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研究・調査報告

教育現場の生成AI活用、普及の鍵は「現場キーパーソン」

  • 最終更新日
    2026年06月29日 17:00
公益社団法人東京青年会議所
公益社団法人東京青年会議所、2月例会「AIと創る未来の教育」実施報告と先行的な現場意向データを公開

公益社団法人東京青年会議所 教育政策室は、2026年2月22日(日)、有楽町のTokyo Innovation Baseにて、2026年度2月例会「AIと創る未来の教育」を開催しました。本例会は、学校現場における生成AIへのニーズと、導入・活用に向けた障壁を明らかにし、教育委員会の施策検討の参考情報として提供することを目的に実施したものです。

当日は、教員、校長・副校長、ICT担当、教育委員会関係者、一般参加者、東京青年会議所メンバーなどが参加し、生成AIの教育現場での活用可能性、校務改善への効果、導入に向けた課題、学校内での浸透方法について学びを深めました。

本レポートで明らかになった主なポイント

- 教育現場には、生成AI活用への高い関心と実践意欲がある適切な環境が整えば、本格活用を進めたいという前向きな意向が確認されました。

- 導入には、ルール・研修・安全な利用環境の整備が不可欠校内合意形成、教職員研修、ガイドライン、セキュリティ対策が主な課題として挙がりました。

- 普及の鍵は、校内キーパーソンへのアプローチ参加者の約67%が「4人以上の同僚に影響を与えられる」と回答しており、管理職やICT担当者などを起点とした校内波及の可能性が示されました。

アンケートから見えた教育現場の現在地

アンケートでは、参加者の所属として、学校教員、学校経営層、教育委員会、学校管理職・ICT担当、大学教員等から回答が寄せられました。

図1:アンケート回答者の参加者属性


学校の生成AI導入フェーズについては、「授業活用済み(児童・生徒も利用)」と回答した割合が最も多く、生成AIに対する関心や活用意欲の高い層が参加していたことがうかがえます。

図2:学校の生成AI導入フェーズ(現状)


また、適切な環境が整えば本格的に生成AI活用を始めたい時期については、「すぐに可能」または「3ヶ月以内」と回答した割合が高く、教育現場にはすでに“今すぐ動く準備がある”ことも確認されました。

図3:本格的に生成AI活用を始めたい時期


一方で、導入を阻む最大の壁としては、以下のような課題が挙げられました。
- 活用方法が分からない
- 校内合意形成が難しい
- 前例がないことへの心理的抵抗がある
- 教育委員会の方針が不明確である
- 運用ルールやセキュリティ面への不安がある


図4:現場が感じる生成AI導入の「最大の壁」と行政への要望


これらの結果から、生成AI活用を進めるためには、ツールの導入だけではなく、現場が安心して使えるルール、研修、共有事例、推進体制の整備が不可欠であることが分かりました。

行政・教育委員会に対する現場の要望

自由記述では、行政や教育委員会に対して、現場から率直な要望や不安の声が寄せられました。主な内容は以下の5点です。
1. 統一ガイドラインと責任範囲の明確化
区内・自治体内で統一した運用ルールやマニュアルの整備、トラブル時の責任分界の明確化を求める声がありました。

2. 個人情報・セキュリティ・著作権・誤情報への不安
情報漏洩、著作権、生成結果の正確性、生徒の誤用や丸投げへの懸念など、リスクマネジメントを求める声が多く見られました。

3. 教職員と児童生徒が安心して使える利用環境の整備
閉域環境や公式アカウントの整備、教員側も含めた安全な生成AI利用環境の構築を望む声がありました。

4. 教職員研修と校内浸透への支援
教員の生成AIリテラシー向上、興味が薄い層や年配層も含めた校内展開、管理職・ICT担当者を中心とした浸透支援が求められています。

5. 業務負担の軽減と研究校偏重の是正
生成AI活用を一部の研究校だけで終わらせず、全校へ横展開できる仕組みや、現場の多忙感に配慮した導入支援を求める声が寄せられました。

考察:AI活用促進の鍵は「現場キーパーソン」にある

今回のアンケートで最も重要な示唆は、生成AI活用を学校現場に広げるうえで、校内のキーパーソンへのアプローチが波及効果を生み出す可能性があるという点です。

学校現場では、生成AIに前向きな教員がいる一方で、「使い方が分からない」「不安がある」「前例がない」「ガイドラインがない」といった理由から、活用に踏み出せない教員も少なくありません。そのため、全教職員に対して一斉に導入を促すだけでは、現場に定着しにくい可能性があります。むしろ、校長・副校長、ICT担当、教務主任、学年主任など、校内で影響力を持つキーパーソンが先行して生成AIの有用性を体験し、具体的な活用方法や注意点を同僚に共有することで、学校内での理解と活用が広がっていくと考えられます。

今回のアンケートでは、知見を共有できる同僚の数について、約67%が「4人以上に影響を与えられる」と回答しました。これは、生成AI活用の普及において、「1人の学びが複数の教員へ広がる」構造をつくることが有効であることを示す先行的なデータであると考えます。

図5:波及効果:知見を共有できる同僚の数

東京青年会議所 教育政策室では、今後もこの視点を重視し、単発のセミナーにとどまらず、現場のキーパーソンが学びを持ち帰り、校内に広げられる仕組みづくりを進めてまいります。

例会開催概要

- 名称:2026年度2月例会「AIと創る未来の教育」
- 日時:2026年2月22日(日)13:00~16:30
- 会場:Tokyo Innovation Base(東京都千代田区丸の内3-8-3)
- 主管:公益社団法人東京青年会議所 教育政策室
- 共催:一般社団法人 教育AI活用協会
- 後援:東京都教育委員会、東京都中央区教育委員会、東京都杉並区教育委員会、東京都目黒区教育委員会、東京都北区教育委員会、東京都足立区教育委員会

主な講演内容:
- 生成AIとの付き合い方
- 先生のための生成AI活用術
- 管理からマネジメントへ-創造的学校マネジメント講座-
- 教育DXの最前線~AI活用が変える現場とリーダーシップ~

登壇者:中川 哲 氏(株式会社EdLog)/平井 聡一郎 氏(合同会社未来教育デザイン)/藤原 和博 氏(教育改革実践家)/佐藤 雄太 氏(一般社団法人教育AI活用協会 代表理事)

参加者実績
- 東京青年会議所メンバー他:278名
- 一般参加者:92名(内訳:教員44名、教育委員会10名、一般38名)

調査概要

- 調査名:教育現場における生成AI活用の意向アンケート
- 調査対象:2026年度2月例会「AIと創る未来の教育」参加者のうち、教員・教育委員会関係者等
- 回答数:58件
- 調査方法:当日アンケート
- 備考:本調査は、生成AIに関心の高い教育関係者を中心とした先行的な現場意向データであり、すべての教育現場を代表する統計調査ではありません。

公益社団法人東京青年会議所について

公益社団法人東京青年会議所は、20歳から40歳までの青年経済人により構成される団体です。「明るい豊かな社会」の実現を目指し、地域社会の課題解決に向けた運動を展開しています。

本件に関するお問い合わせ

公益社団法人東京青年会議所 教育政策室
担当:鳥井 大吾
メール:d-educational@tokyo-jc.or.jp

資料ダウンロードリンク

教育現場の生成AI活用に関する 先行的な現場意向データ

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