労働実務事例
[ 質問 ]
業務繁忙のため、休日振替を実施しました。対象の従業員はとくに不満も述べず、休日出勤したのですが、後日、問題が生じました。退職予定者がまとめて年休を請求してきたのですが、期間中に振替休日となった日が含まれていました。当社としては、請求を拒否するほかないと考えますが、いかがでしょうか。
【群馬・S社】
[ お答え ]
休日振替を実施した場合、「(元々の)休日が労働日となる」(昭22・11・27基発第150号)一方で、本来の労働日は休日に性格を変えます。「年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できる」(平2・12・20基発第712号)ので、振替により休日になった日について年休を請求する余地はありません。
年休は雇用契約上の権利ですから、退職者の場合、退職日までに消化しないと権利を行使できなくなります。ご本人は、退職日から労働日を逆算し、全部消化するつもりで年休を請求されたのでしょう。
法律上の考え方としては、「労働義務の免除がなされる前に請求された年休は有効」(前掲解釈例規)ですが、休日の指定が先であれば後から年休の請求はできません。
振替により労働日が1日減れば、ご本人の年休消化スケジュールに狂いが生じます。
退職(解雇)と時季変更権の関係では、「解雇予定日を超えての時季変更は行えない」と解されています(昭49・1・11基収第5554号)。退職と計画年休の関係では、「退職後を付与日とするような計画的付与はできない」という考え方が示されています(昭63・3・14基発第150号)。
しかし、退職者の「年休取得予定期間」中に休日の振替ができないという制限はありません。ですから、年休の請求を拒否し、年休の残日数1日が未消化のまま退職となっても法律的には問題ありません。
休日出勤により通常より1日分余計に賃金を得ているので、収入的にはトントンという考え方も成り立ちます。
ただし、上司の方も退職予定者の年休消化スケジュールを知っていれば、あらかじめ振替の対象から外していたでしょう。振替の指定がなかったとして、年休の請求を認めるのも現実的な対応といえます。
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