粋)
(前略)
今回の内容ですが立替経費についてご質問させていただきます。
立替経費ですが皆様の会社では金額の上限を設けていらっしゃいますか?従業員の立替経費を計算したところ
合計で15万以上の申請をされた方がいました。
内容としては主に、
出張の際に発生した旅費交通費になります。弊社としては領収書もご提出いただき
申請内容についてはすべて確認がとれたのですが、
これまで15万以上の申請がなかったので
これまで通り、ご申請頂いた通りにお支払いして良いのか分からない状況です。
弊社は、就業規則はまだ未完成で、上司からも上限に関しては特に意見はないです。
(後略)
◆1.総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
貴社の出張の経費を従業員に確保させるのであり、1回の出張経費が15万円を超えることがあるというのであれば、認めない、としてはいけないと思います。申請内容において、私的なものがある等の不備がないのであれば、本来会社が支払う費用ということですから、支払わなければならないでしょう。
事後報告制度が嫌であれば、会社で旅券や宿泊を取りまとめる等の制度を設けたり、宿泊については上限設定を行ったり、旅程においてはプレミアムシートやグリーン車の利用を制限したり、は規程としておこなってもよいかとは思います。
ただ、それも会社によりけりですので、そうしなければならないというわけではありません。
●回答②
出張旅費規程も作成した方がよろしいかと思います。
宿泊費の上限、有料特急やグリーン車、航空機利用の条件、出張手当の日額、など。
10万円を超える出張費について、出張者本人の負担もありますので、コーポレートカードなどの貸与も選択肢に入ると思います。業務として出張されているのであれば、当然費用は会社の経費となります。
個人として立て替えたものに対して、会社が費用弁済をしないことはあり得ません。
●回答③
(前略)
金額については他の方の回答がありますので別視点で…
期間はどの程度でしょうか。
1か月分を纏めて精算されているのでしょうか。
出張の都度の精算はされていないのでしょうか。
航空券、鉄道等高額になる予約は本人任せなのでしょうか。
事前に予約が取れた時点で精算はしないのでしょうか。
予約の取り方…本人任せか事業所予約か…、精算の期間…都度精算か期間精算か…等精算する前に出張経費をどのように本人立替を減らすようにするかを考えるのが先のように思われます。
「事業所経費の個人立替は無い」、もしくは「極力少額に」を基本に考えてみてはどうでしょうか。
経験則では現地費用…出張先の現地交通費等…程度しか立替は発生しません。
(後略)
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『立替経費の金額の上限について』
【関連記事】経費ルールの見直しはコスト削減につながる?
企業の利益を増やすには売上を増やすか、コストを削減するかです。
中でも「経費」はコストの削減を行う際には、重要なテーマとしてあげられます。
経費精算は毎月発生し、その確認作業にも多大なコストがかかります。
したがって、社内の経費規定を見直し、効率化を図ることが不可欠です。
経費の見直しとともに、具体的なコスト削減策について考えてみましょう。
>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『【中小企業経営者必見】コスト削減アイディア&やってはいけないNGポイント3つ』
2.資格受験の費用は経費としなければいけない?
質問日:2024年4月24日
◆2.質問内容(全文)
部署で年度内資格取得計画をたて従業員に受験させています。
複数回受験しても合格しない従業員が多いため、ルールとして初回受験と合格した場合は、受験料は会社経費、合格しなかった場合は給与控除となっています。
休日に試験地に向かい受験していますが、初回受験の場合は休日出勤扱い。それ以外は出勤扱いとはなりません。規程に明記されている内容でもありません。会社で計画をたてている資格取得ですが、特に問題はないのでしょうか?
◆2.総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
その資格がなにであるのかわかりませんが、業務を遂行するのに必須の資格の試験なのか、必須ではないが推奨されているとか昇進に必要な資格の試験なのかでも判断は異なるかと思います。休日に本人の自由意志で受講する試験であれば労働とは考えなくてもよいかと思います。一方で防火管理者等のようにその店舗などに必須の資格が必要ということであれば会社命令としての労働として扱うことが望ましいかなと思います。
●回答②
法律的には微妙なところらしいので、運用は各会社で異なっているのが実態のようです。まず、会社として計画を立てているので、事実上各社員に職務として資格取得を担わせていると考えられます。その一方、資格は回答者①さんが回答していらっしゃるように、会社として必須のものやあった方が望ましいもの、個人的な興味で受験するものなど多種多様にわたり、職務であるか否かの区別がつかないものもあるでしょう。また、資格は個人につくものなので、会社の努力が身を結ばない可能性も当然あります。費用に関しては切り分けがないといけないものなのです。
会社として資格取得を奨励しているのであれば、そのルールがないまま計画を立てていたとしても、運用が恣意的になってしまう可能性がありますし、なんの根拠もない資格取得制度に社員を従わせるのは疑問です。
会社としてルール設定が難しいなら、部署としてルールを設定してそれを内規として継続的に運用していくことが必要だと思います。資格取得費用については何らかの基準を作った方が良いと思います。
●回答②への返信
ご回答ありがとうございます。
部署ルールとして明文化されていないため、まずはそこから始めます。
法律的には微妙とのお話ですが、該当の法律について教えていただけませんか?
宜しくお願いいたします。
●回答②-2
年間計画を立てて、具体的な資格名と取得予定者を明確にしているなら、資格取得を業務として会社が従業員に指示しているとみなせます。その場合、資格取得は業務なのですから、費用はすべて会社もちが筋でしょう。学習のための時間も業務と考えても良いと思います。
しかし、資格は個人につくもので自己啓発の結果でもあります。会社運営に必須の資格の有資格者がいなくなってしまったための緊急対応でない限り、会社としての即時的なメリットは見えにくいものです。だから100%会社もちと言うのも疑問があって然るべきでしょう。法律的に微妙と書いたのはこの点です。
要は資格取得プログラムにおいて人材育成(=会社の責任で行う業務)と自己啓発(=個人の責任でスキルを磨く勉強)を切り分ける考え方とその範囲が不明確だから費用という具体的な措置をとる段階になってわからなくなるのだと思います。
会社運営に必須の資格の場合でも、有資格者ゼロなら業務で取得してもらうでしょうし、社内に有資格者がごまんといるなら、その資格取得は自己啓発で自腹という考え方も可能でしょう。どちらにしろ考え方には筋が通っているべきで恣意的ではないルールになっている必要があると思います。
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『資格受験時の経費について』
【関連記事】業績を向上させるため戦略的経費の使い方
中小零細企業の経営において、戦略的経費にはさまざまな考え方がありますが、筆者はシンプルな考え方を採用しています。それは、中小零細企業の事業内容は大企業ほど複雑ではなく、たいてい1つないし2つの事業で全体を捉えることができることが多いため、戦略的経費の種類も3点程度の内容で充分対応できるからです。
今回はまず戦略的経費を定義し、その活用方法や検証方法といった全体像をつかんでいただけるように解説していきます。
>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『中小企業こそ知っておきたい!業績を向上させるため戦略的経費の使い方』
最後に〜相談の広場ご紹介〜
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