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「育休をもらい逃げ」ではない。戻りたくても戻れない職場がある

2026年7月24日号 (no. 1256)
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https://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/


育休をもらい逃げしたいわけじゃない。
「戻りたい」と思える職場が育休後の退職を防ぐ



■ 育休のもらい逃げ、せざるを得ない状況に追い詰めたのは誰?

育児休業から復帰せず、
そのまま退職する人がいます。

育児休業に入ると、
数ヶ月もしくは半年、
長ければ1年位、
職場から離れることになります。

育児休業が終わる段階になって、
戻ってくるかと思ったら、
職場には戻らずに退職。

「育休のもらい逃げ」
といった言葉が使われることもあります。

しかし、
本当に考えるべきなのは、
戻りたいと思える職場だったのかという点。

戻れる雰囲気。
戻れる空気感。

そんな表現もできるのでは。



■ 育休後の退職は自然な心理

育児休業は長ければ1年程度になります。

その間、職場から離れることで仕事の感覚も薄れます。

人間関係も遠くなります。

「今さら戻れるだろうか」
という不安を感じるのは、
ごく自然なこと。

職場復帰に心理的な抵抗を感じ、
そのまま退職を選ぶ人がいても不思議ではありません。

戻りたいんだけれども戻れる感じがしない。

なんというか、心理的な壁みたいなのができてしまうんですね。

人と人が長い間離れてしまうと、
対立したり、トラブルといったことは特にないんだけれども、
会うに会えなくなる。

そういう距離ができてしまう。



■ 孤立させない工夫が大切

育児休業中だからといって、
必要な連絡だけをする事務的な対応では、
職場との距離は広がります。

接触頻度が下がってしまうと、
育児休業が終わった後に退職する可能性が高まります。

疎遠にならない工夫が必要。

月に1回か2回、
短いメッセージを送るだけでも十分です。

電話を週に数回、かけるのもいい。

ちょっとした接触が大事なんですね。


近況を伝え合い、
子どもを職場へ連れて来てもらったり、
職場の人が会いに行ったりする機会があれば、
職場とのつながりは保ちやすくなります。

接点が続くことで、
復帰への心理的なハードルも下がります。

育児で忙しいからという理由で、
連絡しない、会わないと、
やはり育児休業が終わった後に戻りにくくなってしまう。



■ 応援する人にもメリットを

育児休業を取得する人を支えるためには、
一緒に働く人への配慮も欠かせません。

育児休業というと、
休む人にばかり注目が集まりがち。

ですけれども、
育児休業を取らずに、
通常通りに仕事をしている人たちのことを考慮しないと、

育児休業を取る本人も、
育児休業を取りにくい、
続けにくい、
そんな環境になってしまいます。

そのため、
「育児をしない人に対してどういう工夫をするか」
ここが考えどころですね。

周りの人の協力を作り出す仕掛けが要ります。

育児休業には。


育休中は周囲の従業員が業務を分担する場面があります。

休んでいる人の仕事は、
他の人がやりますからね。

そこで、
業務を支えた人に
「育児休業応援手当」
を支給します。

育児休業中は社会保険料の会社負担が免除されるほか、
休業中の給与を支給しない場合には、
その分を職場を支える人への手当に充てることも考えられます。

「協力して終わり」ではなく、
会社が感謝を形にすることで、
不公平感を和らげることができます。

育児をする人も、
応援する人も、
お互いに気持ちよく働ける環境づくりにつながります。

業務をフォローしている人たちも、
「私も育児に協力しているな」という感覚が得られ、
ポジティブな気持ちになりますから、
仕事にもプラスになりますよね。

何の工夫もなく、
育児休業している人の仕事を回されたら、
それは誰もが嫌な気分になるでしょうけれども、

育児応援手当をつけた上で、
業務のフォローをしてもらうことで納得できます。



■ 誰もが戻りやすい職場へ

心理学には、
接触する機会が多いほど親しみを感じやすくなる
「単純接触効果」
という考え方があります。

育児休業中も職場との接点を維持し、
復帰後は周囲が温かく迎える仕組みを整えれば、
「戻りたい」という気持ちは生まれやすくなります。

これは育児だけでなく、
介護休業や病気による休職など、
長期間職場を離れる人にも共通する考え方です。

希望があれば、
子どもを職場へ連れて来てもらったり、
同僚が会いに行ったりするなど、
無理のない形で接点を持つ工夫も考えられます。


その後、
育児休業が終わったあとも、
心理的な抵抗感が少ない状態で、
職場に戻りやすい。

気持ちで人は動くものですから。

育児休業の制度も大事ですけれども、
人の気持ちのつながりを切ってしまうと、
職場復帰したくても、できないんですよね。



■ 法律だけではない工夫が定着率を高める

育児・介護休業法では、
育児休業の取得や職場復帰を支援する制度が設けられています。

また、
事業主は育児休業の申出や取得を理由として不利益な取扱いをしてはならないとされています(育児・介護休業法第10条)。

しかし、法律だけでなく、
「戻ってきてほしい」
という気持ちを日頃の関わりや制度で伝えることが、
職場への愛着を育てます。

育休中の継続的なコミュニケーションと、
育児を支える人への「育児休業応援手当」。

この両方がそろうことで、
育児をする人もしない人も納得できる職場となり、
育休後の退職を減らすことにつながります。


人は制度だけで会社に残るわけではありません。

「自分を待ってくれている」
そう感じられる職場だからこそ、
戻ろうという気持ちになります。

こまめに接点があれば、
そういう気持ちになりますからね。

人の気持ちを掴める職場かどうか。ここが分岐点ですね。



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