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TOP > 記事一覧 > 経営・財務 > 中小企業こそ知っておきたい!業績を向上させるため戦略的経費の使い方

中小企業こそ知っておきたい!業績を向上させるため戦略的経費の使い方

2024.05.15

中小零細企業の経営において、戦略的経費にはさまざまな考え方がありますが、筆者はシンプルな考え方を採用しています。それは、中小零細企業の事業内容は大企業ほど複雑ではなく、たいてい1つないし2つの事業で全体を捉えることができることが多いため、戦略的経費の種類も3点程度の内容で充分対応できるからです。

今回はまず戦略的経費を定義し、その活用方法や検証方法といった全体像をつかんでいただけるように解説していきます。

戦略的経費とは

「何やら耳慣れない表現だな」「経費は全部戦略的経費じゃないのか?」など思われる方もいらっしゃるかもしれません。

戦略的経費とは「売上を向上させることに直結する経費」と定義します。中小零細企業の経営者や財務部門の幹部にはこのような考え方をおすすめします。具体的には以下の3Kで覚えていきましょう。

① 広告費(宣伝広告費)
② 交際費
③ 交通費(旅費交通費)

この3つの経費の頭文字“K”を取って表現しています。この3Kを戦略的経費として心に留めておきましょう。

戦略的経費計画を立てるべき理由

戦略的経費について計画を立てるべき理由は、端的にいえば「予算組みをしたうえで効果検証を行うため」です。

中小零細企業の経営者は多くの大手企業・上場企業と違い、独特の経営形態をしています。それは所有と経営が一体になっているという点です。

これは中小零細企業の経営者は自社のほとんどの株式を保有しており、経営の最高実権者であることが一般的で、自社の経営に対してほとんどの場合、抑制する機関がないことを意味しています。

一方で、大手や上場企業であれば、創業一族が大株主ではあるものの、一定割合が創業家以外の個人投資家やその他企業が株主であるケースが一般的で、経営者の暴走を止めるための”厳しい目”が存在します。

つまり、中小零細企業経営者は自制心や計画性がなければ、経営者の意のままに経費が湯水の如く使われてしまい、経営を逼迫する要因になりかねないという側面があるということです。そのため、どのような経費を年間どれだけの金額で、どのような目的や目標に対して使用し、その効果がどの程度あったかを検証することは非常に重要です。

まずはこの3Kというシンプルな考え方で戦略的経費計画を立て、経営に取り組んでみることをおすすめします。

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中小企業において戦略的経費が果たす役割

中小企業において、戦略的経費はどのような役割を果たすのでしょうか。

最も考えられる効果は「売上に直結する行動を意識するようになること」です。さらに、効果検証を細かく行えば行うほど、売上や営業利益率の向上を見込むことができます。

先月末の経営成績は遅くとも翌月15日までには計算し、各数値の振り返りや検証を行うことが経営のPDCAを回していくうえでの基本動作です。

そのなかで、この3Kの部分をいくら使用して、どのような効果が出ているのかということをまとめたレポートやコメントを経営者自らが作成し、月次の会議などで社内へ共有していくことが重要です。これにより透明性のある経営につながり、社員から経営者に対する不信感を軽減することができます。

「ウチの社長は付き合いでよく分からない広告や協賛ばかり出している」(広告費)
「ゴルフによく行って、夜も社長同士の付き合いで飲み歩いているらしい」(交際費)
「理由もわからず出張ばかり行って、半分は旅行じゃないのか?」(交通費)

このような社員からの疑いの心やちょっとした嫉妬心を防ぎ、経費の目的と目標の効果検証をできる限り開示することで求心力も高まっていくのではないでしょうか。

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財務状況別経費の投入方法

最後に、財務状況別に積極的に経費を投入していく手法を説明します。業種・業界・市場は千差万別だとは思いますが、効果が出るであろう仮説を立てるためのヒントになれば幸いです。

目標値を上回る業績が絶好調のケース

今まで投入した戦略的経費の効果が想定よりも出ている可能性があります。具体的に何が好調であるかを細かく分析し、その要因を明確にすることで、さらなる業績向上につながる分野に積極的に予算を割り当てるか、あるいは戦略的経費の一部を削減し経営効率を高める方針にするか、経営者が判断すべき状況といえます。

目標値前後の業績が通常レベルのケース

戦略的経費の効果が想定通り出ている状態です。仮説と結果が一致している一つの理想的な状況ともいえます。

目標値よりも業績が下回っているケース

戦略的経費に回す予算も虎の子の現金といえるほど、逼迫していることもあり得る状態です。限りある経営資源を分散させることなく、V字回復していくための一点突破の戦略や戦術に勇気をもって投入し、その効果を徹底的に評価し、次の投入額と投入する先を逐次検討していくことが必要です。

まとめ

  • さまざまな経費のなかで戦略的経費は売上向上に直結する重要な経費であることを認識する
  • 3Kの考えをもとに、自社にとってのベストな配分を常に効果検証しながら工夫していく
  • 戦略的経費の効果を毎月レポート形式で経営者自らが振り返り、開示することで社内の求心力が高まる可能性がある
  • 自社の財務状況に応じて、戦略的経費の利用方針は変化していく

*XArtProduction, NicoElNino, Pormezz, PanuShot / shutterstock

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