労働実務事例
[ 質問 ]
学生時代、国民年金保険料の免除を受けていた従業員がいます。本人は、「そのうち追納します」といっていますが、仮にそのまま放置していたら、どうなるのでしょうか。将来の年金に、どのように影響しますか。
栃木・S社
[ お答え ]
学生で働いていなくても、20歳になれば国民年金に加入します。当然、保険料を納める義務が生じますが、本人の所得に応じて、申請すれば保険料の免除を受けることができます。卒業後、就職して経済的余裕ができれば、10年以内に保険料を追納し、免除期間を保険料納付済期間に変えることで、一切の不利益を免れることができます。
それでは、追納しなかったらどうなるのでしょうか。老齢、障害、遺族の3年金について、それぞれ検討してみましょう。
老齢基礎・厚生年金を受けるためには、原則として資格期間25年(平成27年10月から10年)以上の要件を満たす必要があります。この場合、学生納付特例により免除を受け、追納していない期間(以下、「学生納付特例による免除期間」といいます)の扱いは次のとおりです。
まず、資格期間の要件を満たすためには、被保険者が「保険料納付済期間または免除期間(学生納付特例による免除期間を除く)を有する」のが、最低条件です(国民年金法第26条)。
たとえば、学生納付特例による免除期間と合算対象期間の合計が25年以上あっても、老齢基礎・厚生年金の対象になりません。
しかし、貴社の従業員は、すでに貴社従業員(第2号被保険者)として保険料納付済期間が発生しているので、問題ありません。学生納付特例による免除期間と保険料納付済期間が必要年数をクリアすれば、老齢を事由とする年金を受給できます。ただし、追納しなければ、その期間は、将来の年金額には反映されません。つまり、その分、年金の受取額が少なくなります。ですから、若いうちに、できるだけ追納しておくようお勧めします。
次に、障害・遺族年金関係ですが、こちらは追納しても、しなくても、結果に違いはありません。
まず、受給権が発生する要件ですが、保険料納付要件(原則として、保険料の滞納期間が3分の1以下であること)をチェックする際、保険料納付済期間も学生納付特例による免除期間も、同様に1カ月とカウントします。保険料納付要件をクリアすれば、免除期間の長短にかかわらず、支給される障害・遺族基礎年金の額は同じです。
障害・遺族年金の支給事由となる保険事故は、いついかなるときに生じるか予想が付きません。加入期間の長短にかかわらず定額で定められているので、免除期間の有無も、金額に影響しない仕組みとなっています。
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