登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 優秀な社員を『介護』が理由で失わないための3つのチェックポイント
介護 介護離職

優秀な社員を『介護』が理由で失わないための3つのチェックポイント

2021.01.21

2021年1月1日より、育児・介護休業法施行規則が一部改正されました。これによって、子の看護休暇や介護休暇が1時間単位で取得可能となります。

今までは、子の看護休暇や介護休暇は、一日単位あるいは半日単位で取得するものでした。また、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は、半日単位での取得の対象外とされていました。

しかし、今回の施行規則改正によって、子の看護休暇や介護休暇が1時間単位で取得可能となりました。また、原則として、日雇い労働者を除くすべての労働者が制度の対象となりました。

この改正に伴って、御社の就業規則や育児・介護休業規定などを見直す必要が生じると思われます。自社の規則・規定が改正に合ったものであるか必ず確認してください。

仕事と介護の両立支援の必要性

ところで、仕事と介護の両立支援制度に関しては、すでにさまざまな法整備がなされています。

介護休業制度や介護休暇、介護のための所定外労働・時間外労働・深夜業を制限する制度や所定労働時間の短縮措置などがあります。これらの制度は、企業規模に関係なく法で義務付けられたものです。会社が任意で定めるものではありません。

では何故、これ程までに仕事と介護の両立支援制度が必要とされるのでしょうか? それは、従業員の介護離職を防ぐためです。

介護離職を防ぐことは、従業員本人のためだけでなく、会社にとっても重要な意味を持ちます。

介護中の従業員が会社に及ぼす影響

介護中の従業員が会社に及ぼす影響として、以下のものが挙げられます。

1.介護中の従業員の疲労が蓄積することで、労働生産性が低下する
2.従業員が突然離職する

育児と違って、介護は先の見通しが立てづらいです。1年後にどのような状況になっているか、数年後はどうか、介護が一体いつまで続くのか、全く見通しが立ちません。

また、親の介護を担う世代は、会社の管理職世代と重なるケースが多いです。会社の中核的な役割を担う管理職者が、介護によってその能力が十分に発揮できなかったり、突然離職してしまったりしては、会社のダメージは計りしれません。

仕事と介護の両立支援は、会社が戦略的に行っていく事項なのです。

仕事と介護の両立支援成功のポイント

会社が仕事と介護の両立支援を成功させるためのポイントは以下の3つです。

1.介護に直面する前からの従業員への支援
2.介護に直面した従業員への支援
3.働き方の柔軟化の定着

順を追って紹介していきます。

1.介護に直面する前からの従業員への支援

まだ介護には直面していないけれども、将来的に介護に直面する従業員への支援として、たとえば、次のことを行ってみてはどうでしょうか。

1-1.従業員が介護について一人で抱え込まないよう、会社や上司に相談できる体制を作る
1-2.介護保険制度などの公的制度と利用できる社内制度について、事前に基本的な情報を提供する

介護については、従業員からの申し出がないと、会社が把握することは難しいです。また、従業員が介護に突然に直面するケースも多くあります。

そのため、事前に基本的な情報を与え、必要な心構えを伝えておくことが重要です。

2.介護に直面した従業員への支援

法整備が進み、さまざまな支援制度ができています。

会社に対し法的に義務付けられているもの(介護休業制度や介護休暇など)をきちんと利用できるようにしておくことが重要です。

また、制度の利用を申請しやすい職場であることも重要です。制度を作っただけで実際は誰も使っていない、もしくは、制度を使用することに対する抵抗感が従業員側にあっては、まったく意味を成しません。

3.働き方の柔軟化の定着

仕事と介護の両立だけに限ったことではありませんが、現在、『働き方改革』として、国がさまざまな政策を進めています。なかでも、長時間労働の是正は最も力を入れているものです。

従業員の心と体の健康、労働生産性の向上のために、長時間労働の是正については企業が積極的に取り組むべきものですが、仕事と介護の両立にとっても重要です。

長時間労働が横行している職場では、介護休暇や介護のための制度の利用を申し出ることができません。

このような職場では、介護中の労働者は、年次有給休暇を取得しながら介護を続け、年次有給休暇を使い切ってしまった後は離職していく道を選ぶことが多くあります。また、年次有給休暇すら取得できない、あるいは取得しにくい職場では、介護中の労働者は諦めの気持ちを抱え、何ら会社に事情を話すことなく退職していきます。

介護が原因で退職していったことさえ把握できていない会社が多くあります。そのため、それ以降も何ら対策を講じることなく、しばらくたつとまた、優秀な従業員が介護のために辞めていくということになります。これでは会社はジリ貧になります。

仕事と介護の”両立支援”に成功している会社の特徴

仕事と介護の両立に成功している会社に共通するのは、風通しが良いことです。介護について相談できる体制や雰囲気ができあがっています。また、一定年齢に達した従業員全員に、定期的に介護についての情報を提供しています。

もちろん、働き方改革が進んでいて、残業時間の削減や仕事の効率化、テレワークの導入などの取り組みによって、実労働時間を短縮し働きやすい環境を整備することで、仕事と介護の両立を成功させています。年次有給休暇の取得率も高いのが特徴です。

その要因は、従業員間で業務の情報共有が進んでいて、急に誰かが休んだとしても仕事に支障が出ないようになっているからだと考えられます。仕事の属人化が解消されているのです。

他にも、たとえ介護休業などで長期間仕事を離れたとしても、これによって昇進・昇給や賞与・退職金の査定で不利益とならないような仕組みがあると、従業員の満足度は高くなるでしょう。

以上挙げてきたような仕事と介護の両立支援については、一朝一夕でできるものではありませんし、従業員の年齢構成や会社の規模、業種、地域の事情などによっても、会社が行う支援内容・支援方法は変わってきます。

しかしながら、取り組めることからひとつずつ取り組んでいかなければ、今後多くの従業員が直面する『介護』という問題によって、今後の会社の業績や発展に悪い影響が出てくることでしょう。もう、先延ばしにすることはできません。

まずは自社ができることからで構いません。なにかひとつからで構いませんので、仕事と介護の両立支援体制作りに取り組んでいきましょう。

最後に

介護は育児と違い、課題をパターン化するのが難しいという特徴があります。したがって、支援制度もトライ&エラーを繰り返しながら、自社に合った制度へと作り上げていく、その都度その都度で柔軟に対応していくことなどが必要になります。だから大変なのです。

しかし、そのような地道な努力の積み重ねが御社の財産・強みとなり、従業員の定着や他社との差別化につながっていきます。

* NOBU / PIXTA(ピクスタ)

あわせて読みたい