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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 高齢者も働きやすい環境づくりを!定年後も働き続ける社員に関するお悩み
ノートパソコンを使用するアジアの老夫婦

高齢者も働きやすい環境づくりを!定年後も働き続ける社員に関するお悩み

「2025年問題」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本の人口が減り続ける中、2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、超高齢化社会になって雇用や医療・福祉などに影響を与えるという問題です。2025年4月からは65歳までの雇用確保が義務付けられるため、今後高齢者が働き続けられる環境を整える必要があります。

そこで本記事では、高齢者に関するお悩みを取り上げました。定年後も働き続ける社員のために必要な、会社の手続きについてピックアップしています。ぜひ参考にしてください。

1. 定年再雇用の社員、社会保険は再加入の手続きが必要?

質問日:2024年6月20日

◆1.質問内容(全文)

弊社は60歳定年、給与や待遇に変更なしの継続雇用となっています。
協会けんぽに加入しています。
前任者より、給与や待遇に変わりがなければ、とくに年金事務所への届け出は必要ないとの事で引き継ぎましたが、ネットをみると脱退して再加入する手続きが必要と書かれているようなのです。
1年以上過ぎてしまっているのですが今からでも手続きは必要でしょうか?
勉強不足で大変お恥ずかしいですが、ご教示いただけますでしょうか?
宜しくお願い致します。

1.総務の森に寄せられた返信はこちら

●回答①

>ネットをみると脱退して再加入する手続きが必要と書かれている
これは定年再雇用で収入減が多いと想定されている為と思われます。
定年再雇用では給与水準が定年前と後では給与が大幅に減少することがあります。
その場合は継続で高い保険料を払うことなく一旦脱退し再取得をすることで保険料を下げる事が出来ます。
今回は定年再雇用でも収入に変動が無ければ特段な手続きはありません。
ネットの記載内容を確認されるといいでしょう。
(中略)

年金機構より
事業主が該当する方の厚生年金保険等の被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を同時に年金事務所へ提出していただくことにより、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。

別のネット情報より
定年退職後1日も間をおかずに、すぐに同じ会社で再雇用される場合、社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失手続きは必要ありません。 ただし、定年再雇用後は、勤務条件の変更や勤務時間の短縮等により、賃金が減額するのが一般的です。

●質問者からの返答

(前略)
協会けんぽのホームページには以下のように書かれていた為、混乱してしまいました。
ありがとうございました。

Q.60歳以上の厚生年金の被保険者が退職し、継続して再雇用される場合、どのような手続きが必要ですか。

A.
お答えします
事業主が該当する方の厚生年金保険等の被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を同時に年金事務所へ提出していただくことにより、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。

なお、その際に添付書類として、「就業規則や退職辞令の写し等の退職したことがわかる書類および継続して再雇用されたことが客観的に判断できる書類(雇用契約書、労働条件通知書等)」または「事業主の証明」が必要になります。
また、事業主の証明は、特に様式は指定しませんが、退職された日、再雇用された日が記載されているものが必要となります。

厚生年金基金及び健康保険組合に加入している事業所の場合は、当該基金、健康保険組合にも同様の届出が必要ですのでご注意ください。(詳細については、当該基金、健康保険組合へお問い合わせください。)
継続して再雇用とは、1日も空くことなく同じ会社に再雇用されることをいいます。
事業所の定年制の定めの有無による相違はありません。60歳以後に退職した後、継続して再雇用された場合であれば対象となります。
平成25年3月までは、60歳から64歳までの年金を受取る権利のある方が、この取扱いの対象でしたが、平成25年4月から対象を、年金を受取る権利のある方に限らず、「60歳以上の方」に拡大しました。
この取扱いについては、正社員の方に限定されるものではなく、厚生年金保険等の被保険者に対する取扱いとなりますので、パートタイマーやアルバイトなどで厚生年金保険等の被保険者となっている方も対象となります。
法人の役員等が対象の場合の添付書類は、「役員規定、取締役会の議事録などの役員を退任したことがわかる書類および退任後継続して嘱託社員として再雇用されたことがわかる雇用契約書」または「事業主の証明」になります。

回答②

(前略)
こちらの協会けんぽの回答は、「できる」ことですから、義務ではありません。
再雇用の場合は賃金が下がることが多いです。その場合、従前の社会保険の等級のままでは控除額が大きくなりすぎるので、特例として即座に等級変更ができる制度になります。

したがって、雇用条件に特段の変更がない場合は行う必要はありません。

>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『 60歳到達後の社会保険手続きについて

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2. 転籍先の決まっている定年退職者の離職票の発行は必須?

