
【補助金・助成金など】東京都の事業者向け支援策〜経営ピンチを迎える前に
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、資金繰りの不安を抱えている企業に対しては、国や都道府県によりさまざまな支援策が講じられています。
一方で、支援主体や支援の内容に応じて支援策は多岐にわたり、また、専門的な用語が用いられていることも少なくないことから、依然として自社に必要な情報を入手することが難しいとの声も耳にします。
そこで、本記事では、自社に合った支援制度を探すためのヒントと、都内の事業者向けに現在行われている支援策をピックアップしてご紹介します。
支援策の種類
支援策と一口に言っても種類はさまざまです。そこで、まずは全体像を概観しておきましょう。
支援制度を場面ごとに整理してみると、大きく次のような種類に分けられます。資金繰り(もらう)
- 資金繰り(かりる)
- 雇用・従業員に関すること
- テレワークに関すること
- 輸出入に関すること
- 税・年金・保険に関すること
- 生活インフラに関すること
- 公的施設の使用に関すること
(引用:東京都新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ 自分に合った制度を探す 企業・個人事業主向け Q2)
また、少し視点を変えて“支援の受け方”という観点で整理すると、主として次の3つに分けられます。
- (a)受け取れるもの(返済は不要)
- (b)借りられるもの(受け取った後、後々返済する必要がある)+
- (c)現在支払い義務があるものの納期を遅らせられる、納付金額を減額あるいは免除されるもの
それぞれ主要なものとしては、(a)補助金・助成金など、(b)融資、(c)税金・保険料・公共料金の支払い猶予・免除、既存の借り入れのリスケジュール があります。
資金繰り改善という観点からは、(本記事では割愛しますが)金額の大きい(b)を中心に、要件に当てはまる(a)や(c)の利用を検討していくのが良いでしょう。
なお、見落としがちですが最も即効性があるのは(c)であることが多いです。社会保険料や税金、公共料金などについては、必要であれば積極的に納付猶予制度を検討されるのが良いでしょう。
社会保険料については原則1年以内の納付猶予措置が設けられています。管轄の年金事務所に一度ご相談されることをお勧めします。また、口座振替による自動引き落としを設定している場合は、資金繰り懸念が解消されるまで設定を解除するのも有効です。※1
ここからは、返済不要な(a)を中心に主要な支援策をご紹介します。
従業員を休ませた場合の助成金
新型コロナの影響による売上減少や、緊急事態宣言に基づく夜間営業の制限などで従業員を休ませた場合、人件費負担に対して「雇用調整助成金」が活用できます。
雇用調整助成金の特例
従業員に支払った休業手当のうち、日額15,000円を上限に、中小企業については4/5(一定の要件を満たす場合は10/10)、大企業については2/3(一定の要件を満たす場合は3/4)が助成されます。
なお、緊急事態宣言を受けて営業時間の短縮に協力する飲食店に関しては、大企業であっても最大10/10の助成の対象となります(※緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで)。※2
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
会社が従業員を休業させたものの、休業手当を支払わなかった期間についても、会社または従業員が申請することにより、休業前の給与の8割を支援金・給付金として受給することが可能です。
従業員が受給するものであり、資金繰り改善に直接影響するものではないですが、従業員から申請の希望があった際には対応が必要です。※3
緊急事態宣言に基づく営業時間短縮に対する協力金
東京都における緊急事態措置に基づき、営業時間短縮の要請を受けて対象となる全期間について営業時間短縮を行った都内飲食店に対して、協力金が支給されます。金額・要件などは、期間に応じて異なるため、詳細はホームページをご確認ください。※4
なお、令和3年2月8日から令和3年7月の期間に対する協力金は1店舗あたり168万円となっています。
業態転換支援
ウィズコロナやニューノーマルという言葉で表されるように、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う行動の変容に適応した企業の業態転換、新サービス開発を支援する支援策もあります。東京都におけるものを中心にご紹介します。
飲食店のテイクアウト支援
都内の中小飲食事業者が新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」など売上を確保する取り組みを新たに始めた場合に、助成対象経費の4/5(上限100万円)が補助されます。※5
宿泊施設の非接触型サービス等導入支援
都内の宿泊施設において、感染症の拡大防止のために行う非接触型サービスの導入費用や感染症防止策にかかる費用(例:自動チェックイン機の導入、フロントの仕切り板の設置費用など)のうち、補助対象経費の2/3(上限200万円)が補助されます。※6
そのほか、都内事業者向けの支援策は『新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ』から企業規模やテーマごとに検索が可能です。
まとめ
今後の感染動向や政府の方針に伴い、各支援策の内容や申請期限は変化します。下記サイトなどから最新情報を得るとともに、適宜メインバンクや顧問税理士の方などに相談することをお勧めします。
【注釈】
※1 新型コロナウイルス感染症の影響による納付の猶予(特例)|日本年金機構HP
※2 雇用調整助成金|厚生労働省HP
※3 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金|厚生労働省HP
※4 「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(2/8~3/7実施分)」について|東京都産業労働局HP
※5 業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業|東京都中小企業振興公社HP
※6 宿泊施設非接触型サービス等導入支援補助金|東京観光財団HP
【参考】
支援策案内|経済産業省HP
支援策案内|厚生労働省HP
東京都新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ|東京都HP
※本記事の内容は制作時点のもので、記事中で紹介した制度は随時、改訂や終了がされる可能性があります。
*saki / PIXTA(ピクスタ)