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オフィスでの計画、予算、プロジェクト管理

【無料テンプレート付き】経営改善計画書とは?経営行動計画書との違いも紹介

2025.02.12

経営改善計画書とは、現在の経営状況や財務状態が必ずしも良好とはいえない会社が、中期的(一般的には3~5年程度)なゴールに向けて、文字どおり経営状態の改善を図るために作成するものです。

したがって、通常の経営計画書や設立時に作成する創業計画書、新規事業の企画にあたって作成する事業計画書とは異なり、現状の問題点や課題の把握が経営改善計画書のスタートになります。

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経営改善計画書と他の計画書との違い

新規事業計画書や創業計画書は、まずミッションやビジョンを策定し、これらの目標を達成するために積極的で前向きな施策を計画していきます。株主や経営者、金融機関に対して説得力のある計画を立案する必要があるのは経営改善計画書と同じですが、新規事業計画書では、“企画の新規性”や“会社の強みを活かした独自性”があるかどうかなど、いかに魅力的な計画を策定できているかが重要なポイントとなります。

経営改善計画書作成のポイント

一方で、経営改善計画書を作成する際は、現状の課題を認識し、その課題を解決するために必要な具体策を検討します。たとえば、「3年後の単年度黒字化を目指す」「5年後には決算書の債務超過を解消する」などの、定量的な目標を設定することになります。

つまり経営改善計画書は、独自性や新規性を追求するよりも、「計画どおりに数値が改善されるか」「その計画の実現可能性はどの程度あるか」という視点が最も重要です。現在の経営状況が厳しくても、3~5年後には財務状況が改善し、将来的に正常な取り引きを続けることが可能であると金融機関に納得してもらうために、絵に描いた餅にならないよう、現実的なプランを立てることが大切です。

国の補助制度を活用

また、国が費用の2/3を補助してくれる「経営改善計画策定支援事業(通称:405事業)」という制度もあります。この制度を利用するには、国が認定した税理士など認定経営革新等支援機関と一緒に、国が求める書式に則って必要事項を記載するなど、一定の要件を満たす必要があります
【参考】経営改善計画策定支援/中小企業庁

経営行動計画書の提出を求められることも

場合によっては、金融機関から経営改善計画書ではなく、「経営行動計画書」を求められることがあります。経営行動計画書とは、融資残高が増えてしまい返済が厳しい状況にある中小企業の借換え需要や、事業好転に向けた前向きな取り組みに対する融資に際して作成される経営計画書のことです。
【参考】経営行動計画書/中小企業庁

この経営改善計画書、経営行動計画書の2つの計画書は、それぞれ書式は異なっていますが、記載内容や作成の目的はほぼ同じなので、本稿では経営改善計画書に絞って説明していきます。

経営改善計画書を作成する目的とメリット

経営改善計画書は、会社が自主的に経営改善を図るために作成するケースもありますが、現状の財務状況では今後の返済が難しいと判断した金融機関から、作成を依頼されるケースがほとんどです。

経営改善計画書を作成する目的

経営改善計画書を作成する最大の目的は、何といっても金融機関と正常な取り引きを継続することです。金融機関の協力を得て、既存融資の返済条件を緩和してもらうこと(いわゆるリスケ)や、複数の借り入れを一本化して月々の弁済額を減少させることで、まずは目先の資金繰り安定を目指します。膨らんだキャッシュの流出を抑え財務状況を改善することや、返済に充てていた資金で本業を立て直し新規事業を軌道に乗せることで、会社の存続を図ろうというものです。

経営改善計画書を作成するメリット

このように、経営改善計画書を作成することのメリットは、金融機関との良好な関係の継続できる点にあります。しかし、真のメリットは、自社の課題に向き合うことで経営者自身の意識改革が図れることです。経営改善計画書を作成する過程では、嫌でも自社の弱点を洗い出す作業が求められることになります。

