トルエン含有塗料を使用、屋外でも作業環境測定!?

[ 質問 ]

　当社では、有機溶剤のトルエン含有塗料を使用する塗装作業の一部を屋外で行うことがありますが、屋外での作業環境測定の方法について、厚生労働省から指針が示されていると聞きました。その内容をご教示ください。

千葉・Ｌ社

[ お答え ]

　労働者の健康障害を防止するための対策の一つとして作業環境の管理が大切です。
　この作業環境管理を進めるためには、作業環境中に有害な因子がどの程度存在し、その作業環境で働く労働者が有害な因子にどの程度さらされているかを把握する作業環境測定が的確になされ、この測定の結果を適切に評価するとともに、評価に基づき施設や設備の設置または整備、健康診断の実施などの適切な措置を講じることが必要です。
　屋内作業場などについては、労働安全衛生法などに基づき、作業環境測定およびその結果の評価に基づく作業環境管理を実施することとしてます。一方、ご質問の屋外作業場については、厚生労働省から平成17年に、「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン」（平17・３・31基発第0331017号）が示されました。
　このガイドラインは、屋外作業場などについて、個人サンプラー（個人に装着することができる試料採取機器）を用いて作業環境の測定を行い、その結果をガイドラインに示す管理濃度などの値を用いて評価し、その結果に基づき作業環境管理を実施することについて記されており、その概要は次のとおりです。
（１）測定対象
　測定は、一定の屋外作業場などで、作業または業務が一定期間以上継続して行われるものについて行うこととしています。この「一定の屋外作業場」として、①土石、金属、炭素などの粉じんを著しく発散する屋外作業場、②労働安全衛生法施行令別表第３第１号または第２号に掲げる特定化学物質を製造し、または取り扱う屋外作業場、③トルエン、キシレンなど同令別表第６の２第１号から第47号までに掲げる有機溶剤または有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務などの有機溶剤業務を行う屋外作業場で、有機溶剤中毒予防規則第３条第１項の労働基準監督署長の適用除外の認定を受けた業務以外の業務を行うものなどが示されています。
　屋外作業場とは、労働安全衛生法などにおいて作業環境測定の対象となっている屋内作業場以外の作業場のことで、具体的には、屋外作業場のほか、船舶の内部、車両の内部、タンクの内部、ピットの内部、坑の内部、ずい道の内部、暗きょまたはマンホールの内部などのことです。
　一定期間以上継続して行われる作業または業務には、作業または業務が行われる期間が予定されるもの、１回当たりの作業または業務が短時間であっても繰り返し行われるもの、同様の作業または業務が場所を変えて繰り返し行われるものを含みます。
（２）測定頻度
　測定は、作業の開始時および１年以内ごとに１回、定期に行いますが、原料、作業工程、作業方法または設備などを変更した場合、その都度その直後に１回測定します。
（３）測定点
　測定点は、測定対象となる物質を取り扱う労働者全員の呼吸域（鼻または口から30cm以内の襟元、胸元または帽子の縁）とし、当該呼吸域に個人サンプラーを装着します。
（４）測定時間
　試料空気の採取時間は、取り扱う物質の気中濃度が最大になる時間帯を含む10分間以上の継続した時間です。
（５）試料採取方法および分析方法
　試料採取方法および分析方法は、測定の対象となる物質の種類に応じて、原則として、作業環境測定基準（昭和51年労働省告示第46号）に定める方法で行います。
（６）測定結果の評価方法
　測定結果の評価は、測定点ごとに、測定値とガイドラインに示す管理濃度などを比較して、測定値が管理濃度などを超えるか否かによって行い、測定値が管理濃度などを１以上の測定点で超えた場合（トルエンの管理濃度などは、50ppmです）には、当該測定点については有効な呼吸用保護具を使用させるほか、労働者の健康の保持を図るため必要な措置を講じるとともに、直ちに、施設、設備、作業工程または作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設・設備の設置または整備、作業工程または作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講ずることとしています。
（７）作業環境の測定の結果およびその評価の記録の保存
　作業環境の測定を行ったときは測定日時、方法、結果などを、また、評価を行ったときは評価日時、結果などを、それぞれ記録し、一定期間（ご質問の有機溶剤については３年間）保存することとしています。