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労働実務事例

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賃金額の説明が義務に、こじれた場合対処法は?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 パート労働法では、待遇についての説明義務が規定されています。パートから「なぜ私の賃金はこんなに安いのか」と質問されたら、きちんと回答する義務があるといいますが、相手が納得するような理由を探すのは容易ではありません。話し合いがこじれた場合、どうなるのでしょうか。

大阪・K社

[ お答え ]

 改正パート労働法第13条では、「待遇の決定に当たって考慮した事項の説明」義務を課しています。改正前のパート指針(平成20年3月31日廃止)では、「説明に努めるものとする」と規定していましたが、今回改正では、法の本文に格上げしたうえで、強制義務化しました。
 ただし、労働条件に関する文書の交付(パート労働法第6条)とは異なり、説明の時期が特定されているわけではありません。
 「短時間労働者から求めがあった」場合に限られます。逆にいえば、求めがあれば、いつでも説明する義務を負います。
 説明の対象となる事項は、次の7項目です。
① 労働条件の明示
② 就業規則の作成手続(パートの過半数代表者の意見聴取)
③ 待遇の差別的取扱い(正社員と同視すべきパートのみが対象)
④ 賃金の決定方法
⑤ 教育訓練(職務同一パートが対象)
⑥ 福利厚生施設(給食施設、休憩施設、更衣室の利用に関するもの)
⑦ 正社員への転換措置
 それ以外の事項については、新パート指針(平19・10・1厚生労働省告示第326号)で、「説明するように努めるものとする」とされています。
 ①~⑦に関する質問があれば、事業主は「待遇を決定するに当たって考慮した事項について説明」しなければいけません。ご質問にあるように「正社員と比べて、なぜパートの賃金が低いのか」と尋ねられたら、どのように答えるべきでしょうか。
 パート労働法第9条(賃金)では、「正社員との均衡を考慮しつつ、職務の内容・成果、意欲、能力、経験等を考慮して賃金を決定する」よう求めています。ですから、説明に当たっては、「職務内容、成果等のうちどの要素を、どのように勘案したか」(平19・10・1雇児発第1001002号)を明らかにすれば、義務を果たしたことになります。本人が納得しなくても、それで法違反になるわけではありません。
 待遇の説明は、都道府県労働局長による助言・指導・勧告(パート労働法第21条)、紛争調整委員会の調停(同22条)の対象に含まれています。事業主と意見の食い違いが生じたパートは、そうした仕組みを利用することができます。



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