労働実務事例
[ 質問 ]
雇用保険の高年齢継続給付を受けながら、働いている再雇用者がいます。年金は、在職老齢年金です。ボーナスを支給する予定はなかったのですが、会社業績が好調なので、1カ月分程度を支給する方向で検討しています。仮に支払ったとしたら、年金にどんな影響が及ぶのでしょうか。
長崎・G社
[ お答え ]
雇用保険の高年齢継続給付は、高齢者の賃金が60歳到達時と比べ、75%未満にダウンした場合、収入を補填する目的で支給されるものです。
再雇用者の中には、賃金のほか、高年齢継続給付と在職老齢年金を合わせ、3本立てで生活設計を組み立てる人が少なくありません。
高年齢継続給付を受ける場合、年金は次の手順で計算されます。
① まず、在職老齢年金の仕組みを適用し、一定額の老齢厚生年金が支給停止となります。
② さらに、次の式で計算した額が、高年齢継続給付との調整で年金からカットされます。
・標準報酬月額がみなし賃金月額(60歳到達時の賃金日額に30を乗じたもの)の61%未満のとき
標準報酬月額×6/100
・標準報酬月額がみなし賃金月額の61%以上75%未満のとき
標準報酬月額×賃金の低下割合に応じて定められた年金支給停止率
お尋ねのケースでは、ボーナスが支払われるのですから、本人の総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額に過去1年間の標準賞与額の合計を12で除した額)がアップします。在職老齢年金は、年金の基本月額(加給年金額を除いた老齢厚生年金の額を12で除した額)と総報酬月額相当額に応じて決定されます。年金の基本月額が同じでも、総報酬月額相当額が増えれば、支給停止となる老齢厚生年金の額も大きくなります。
次に高年齢継続給付との調整額ですが、こちらはボーナスが支給されても、「標準報酬月額」に変動はありません。
「みなし賃金月額」も60歳到達時に決まっているので、その後、増減することはありません。
つまり、ボーナスの有無にかかわらず、調整額は一定です。在職老齢年金そのものの額は減りますが、カットする額はそのまま据え置かれます。在職老齢年金の減額に比例して、調整額も小さくなるわけではありません。
このため、場合によっては、在職老齢年金(加給年金額を除く本体部分)がゼロになってしまう可能性もあります。
本体部分がゼロになれば、加給年金額も含め、老齢厚生年金は全額支給停止となります。
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