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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > その退職対応、解雇にあたるかも…。退職トラブルに関するお悩み
怒りに満ちた会社の経営者女性は若い美しい会社員を解雇した。

その退職対応、解雇にあたるかも…。退職トラブルに関するお悩み

社員が退職する際、思わぬトラブルが発生することは少なくありません。規則に則って手続きを進めているつもりでも、退職者から「これは解雇ではないか!」と指摘され、トラブルになることもあるでしょう。

本記事では、解雇と見なされるかもしれない、退職トラブルに関するお悩みをまとめました。法的なトラブルを未然に防ぐためにも、ぜひご覧ください。

1. 試用期間に契約を切りたい、これは違法?

質問日:2024年2月7

◆1. 質問内容(全文)

企業の人事担当ですが、雇用契約についてご相談いたします。
まず、求職サイトにて正社員募集をかけていましたが、正社員では雇用が難しい人材であったため、契約社員にて話を進めました。内定通知書には雇用形態を正社員とし試用期間(6ヶ月)についてのみ契約社員扱いとする旨で通知書を出し合意しています。
その後、まずは最初の6か月間を契約社員として雇用契約書を締結し入社しましたが、その後、当初の話と違うとのトラブルとなり退職になりましたが、本来自己都合退職であるにもかかわらず、会社都合の退職にするよう請求がありました。
この場合、会社としては本人の要求を飲まざるを得ないでしょうか。

◆1. 総務の森に寄せられた返信はこちら

回答①

(前略)
期間の定めのない求人募集を行い、結果として有期雇用契約になったということだけであれば、合意されたのであれば一方的ではないように思えます。

ただ、「当初の話と違うとのトラブルとなり退職になりました」とありますので、求人の際の労働条件と実際の労働条件が乖離しているのであれば、退職については本人の意志によるかもしれませんが、会社の偽りの条件のために離職したということであれば、会社都合と判断されることはあります。
その点はハローワークの判断が入るでしょう。

> この場合、会社としては本人の要求を飲まざるを得ないでしょうか。
会社に明らかに非がないのであれば、解雇でないので退職と思いますけど、トラブルの原因によるのかなと思います。

●回答②

ハローワークに提示した処遇条件は採用の誘因に過ぎません。雇用契約締結時の処遇条件がハローワークへ提示した条件と異なっていたとしても、本人が契約締結時に提示された条件を応諾しているのですから、締結した契約内容について採用後に異議の申出があったとしても、応じる必要はありません。ハローワークに提示した条件と違う点が不満なら、契約を締結しなければよかっただけのことです。

条件が違ったから退職するのであれば本人都合の退職です。ハローワークがどのように判断するかはハローワークの権限ですから、会社側はほっとくことです。尤も、会社都合退職処理され、それが助成金に影響するなら異議を申し出る手はありますが。

●回答③

(前略)
一応刑事処罰案件ですので、採用担当者も読まれることとして、注意喚起しておきます。

求人内容については、正確性を期しておくにこしたことはありません。求職者と接して、締結する内容については、その人にあった条件にあわせたいことはままあることです。その場合は、立てた求人内容の、変更、追加、取り消し、確定する部分につき対比表にするなど、書面にて交付しておく必要があります。どんなに遅くとも労働条件通知書にアンダーラインを施すなりして、求人内容からの変更部分等を求職者に説明することも可です。

虚偽求人があとをたたないため平成30年職業安定法改正で強化されています。こういった書面説明はこの免罰要件となる重要な要素ですので、口頭説明了解とりつけだけですますことは同法違反として取り調べを受けるはめになることを頭にたたきこんでおかれることです。

さて前置きはこれくらいにして、ひとつ質問者さんに確認したいことは、とりかわした内定通知書、雇用契約書については、労基法15条1項の雇い入れ時交付書面の法令事項を網羅されてあるのでしょうか。入職したところ、その書面義務事項が事実と相違していれば、同条2項により即日退職できます。これは会社都合扱いとなります。ただ離職者がハロワに相談したところ、交付書面と事実にあきらかな齟齬が認められないので、会社から会社都合の一筆とりつけてみてはといわれたのが現段階ではと推測します。

本人にはできない旨を伝え、その後ハロワから照会あるでしょうから、本人申し立ての齟齬がどこにあり、雇用契約書と事実に齟齬ないことを疎明することになるでしょう。

>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『雇用契約について

【関連記事】採用したけど実力が微妙…試用期間中に解雇はできる?