質問日:2024年6月20

2.質問内容(全文)

今回、60歳3ヵ月での定年退職者がいます。

60歳到達時点で高年齢雇用継続給付の受給資格確認申請済です。又、退職日の翌日付けで、関連会社へ転籍予定なので、収入が75%未満になることもありません。

この様な場合、離職票の発行は必要でしょうか?
色々検索していると、59歳以上の退職者へは離職票の発行は必須!という情報が多く見られますが、以前ハローワークに問い合わせた際は、本人が希望した場合に発行で良い、と言われたことがあります。

本人の希望で、と言っても、退職者本人が雇用保険について理解していない場合も多く、当職でどこまで判断と説明をするべきか悩みます。

良いアドバイスをいただけたら幸いです。

2.総務の森に寄せられた返信はこちら

回答①

(前略)
次の職場が決まっているとはいえイレギュラーが発生しないとも限りません。
雇用保険については、無職・無収入の時に受給できるものと説明して発行しておくのも方法です。
事業所で勝手に判断するのではなく概要だけ説明し、それでも必要ないとなれば不要としていいでしょう。
本人の理解不足であっても事業所で判断するのは避けた方がいいでしょう。
(後略)

●回答②

(前略)
「雇用保険事務手続きの手引き」には、
“59歳以上の離職者は本人が希望するしないにかかわらず必ず離職票の交付が必要です”と明記されています。
何で59歳以上なのかの説明ができなくてすみませんが、

離職証明書(離職票)が何のための書類なのかを考えてみましょう。
①雇用保険の求職者給付を受けるための種々のデータが記載された証明
②文字どおり、ある時点である事業所を退職したことの公的証明(無職無収入と見做されて各種の公的手続きができます)

ご記載の事例のように、退職の翌日に他社に就職するような場合は、上記の証明が必要となる可能性は低いでしょう。
本人に“失業保険を受けるための書類です”と説明をしたら、すぐに次で働くのだから要らないよ という返事があるかもしれません。

しかし、その人が今後2年間 転職先で確実に働き続けるという保証はどこにもありません。
何らかの事情で、半年後に辞めてしまうかもしれません。その場合、生活費を得るために役立つのは雇用保険の求職者給付(基本手当)です。
直近に退職した事業所の資格月数だけでは足りない場合、もう一つ前の事業所の月数を合わせたら基本手当が受けられるということもあります。

もちろん、その時点で過去の勤務先あるいはハローワークへ請求することもできますが、
そこまでするのは面倒だとか、何となく体裁が悪いとかの理由で諦める人もいます。
また、御社はそんなことはないでしょうが、事業所によっては管理が杜撰で時間が経過すると記録が残っていないとか、担当者が辞めてしまって分からないとかで正確な離職証明書を作成できないとかいうケースもあるでしょう。
極端な例では、事業所が消滅するとか、火災で書類が消失するとかも、絶対無いとは言い切れないのです。

私見ですが、
離職者の今後のリスクを最低限に抑えるべく、事業所としてやれることはやっておいた方がよいのではないかと思います。
* 離職票には次の注意書きがあります
「基本手当等の支給を受けないときでも、後日必要な場合があるから、少なくとも4年間は大切に保存すること」

●回答③

(前略)
離職の日において59歳以上であれば離職証明書の提出は必須です(雇用保険法施行規則 第七条3)。本人の希望にかかわらずです。

離職証明書は59歳未満の方が交付を希望しなかった場合にのみ、交付しなくてもよい、になります。

>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『 高年齢者の離職票発行について

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最後に〜相談の広場ご紹介〜

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*miya227/ Shutterstock