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ワーケーション

ワーケーションって本当にできる?メリット・デメリットや導入時の注意点あれこれ

2020.10.30

コロナ渦で生活を続ける必要性に迫られる中、企業や社員のあり方など、これまでの常識からは考えられないような新たな働き方が次々と生み出されています。

その中でも、政府が提唱している新たな働き方=『ワーケーション』が注目されていることをご存知でしょうか?

今回は、ワーケーションとは具体的などのようなものか、そもそもワーケーションは雇用形態といえるのかどうかについて解説をします。また、実際にワーケーションを導入する際に勤怠管理などで気をつけなければならない社内ルールについてもあわせて説明をしていきます。

ワーケーションとは?

ワーケーションとは、“ワーク”と“バケーション”を組み合わせてできた新しい用語で、その名の通り、労働時間と休暇時間をドッキングさせた働き方を意味します。

具体的には、観光地や避暑地など、自宅を出た旅行先でリモートワークを活用し、休暇を満喫しながら働くという方法を取ります。自宅や出張先、サテライトオフィスなどで働く“テレワーク”とは異なり、あくまでもバケーションの間に働く方法を指します。

そもそも、ワーケーションによる働き方は“上長の指揮命令下におく必要がある労働時間”といえるのか、という考え方もありますが、出張先の社員が上司の指示を仰ぐ場合など、目の前に社員がいない場合でも“上長の指揮命令下におかれた状況”は存在します。したがって、有給休暇期間中であっても、仕事の必要性に迫られ上司の指示を仰ぎながら業務をするワーケーションの時間は、労働時間であるといえるのです。

ワーケーションは、もともとIT化が進んだ2000年代にバカンス文化が定着している欧米で広まった働き方です。

有給休暇の取得率が他国より低いことが問題視されていた日本では、これまでにはあまり浸透していませんでしたが、有給休暇の取得率アップを提唱した「働き方改革」や、新型コロナウィルスの流行に伴い生まれた「新しい生活様式」の影響により、国を挙げて導入が期待されています。

その背景には、国内の観光事業を支援するための「Go To トラベル」キャンペーンが、新型コロナウィルスが流行しているなかで実施されたことで懸念の声が多く、思うように進んでいないことも一因にあるといえるでしょう。

ワーケーションを積極的に導入することで、新たな働き方という観点から国内の需要喚起を促す効果が期待されているのです。

ワーケーションのメリットは?

ワーケーションの持つ大きなメリットといえば、やはり日常生活を離れた非現実環境の中で仕事をすることができる点にあるでしょう。

都会の喧騒や満員列車などの人混み、立ち並ぶビル群などの環境から脱出し、豊富な自然に囲まれた静かな環境で働くことは、心身のリフレッシュや、新たなアイデアが生み出されるきっかけにつながります。特に、コロナ禍でストレスを抱える中、自宅を離れた環境でリフレッシュをすることは、社員に非常に良い影響を与えるでしょう。

また、ワーケーションを導入・促進することは、有給休暇の取得率アップにもつながり、社員のモチベーションを向上させる効果も多くみられます。

さらに、ワーケーションにより休暇中の限られた時間に仕事をすることは、業務が効率化されるという効果もあります。だらだらと長時間業務を続ける方法と比較すると、短時間で効果を上げようとする方法の場合は集中力が増し、内容の濃い仕事をすることが可能になるはずです。

ワーケーションのデメリットは?

ワーケーションの懸念点といえば、導入にあたってのコスト面がまず挙げられます。会社から遠く離れた場所で仕事をするためには、インターネット環境の整備が必要です。さらに、対象となる社員にパソコンを支給するなどのコストも忘れてはならない点のひとつです。

また、遠隔操作を可能とするインターネット環境を整備する際には、同時にセキュリティ対策も万全に行わなければなりません。自社や取引先の個人情報の漏えいを防ぐため、安全なクラウドシステムの導入を検討するなど、自社に合った方法を洗い出し、検討をする必要があります。

さらに、ワーケーションを導入するにあたり考えなければならないのが、社員の労働時間の把握、つまり勤怠管理についてです。目の前にいない社員の労働時間を把握するためのシステムを検討し、実際どのように管理をしていくか検討をしなければなりません。

この“勤怠管理”の問題については、次の項目で詳しく説明をしていきましょう。

勤怠管理はどうすればいいのか

ワーケーションを導入する際の勤怠管理で気をつけるべき点は、基本的にはテレワークなどの方法と同様になります。

まず、ワーケーション導入時の働き方をどのように扱うかをルール付けします。

ワーケーションの場合、バケーション中に仕事をするという特徴から、フルタイムで仕事をさせることは実質的に困難になります。柔軟な働き方が可能になるよう、裁量労働制などを活用する方法や、雇用形態にフレックスタイム制を導入するなどの方法を取り、就業規則や労使協定に定めます。

なお、その際に忘れてはならないのが、有給休暇の管理です。ワーケーションの場合、一日の中で有給休暇としてプライベートを楽しむ時間と労働時間が混在します。このようなケースに対応するため、部分的に有給休暇を取ることを可能とする“時間単位有給休暇制度”などを盛り込むことで、柔軟に対応するようにしましょう。

次に、社員が働いた時間を即時に会社側が把握することができるような勤怠管理ソフトなどの導入を検討する必要があります。観光地などにいる場合は、朝・晩に仕事をし、日中はプライベートで外出するなどのケースも多いことから、労働時間がリアルタイムで確認できるような体制を整えることが重要です。

社員が安心してワーケーションを実施するために

企業には、社員を安心・安全に働かせるための環境づくりが求められています。したがって、ワーケーション導入時も、社員が適切な形で働くことができるよう心を配らなければなりません。たとえば、ワーケーション中に社員が怪我をしてしまった場合などは、労災保険・健康保険などをどのように活用するかを明確にしておき、社員を守るための体制を整える必要があります。

社員にとっても非常に多くのメリットが見込まれるワーケーションをうまく活用し、企業の発展につなげていきましょう。

*8×10 / PIXTA(ピクスタ)