労働実務事例
[ 質問 ]
フレックスタイム制を採用していますが、「月60時間を超える時間外労働」に関して確認したい点があります。時間外労働が60時間を超えた日以降は、「標準労働時間(通常労働者の所定内労働時間)」に働く時間も含め、5割増の賃金支払いが必要になるのでしょうか。また、月をまたぐ貸借は可能なのでしょうか。
【福岡・Y社】
[ お答え ]
フレックスタイム制では、労働者に始業・終業時刻の決定をゆだねる代わりに、1日8時間・1週40時間の枠を超えて働かせることが可能です(労基法第32条の3)。
その際、時間外労働となるのは「清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間」です(平11・3・31基発第168号)。
フレックスタイム制では、必ず「1日の標準労働時間」を定めなければいけません。標準労働時間は「年休の算定基礎となる労働時間『等』の長さを定める」ものです。
たとえば、出張の場合、所定労働時間の代わりに「標準労働時間」働いたものとみなします。
このため「標準労働時間」を超えて働いた時間を「時間外」として累積するという便法処理を採る会社もあるようです。
そうした会社では、「1日の標準労働時間を超えた時間の累積」が60時間を超えても、標準労働時間内の時間帯は「所定内労働」として扱うので、時間外割増は発生しないと誤解しがちです。
しかし、正確にいえば、「1日の標準労働時間を超えた時間」があっても、時間外割増の支払いが必要とは限りません。一方「1カ月における法定労働時間の総枠」を超えれば、標準労働時間内の時間帯も含め、それ以降の労働時間すべてが時間外割増の対象となります。「月60時間を超えるか否か」も同様に判断しなければなりません。
労働時間の貸借は、「実際の労働時間に不足があった場合、それに達しない時間分を次の清算期間の総労働時間に上積みして労働させる」処理に限って認められます(昭63・1・1基発第1号)。
ただし、繰越しを実施する場合も、労基法は実労働時間主義を採るので、上乗せで働いた時間も含め、その月(清算期間)の総労働時間が法定労働時間を超えれば時間外労働となり、累計が60時間を超えれば5割の割増賃金が必要となります。
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