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経営者なら絶対に知っておきたい労務トラブルを防止するたったひとつのコツ

2020.08.26

会社を経営するうえで、労務トラブルはついて回るものだと思います。「法律はきちんと守っているのに…」と思う人もいるかもしれませんが、法律よりも大事なことをおろそかにしていることが原因かもしれません。

本記事では、労務トラブルを防止するうえで法律よりも大切なことを紹介します。

なぜ法律を守るだけでは労務トラブルを防げないのか?

労務トラブルを防止するために労働の法律を守ることはとても重要です。法律を守っていなければ、そのことを労働者や労働基準監督署から指摘され、法律通りに支払われていない分の給与を支払うことになってしまったり、給与や手当の扱いについて会社がイメージしていることとは違う結果になってしまったりすることがあります。そして、会社と労働者の信頼関係が失われます。

では、法律を完全に守っていた場合はどうでしょうか。仮にそれができたとしても、労務トラブルは起きます。会社(経営者)と労働者といっても、結局は人間と人間のコミュニケーションですので、どうしてもすれ違いは起きてしまいます。

また、たとえ言いがかりであっても、裁判や労働審判、あっせん、労働組合による団体交渉などを労働者がしようと思ったなら、争うことそのものを止めることはできません。仮に裁判で争われて会社の主張が全面的に認められたとしても、“示しをつける”などの意味はありますが、会社がその問題の解決に使った時間、コスト、エネルギーを考えると会社にとってよいことはほとんどありません。

一方、良いか悪いかは別にして、法律違反があっても会社と労働者とのトラブルにならない会社もあります。その違いは何でしょうか。

(2)法律よりも大事なもの

人間は感情の生き物ですので、「正しい」「間違っている」ということだけではなく「好き」「嫌い」でも判断します。そして、多くの場合、後者の感情の方が影響力を持ちます。労働の現場でも同様で、例えば、新しい人事制度の説明をする上司の人柄やその説明の仕方次第で、全員が納得をすることもあれば、大きな反対が起きて混乱するということもあります。

会社の経営が厳しくなり、整理解雇をしなければいけない場面で、一人ひとりと面談をして、「会社を辞めて欲しい」と言う場合も、「あの人が言うなら仕方ない。今までありがとうございました」となることもあれば、「違法な解雇だ。訴える」と争いになることもあるでしょう。

会社が法律を守ることは重要ですし必要なことです。もし今できていない部分があれば、少しずつでもよい状態を目指していくことは重要です。繰り返しますが、それはとても重要なことです。

しかし、労務トラブルを防止するためには、それだけではなく同時に会社と労働者の信頼関係が深くなるようにさまざまな施策を検討していく必要があります。その方法のひとつとして、いろいろな社内イベントを行う例が増えているように感じます。運動会、飲み会などの社内イベントの多くは近年なくなっていましたが、最近、復活の傾向があります。

また、最近では1on1ミーティング(上司と部下が1対1で行うミーティング)を行う会社も多くなっています。また、日頃の感謝をAmazonギフトなどと交換可能なポイントで伝えられるITのサービスを使うなど、様々なことを多くの会社が実施しています。ただ、なかなかイベントを実施したり、ITサービスを導入したりすることはすぐには難しいかもしれません。

信頼関係というのは、ひとつひとつの行動の積み重ねです。まずは、労働者に対する説明を丁寧にすることを心掛けるとよいと思います。費用がかからず、効果が高いのでおすすめです。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務も増え、直接の面談が難しいこともありますが、『Zoom』などのビデオ会議ツールを活用している会社も多くあります。手軽に遠方とのコミュニケーションがとれるので私も重宝しています。

もちろん、直接会うほどの情報量はなく、細かい表情が見えない、手や足の動きによるボディランゲージががわからないなど、制限もあるので、目的に応じて使い分けは必要です。

(3)経営者なら絶対に知っておきたい労務トラブルを防止するたったひとつのコツ

経営者なら絶対に知っておきたい労務トラブルを防止するたったひとつのコツ、それは“丁寧な説明”です。

ひとつ例を挙げると、労働者にとって最も影響が大きく、関心の高いものとして自分の給与があります。給与や人事評価の制度を変更する際に、どんなに労働者のためを思った制度変更であっても、基本的に労働者は不安を感じます。何の説明もなく新制度を導入してうまくいくのは、カリスマ的な経営者で、全労働者がその経営者のファンのような場合でしょう。

人間は“知らないこと”に不安を感じるものです。その制度の導入がどんな目的でされるのか、それぞれの人にとってどのような変化があるのかなどを丁寧に説明し、また一定程度の猶予期間などを用意すると受け入れてもらいやすくなります。

経営者と労働者では良い悪いではなく“見えているもの”が違います。基本的に経営者は遠くを見て、労働者は目の前を見ます。経営者は明日の仕事(5年後、10年後を見据えた仕事)をしないと、会社は継続的に発展しません。一方、労働者は、今日の仕事(目の前にある仕事)をしないと、業務が回りません。

もちろん、労働者でも遠くを見ることができる人もいますが、そういう方は多くはありません。その視点の違いから、経営者が「自分がわかっていることは労働者もわかっている」という前提で話をしても、内容はまったく伝わりません。そのギャップを理解した上で説明をする必要があります。

さまざまな事柄について、丁寧な説明をすることにより労働者の理解が得られれば、会社と労働者の信頼関係が構築され、労務トラブルは少なくなります。

 

※polkadot / PIXTA(ピクスタ)