労働実務事例
[ 質問 ]
定年退職者を嘱託再雇用することになったのですが、未消化の年休をどう扱えばよいのでしょうか。当人は、「再雇用後も当然に繰り越すべきもの」と主張しますが、会社としては定年までに消化しきれない分は、リセットする形を採りたいと考えています。また、今後発生する年休について、嘱託再雇用の期間に応じて按分することは可能でしょうか。
例えば、再雇用の期間が半年であれば、年間の付与日数を10日としてその半分である5日以上を与えることで足りるでしょうか。
富山・F社
[ お答え ]
定年退職者を嘱託等として再雇用する場合、形式的には正社員として働いた従前の労働契約と、その後嘱託として再雇用する労働契約とは別個のものです。しかし、これが単に企業内における身分の切り替えであって、実質的には労働関係が継続しているものであれば、年次有給休暇の勤続年数を通算することになっています(昭63・3・14基発第150号、婦発第47号)。
では、「労働契約の継続」について、どのように判断するのでしょうか。そもそも継続勤務とは年休を付与する条件のひとつです。条文では、その雇入れの日から「6カ月を超えて継続勤務する日」に付与すると規定しています(労基法第39条)。継続勤務の意義については、前掲通達に記載されています。すなわち、定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用する場合について、退職と再採用との間に相当期間が存し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りではないとしています。具体的にその期間については触れていませんが、たとえば退職前に嘱託再雇用が決定している場合などは、1~2カ月の空白があっても雇用が断続したとはみなしません。
継続勤務と認められれば、年休の付与についても、改めて再雇用から6カ月後に付与するといったことはできず、在籍期間に応じた年休を取得させなければなりません。
定年前の年休は当然繰り越し処理となります。
ただし、嘱託勤務となったことで、通常の労働者と比較して、著しく所定勤務日数が減少すると、年休は比例付与されることになります。いつから年休の付与日数が変更になるかというと、年休年度の途中で所定労働日数が変更になった場合は、翌基準日から比例付与となります(昭63・3・14基発第150号)。
年休の付与において考慮されるのは、過去の勤務期間と出勤率です。将来の勤務期間は関係ありません。ご質問の場合も、嘱託前後の期間を含めて、8割の出勤率を算定することになります。将来の勤務期間を条件に、年休の付与日数・時季を制限することはできず、按分付与も認められません。
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