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労働実務事例

提供:労働新聞社

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無給期間を避ける目的で産前産後で年休使いたいのですが?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社の女性従業員が妊娠したため産前休業を取得する予定です。「産前休業は無給なので、出産までは年次有給休暇を取りたい」といわれました。産後休業と違って産前休業は働くことができるとは思うのですが、年次有給休暇を与えてもよいものでしょうか。また産後休業中の年休取得についても教えてください。

京都・T社

[ お答え ]

 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない(労基法第65条)と規定されています。
 産前産後休業中の賃金については、法律には特に定めがありません。有給か無給かは、勤務先の制度によって異なります。ですから、賃金が支給される年次有給休暇を取得しようと考えたのでしょう。
 年次有給休暇は、賃金の控除なく「労働の義務を免除」するものですから、労働の義務がない日に取得する余地がありません。
 しかし、産前休業は、「労働者の請求」により取得できるものですから、本人が請求をしない限りは労働の義務は免除されません。
 したがって、ご質問のケースのように、まだ産前休業を取得していない方が、産前休業を取得しないで年次有給休暇を取得することを請求した場合、まだ労働の義務が免除されていない以上、年次有給休暇の取得は認められると解されます。
 ただし、年次有給休暇を使用した場合、出産手当金(健保法第102条)については、賃金の支払いがある場合は、支給額が調整されるため、その期間は不支給となるのでご注意ください。
 一方、産後休業については、前述した労基法第65条第2項において、「使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない」とされています。
 また、通達では、就業規則等に基づきその(休職)期間中は完全に労働義務が免除され、また使用者としても就労を要求しないこととされている場合には、週休日等と同様、この期間中は年休をとる余地はない(昭24・12・28基発第1456号)としています。
 労働が可能な産前休業については年次有給休暇を充当することができると解されますが、労働の義務が法的に免除される産後休業については年次有給休暇を充当することはできないでしょう。
 育児休業についても、申出後については年休を請求する余地はないとする通達(平3・12・20基発第712号)があります。



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