労働実務事例
[ 質問 ]
当社は、1日の所定労働時間が7時間30分ですが、4月から、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超える時間外労働が月に60時間を超える部分については、5割の割増賃金の支払いに代えて、代替休暇を与えることが可能となりました。1時間未満の端数が生じることが考えられますが、どのように処理すべきなのでしょうか。
【新潟・G社】
[ お答え ]
代替休暇の単位については、労基則第19条の2において、「1日」または「半日」とされており、労使協定では、その一方または両方を代替休暇の単位として定める必要があるとしています。
1日とは、労働者の1日の所定労働時間をいい、半日とはその2分の1をいうものとされていますが、半日については必ずしも所定労働時間の2分の1である必要はなく、労使協定で半日の定義を定めておけば差し支えないとしています。1日を午前と午後で2分することも可能です。
代替休暇の時間数は、1カ月の時間外労働時間数から60時間を引いた時間数に「換算率」を乗じたものとなります。換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増率(5割以上)から、労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増率(2割5分以上)を減じたものです。いずれも労基法第89条第2号の「賃金の決定、計算および支払いの方法」として就業規則に記載する必要があります。法定どおりの割増率と想定すると、換算率は0.5から0.25を引いた0.25となります。
たとえば、1カ月に85時間の法定労働時間を超える時間外労働を行った場合には、60時間を上回る25時間に0.25を乗じると6.25時間となります。代替休暇を1日または半日単位で取得しようとしても端数が生じることになります。
代替休暇は、実際に取得した時間数に対応して月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払いが不要となるものであり、切捨てや切上げといった処理を行うものではないとされています。
①1日分の代替休暇を取得するのであれば、不足する1.25時間分(7.5-6.25)について、「その他の休暇」を取得することで1日分の代替休暇を付与することや、②換算した4時間分(時間外労働16時間分)を半日分の代替休暇として付与し、残りの時間外労働9時間分を割増賃金で支払う方法が考えられる(「改正労働基準法に係る質疑応答」厚生労働省)としています。
①の方法をとる場合は、労基則第19条の2では、「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇」と合わせて与えることができる旨を労使協定で定めることが必要としています。時間単位年休の取得を認めている事業場であれば組み合わせて取得することもできます。
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