労働実務事例
[ 質問 ]
トラック運転者が腰痛の痛みに悩まされ、長期間休みを取っています。健康保険から傷病手当金を受けていますが、受給期間には制限があると聞きました。会社が雇用を継続していても、手当金がストップしてしまうのでしょうか。本人は、当初、症状が軽快すれば出社していたのですが、この場合、受給期間の計算はどうなるのでしょうか。
島根・J社
[ お答え ]
療養の給付は、資格が継続する限りずっと支給されます。「最初の給付から何年まで」のような制限はありません。一方、傷病手当金は、支給を開始してから1年6カ月で打ち切られてしまいます。会社に在籍し、健保の被保険者資格が継続していても、それには関係なく所定の期間を超えて支給されることはありません。途中で出社し、傷病手当金が支給されない期間があっても、「その支給を始めた日から起算して1年6カ月を超えないものとする」と規定されているので、丸々1年6カ月分を受給できないケースもあり得ます(健保法第99条第2項)。
出社と欠勤を繰り返す人にとっては、「無情な」規定という印象を受けます。しかし、この点については障害厚生年金との関連を考える必要があります。
本来、傷病手当金は短期的な性格を持つ給付であり、長期的な支給を想定していません。
けがなどの場合、当面、治療のため労務不能である限りは傷病手当金が支給されますが、外科的な治療ですから一定段階で終了するはずです。器質的欠損を残していても、医学的に傷病が治ゆした状態になれば、障害厚生年金の裁定がなされます。
この結果、障害厚生年金が支給されるようになれば、1年6カ月が経過していなくても、傷病手当金は打ち切りになります。ただし、同一の傷病により、傷病手当金の支給要件を満たす期間と、障害厚生年金の支給期間がダブるときは、1年6カ月の範囲内で傷病手当金と障害厚生年金の差額が補填されます。傷病手当金の金額は、標準報酬日額の3分の2にアップしているので、差額が生じるケースも少なくはないでしょう。
一方、慢性的な傷病の場合、なかなか治ゆに至らないケースもあり得ます。しかし、障害等級については、傷病の初診日から起算して1年6カ月を経過した日と傷病が治ゆした日のうち、どちらか早い日を障害認定日とします。ですから、少なくとも1年6カ月が経過した日には障害等級の認定が行われ、障害厚生年金が支給されることになります。出社と欠勤を繰り返した人についても、傷病手当金の打切りと前後して、障害等級の認定日が到来し、障害等級3級以上に該当すれば障害厚生年金に切り替わります。
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