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固定費を削減したい!オフィス縮小を検討するときのポイント

固定費を削減したい!オフィス縮小を検討するときのポイント

2021.05.07

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発令によって、2020年から2021年にかけて、大企業だけでなく中小企業に至るまでテレワークの導入が急速に進みました。

また、最近のクラウドサービスの目覚ましい発展も、テレワークの普及に拍車をかけています。

そんなテレワークの普及拡大に伴って、オフィスを縮小する動きも広がっています。たしかに、テレワークによって出社する従業員が減少すれば、机などを従業員数だけ常設する必要もなくなるでしょうし、会議室などのスペースも今までほどは必要なくなるでしょう。

オフィス賃料の適正

オフィス賃料は月の売上や粗利益とは関係ない固定費用であるため、業務に支障が出ない限り、できるだけ安くしたいものです。

売上の落ち込んだ際には、固定費用は経営に重くのしかかります。

一般的に、家賃は粗利益の10~20%以内の範囲が適正であるとされています。売上や粗利益が減少し変動費用が低下すれば、経費全体に占める家賃の割合が相対的に高まります。固定費である家賃の割合が大き過ぎることは、あまり健全な経営状態とはいえず、経営に悪影響を及ぼしかねません。

テレワークの普及等によるオフィス縮小の動きや、サービス業の時短営業・撤退などによる坪当たりの収益率の悪化などを考えると、今後、オフィス賃料は低下していくように思えます。ただし、“賃料の遅効性”を考えると、収益に見合うだけの賃料まで低下するには、まだまだ時間がかかるでしょう。

オフィス縮小のメリット

テレワークの普及だけが原因ではなく、貸し会議室やレンタル倉庫などのサービス増加、業務のアウトソーシング化も相まって、オフィス縮小の動きは加速されています。

オフィス縮小の最大のメリットは、やはりコストの削減です。

賃料は立地や建物の構造・形状に左右される部分もありますが、基本的には面積が広ければ賃料が高くなります。

また、広いオフィスは光熱費も高くなります。オフィス縮小によって、賃料の削減だけでなく光熱費の削減も期待できます。テレワークが進めば、従業員の通勤交通費の削減も期待できます。

テレワーク拡大についての懸念

ただし、テレワークでは、従業員の労働生産性の低下が懸念されます。生産性が低下すれば、業務が滞り、従業員の長時間労働に繋がります。

ですから、生産性を維持できる体制を整備することとテレワークの導入拡大、そしてその先のオフィス縮小とをセットで考えていく必要があります。

オフィス縮小についての懸念

では、オフィス縮小のうえでのデメリットとは何でしょうか。

社員間のコミュニケーション不足

オフィスを縮小すると、従業員が一斉にオフィスに集まることが難しくなります。そのため、従業員間のコミュニケーション不足が懸念されます。

コミュニケーション不足は、業務指示がうまく伝わらない、報・連・相がスムーズに行われない等の問題を発生しかねません。コミュニケーションの不足は、より良い商品やサービス・仕事の進め方を考えるときや、新しいアイデア・新しい価値・イノベーションを生み出すときに必要な“創造性の発揮”にも悪影響があるのではないかと懸念されます。

スペース管理の整備

また、会議やミーティング、商談のためのスペースも限られるため、利用状況の管理や外部の貸会議室等の利用も必要になってきます。

今までのように、思いついたらすぐに会議やミーティングが行えるわけではなくなります。オフィスは、お客様とのコミュニケーションの場であったり、セミナーやプレゼンの場であったりもしたはずです。オフィス縮小をする際に、このような機能をどういった形で代替するのかも考えなくてはなりません。

感染症への対策

さらに、オフィスを縮小しフリーアドレス化した場合、現況のコロナ禍では、使用前後の消毒の徹底などが必要となるでしょう。

もし、従業員から感染者が出た場合には、フリーアドレスでは、だれが近くの座席にいたのか特定するのが難しく、濃厚接触者の特定が難しいなどの問題も心配されます。

オフィス縮小を考える際の考慮事項

今後、オフィス縮小を考えるのであれば、オフィス縮小後の従業員の働き方、オフィスのあり方を具体的にイメージすることが重要です。

テレワークとの併用はイメージできているか

テレワークを導入・拡大していくにしても、どこまでの業務をテレワークで行えるか、どの程度の頻度で出社が必要なのか、従業員間あるいはお客様とのコミュニケーションをどうやって図っていくのか、商談の方法をどうするのか、新人教育や研修をどのような形で行っていくのか等々、具体的にイメージし、それに合ったオフィスの規模にする必要があります。

周辺環境は考慮できているか

外部の貸会議室やレンタル倉庫の利用も考えているのであれば、周辺環境や立地も考慮しなければなりません。オフィス移転によって交通アクセスが極端に悪くなったり、遠方への移転では電話番号が変更になったりすることもあるので注意が必要です。

また、オフィスの所在エリアや建物のグレードは、企業イメージに影響します。企業イメージと実際の姿との乖離が大きいと、それがマイナスに働くことがあるので物件選びの際に注意が必要です。

賃料以外の固定費は適正か

オフィス縮小によるコスト削減を目的とした移転を考えるのであれば、賃料だけでなく、共益費や清掃費用、水道光熱費も含めて物件を検討しましょう。また、敷金や保証金、礼金なども考慮しましょう。

オフィス縮小によるコスト削減は魅力的ですが、コスト削減だけに目を奪われ、生産性や創造性の低下、業務の滞りへの対策がおろそかになっている、あるいは上記で示した事項に注意を払わないと、コスト削減以上の売上低下、事業規模縮小となりかねません。

コスト削減という目的をしっかり維持しつつ、オフィス縮小や移転によるデメリット・マイナス面に対する対策をしっかり行っていくようにしましょう。

*ふじよ / PIXTA(ピクスタ)