中途採用をしたが、期待値以下のパフォーマンスに悩む経営者や人事の方の話をよく聞きます。とりあえず試用期間に実務をやってもらい、期待していたパフォーマンスを発揮しない社員については、「本採用しないようにしたい」と考えるのはある意味当然です。そもそも、“試用期間”というのは、本採用するかどうかを決めるための期間。そこで期待した能力に満たないならば、当然会社としては雇用を継続したくはありません。

しかし、現在の法律では、そのような“本採用拒否”はかなり難しいとされています。下記記事では、法律事務所を経営する弁護士である筆者がリスクを減らし、本採用拒否をするための方策や、期待値ズレの採用をしないための対応策について解説していきます。

>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『「採用したけどちょっと…」試用期間に解雇は可能?違法にならない対応方法を弁護士が解説

2. 退職日は本人の希望・就業規則、どちらを優先すべき?

質問日:2024年5月15日

◆2. 質問内容(一部抜粋)

(前略)
弊社の就業規則では退職日について、最終出勤日または有給の最終利用日を退職日とすることが定められているのですが、調べていると今の対応に疑問があり適切であるかを相談させていただきたいです。

パターン①
最終出勤日が5月17日で以降の有給利用がない。
本人は18日以降を欠勤扱いにして5月31日付での退職日を希望。
→会社の規則として最終出勤日以降を欠勤とすることは規則上できないため17日退職とする。

パターン②
最終出勤後に有給を使用し、5月17日(金)が最終有給利用日となった。
本人は5月19日(日)付での退職希望。(20日(火)より新しい会社へ入社)
→会社の規則として最終出勤日以降を欠勤とすることは規則上できないため17日退職とする。

また、月末が土日祝で、最終出勤日または有給利用日が月の最後の平日だった場合に限り本人からの希望があれば月末日で退職日とすることは可としています。
(後略)

◆2. 総務の森に寄せられた返信はこちら

●回答①

(前略)
1.
会社が是認すればよいでしょうが、無断もしくは自己の都合による欠勤を貴社は許容されているのでしょうか。
退職という事象がない場合にどうされているのかをお考えください。
会社によっては、無断欠勤については解雇の対象になることはあります。

ただ、連続欠勤を会社が許容差得るのであれば、連続欠勤した上で退職すること自体は法的に違法になることはありません。

2.
本人が5/19退職を希望し、5/18および5/19が会社の休日であるのであれば、会社が5/17に解雇させることはできないでしょうね。
5/18もしくは5/19が通常労働日であるのであれば、出勤してもらうべきでしょうが、1日の無断欠勤をもって解雇にはならないと思います。

相談の上5/17を退職日とすることは可能ですが、本人の合意なしに会社が5/17を退職日とすることはできないでしょうし、5/17に解雇になる理由がない事例かと考えます。

そもそも土日が会社の休日であれば、会社の休日に有給休暇の取得はできないですからね。
また法的に会社の営業日のみを退職日としなさい、とする法律は存在しないです。

●回答②

(前略)
契約期間の定めのない雇用契約においては、
本人の希望より、前に退職日を設定するのは、解雇と違いがありません。

しかしながら、当然欠勤に対しては、会社として損害があるわけで、
むしろ、労務提供がされない以上労働契約の債務不履行を主張することで、退職日の調整を行うのも手段と考えます。

>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『退職日について、就業規則が優先か本人都合日を優先か

【関連記事】モンスター社員は解雇できる?対応方法も確認

企業活動を営む中でしばしば問題となるのは、度々社内でトラブルを起こす“モンスター社員”への対応です。“問題社員”とも呼ばれます。モンスター社員への対応を怠ってしまうと、職場の秩序が乱れ、真面目に働いている他の従業員の業務効率やモチベーションの低下を招き、結果的には他の従業員の精神不調や退職を招くおそれもあります。

下記記事では、弁護士である筆者が、モンスター社員に対応するにあたって、知っておくべき関連法律や実際に解雇する場合の流れを解説します。

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経営ノウハウの泉『違法にならず解雇できる?今すぐにでも辞めてほしい「モンスター社員への対応」【所要期間や注意点も】

最後に〜相談の広場ご紹介〜

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