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労働実務事例

提供:労働新聞社

被害者が「人傷保険」加入、二重補償で求償されるか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 労災保険の第三者求償については、いろいろと難しい問題があるようですが、保険会社との関連について、ごく簡単に説明してください。聞くところによりますと、自賠責の会社をはじめいろいろ会社もあるようですが、それだけでなく保険の種類もいろいろとあるようです。それらをひっくるめて、何とか分かりやすくご説明いただけないでしょうか。

【秋田・T社】

[ お答え ]

 まず、保険には、本来使用者の行うべき労災補償を、使用者に代わって行う保険があります。これには皆さんご承知の例えば自動車損害賠償責任保険があります。
 もし、会社の営業社員の方が、営業の途中に、速度超過のどこかの暴走してきた自動車にはねられて負傷したとします。そうしますと、所轄の労基署長は、被災者本人からの請求があれば、療養補償給付や、休業補償給付や、障害補償給付を労災保険から支払わなければなりません。
 そして、それらを支払いますと、労災保険法第12条の4第1項に、政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得するという規定があり、労基署長は、その規定の適用を受けることになります。
 そこで、労基署長は、被災者に対して労災保険から支払った給付の価額の限度で、自動車損害賠償責任保険の保険会社に対してその分を支払うように請求することになります。
 もっともこれは労災保険料ではありませんので、保険会社が請求に応じなければ、それを強制的に取り立てることはできず、通常の民事手続きによることになります。
 それと同時に大事なことは、加害者が「第三者」であることと、加害行為に「損害賠償」の請求権が発生するための過失等が認められなければならないということです。
 第三者については、労災保険法にも労災保険法施行規則にも何も書かれていません。そこで旧労働省労働基準局労災補償部長の説明によりますと、「第三者とは、保険者(政府)及び被害労働者以外の者であって、当該災害につき損害賠償の責を負担する者をいう」(昭30・11・22基災発第301号)ということです。しかし、これでは使用者が除かれていておかしいですから、以上に引き続いて「ある事業のために他人を使用する者は、使用者もまた労災保険法第20条(現在の第12条の4)第1項の第三者のうちに含まれると解される」としています。
 以上が保険の1つの種類で、この型の場合は政府の労災保険給付が先になれば、その給付と同じ額を保険会社に対して政府が請求することになります。いま1つが以下に説明するもう1つの種類の保険です。
 いま1つの保険は、被災する労働者の方が保険給付を受けるために入る保険です。この場合には、もし、労災保険から給付を受けると、その分は保険会社が保険給付を行いません。これについては、労災保険法には何も規定されていません。
 その代わりに、その取扱いに誤りがないように、「第三者行為災害の事務処理における人身傷害補償保険の取扱いについて」(平16・3・17基発第0317001号)という厚生労働省の労働基準局長通達が出されています。
 この通達で人身傷害補償保険というのは、「損害保険会社が運営する任意の自動車保険の1つであるが、対人賠償保険の保険金が被保険者の事故の相手方に生じた損害を賠償するために支払われるものとは異なり、被保険者が自動車の運行に起因する事故により自らの身体に傷害を被った場合に、被保険者自身の損害に対して保険金が支払われることを契約した保険である」ということです。
 つまり、前に述べた保険は労災保険給付と同じようなものであり手続きが厳格ですが、後に述べた保険の方は自助的なものであり、役所の立場としては厳格な監督の対象ではないということでしょう。したがって、通達にも「人傷保険取扱保険者は法第12条の4の『第三者』には該当しないため、第三者行為災害の事務処理における人傷保険該当事案の取扱いは次のとおりとなる」として、前述した種類の保険と違い、二重補償等になっても気にかけず、別扱いとしています。つまり、保険会社が第三者に該当する関係にある場合と、そうでない場合の取扱いに相違があるということです。



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