労働実務事例
[ 質問 ]
年次有給休暇の計画的付与に関することですが、例えば、年休の残日数が20日の者に対して、4月の年休付与基準日に夏季休暇(8月)として7日、年末年始休暇(12月)として8日を計画的付与したとします。9月30日で退職する場合、年休を消化してから退職したいと考えても、5日しか自由に取得できないのでしょうか。
【埼玉・K社】
[ お答え ]
年次有給休暇の計画的付与は、労使協定で計画年休の日程を定めた場合は、反対する労働者にとっても年休日となること、計画年休日に業務上の都合が生じても、使用者は時季変更権を行使して年休日を変更することはできないです。
計画的付与を行った場合は、労働者の時季指定権および使用者の時季変更権ともに行使できなくなります。しかし、年休は「労働日の労働義務を免除する」ものですから、その付与日は労働日でなければならず、労働関係がなくなる退職後の日を付与日とする計画的付与は認められません。
行政解釈では「計画的付与は、当該付与日が労働日であることを前提に行なわれるものであり、その前に退職することが予定されている者については、退職後を付与日とする計画的付与はできない。したがって、そのような場合には、計画的付与前の請求を拒否できない」としています(昭63・3・14基発第150号)。
「その前に退職することが予定されている者」とは、基準日において退職が予定されている者という意味ではありません。実際に計画的付与が実施される日より前に退職が予定されている者という意味です。ですから、4月の基準日時点では退職の予定はなく、その後退職予定となった場合でも扱いは同じです。
計画的付与というのは、計画年休として取得させる日数分を年休の残日数から留保しておいて、計画年休日が到来したら、留保分を年休として取得するという制度だと考えると分かりやすいと思います。あくまでも計画的付与に必要な日数分を留保しているだけですから、対象日が到来するまでは、年休は消化されていません。
したがって、基準日時点で計画的付与を行うために留保されていた日数分であっても、現実に計画的付与が実施される前に退職する場合は、退職日以後の日が対象日となっていた分については、本人が自由に取得できることになります。
ご質問のケースでは、8月の計画的付与にあたる日は退職日前ですから、この分に関しては計画的付与のために留保されますが、年末年始に割り当てる予定であった8日分は、計画的付与ができないため、労働者が退職日までに自由に使用できます。
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