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労働実務事例

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対策とれず費用徴収が心配です。墜落と転落の定義教えて

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 安衛則をみますと、墜落と転落について危険防止の規定があります。私の会社は建設業が主ですので関係があります。そこで墜落と転落についてよく知りたいのですが、条文を読んでもよく分かりません。もし災害が発生すると労災保険の費用徴収が心配です。そのために墜落と転落について分かりやすく説明してください。通達や規則があればお示しください。

【神奈川・K社】

[ お答え ]

 墜・転落の定義
 転落とは、ころがり落ちることです。これと違って墜落というのは、高い所からどしんと落ちることをいうようです。しかし、こんなばく然とした説明では、罰則のある規則の説明としては不十分です。それには、安衛則第518条の作業床の設置等の規則と、同じく第519条の作業床の端や開口部等の規則についての厚生労働省労働基準局長の発した通達を見てみることにしましょう。
 そこで通達をみますと、この通達番号はよくみる基発第○○号ではなく、基収第1233号となっており、地方の基準局長から労働省労働基準局長に対する質問についての回答のようです。日付は昭和51年10月7日となっていますので、厚生労働省ではなく労働省時代のものであることを示しています。
 質問の内容は、こう配が35~45度の山腹で、木製編さく土止めを作る治山工事において、地山斜面に沿って水平に50センチメートルの幅の床掘作業を行っていた労働者が、足をすべらして斜面を120メートル転落して死亡するという事故が発生したことについての質問です。
 質問事項は、①こう配が40度以上の斜面上を転落することは、安衛則第518条および第519条の「墜落」に含まれると解釈してよいか、②床掘面は「作業床」に該当するかどうかということです。安衛則第518条第1項と、安衛則第519条第1項とは、ともに労働者の墜落による危険の防止について規定が設けられています。
 罰則は、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(安衛法第119条第1号)。
 では、労働省労働基準局はどう回答したかと申しますと、「①、②ともに貴見のとおり」ということです。
 つまり、40度以上の斜面上をころがり落ちると(転落)、それは安衛則の518条第1項と、519条第1項では墜落と考えて、墜落による危険の防止のための作業床等を設けないと、違反として取扱うということです。もちろん、それは労働省労働基準局長の指揮監督下にある労働基準監督官が、安衛則の第518条第1項と、第519条第1項の規定する墜落の範囲を判断する場合のことですが、影響は非常に大きいでしょう。
墜落に伴う危険防止
 ところで、以上に墜落と転落のことについて説明し、転落といっても、こう配が40度以上になると労働基準局長は墜落に該当するという見解を示しましたが、それは墜落に伴う労働者の危険の防止の完全を考えてのことだろうと考えられます。そうしますと、刑罰法規の厳格さの必要性から考えますと、多少疑問がなくもありません。罪刑法定主義という難しい考え方もありますから。
 そこで、安衛則のなかに、何か参考になる規定はないかと探してみると、ありました。第525条第1項には、以下のような規定があります。
 「事業主は、不用のたて坑、坑井または40度以上の斜坑には、坑口の閉そくその他墜落による労働者の危険を防止するための設備を設けなければならない」。
 これは、労働省労働基準局長の通達等ではありません。安衛法第27条第1項の規定による労働省令です。労働基準局長通達は、「法」ではありませんが、安衛則第525条は、りっぱな労働省令ですから、「法」です。それには、はっきりと40度以上の斜面には「墜落」による労働者の危険を防止するための設備を設けることを義務付けているのですから、少なくとも、こう配が40度以上の斜坑の転落は「墜落」(安衛則の解釈としては)と考えてもよいでしょう。
 以上のとおりですから、ご質問の労災保険法第31条第1項3号の費用徴収に該当する際の法違反の解釈についても、以上に述べたところをご参考にして考えられたらよいと思います。
 なお、費用徴収につきましては、単に外形的な違反があるだけでは判断されませんから、関係の通達(昭47・9・30基発第643号等)を十分研究されるとよいと思います。



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