現代の日本では、中小企業の多くがオーナーであり、代表権をもつ社長が経営を担っています。そのため、社長の個性がそのまま会社の強み・弱みとなって経営成績に反映されているのが実情でしょう。会社を利益体質に改善するには、経営者自身の思考回路が根本的に変わる必要があるといっても過言ではありません。

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経営改善計画書策定の流れ

経営改善計画書は、おおむね次のステップで検討します。

STEP1:現状の数値を把握する

STEP2:経営課題を抽出する

STEP3:経営目標を設定する

STEP4:改善に向けた具体策を検討する

STEP5:4で決めた具体策を数値に落とし込み利益計画書を作成する

STEP6:5の利益計画書を元に資金繰り表を作成する

経営改善計画書に記載すべき内容をそれぞれの項目に沿って、以下で詳しく解説します。

STEP1:現状の数値を把握する

まずは、過去3年間の損益計算書および貸借対照表の推移表を作成します。損益計算書では、各勘定科目の3期比較を行い、特に以下の項目について、数字が悪化している原因を把握しましょう。

・売上が減少している原因
・粗利益率や営業利益率・経常利益率が減少していないか、減少している場合はその原因
・人件費が増えていないか、増えている場合はその原因
・家賃などの固定費が増えていないか、増えている場合はその原因

次に貸借対照表では、以下の項目について過去3年間の増減や直近の残高およびその内容を把握しましょう。

・借入金の内容(証書借入か手形借入か、借入先、残高、毎月の返済額、返済期限、利率、個人保証・担保の有無など)
・資産の内容(帳簿上資産の現物確認、不良在庫・不良債権・遊休資産の有無など)
・負債の内容(期限が過ぎた未払いのものがないか、滞納税金・滞納社会保険料の有無など)
・簿外負債の有無(帳簿に載っていないリース債務など)

【こちらもオススメ】経営者が知っておくべき決算書の読み方とは?貸借対照表とキャッシュフロー計算書を理解する【第2回】

STEP2:経営課題を抽出する

STEP1を元に、現在の状況に陥った原因、つまり経営課題について分析を行います。経営課題は、会社の外部環境と内部環境の2つの側面から、原因を追究しましょう。外部環境は、簡単に解決できるものではありませんが、内部環境については、自社の努力で改善することが可能だからです。 

STEP3:経営目標を設定する

5W2H(いつまでに・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって・いくら)を意識して、具体的な数値目標を設定します。計画期間である5年以内に最終利益の黒字化、債務超過の解消、過剰債務の削減をするのが、最低限度の目標です。

STEP4:改善に向けた具体策を検討する

STEP3を実現するための、具体策を考えます。

例)顧客ごとの原価率を計算し、粗利率の悪い下位3分の1に値上げ交渉をする

STEP5:4で決めた具体策を数値に落とし込み利益計画書を作成する

直前期の実績値欄をつくり、計画1年目から5年目までの見込み数値を記入します。初年度は、実現可能な計画にするために、月ごとに目標を立てましょう。

・売上高
・売上原価
・売上総利益
・販売費および管理費
―人件費、販売費、管理費、減価償却費に分解して集計。損益に与える影響の大きい科目があれば、別途追加して計算しましょう。
・営業利益
・営業外利益
・営業外費用
・経常利益
・税金
・税引後利益
・返済可能額
―簡易キャッシュフローのことで、最終利益に減価償却費を足して計算します。
・返済予定額
―借入金の返済予定額を記入し、簡易キャッシュフローが返済額を上回るか確認しましょう。

STEP6:計画初年度の資金繰り表を作成する

利益計画書は発生ベースで作成されているため、これを入出金ベースに変えた資金繰り表を月ごとに作成します。通常の営業収支による入出金は「営業収支」欄に、追加の借入金や増資、返済金額、遊休資産の売却収入などは、「財務収支」欄に記載しましょう。

売掛金や受取手形は入金サイトごと、買掛金や支払手形は支払サイトごとに分けて集計します。直前期の現預金残高を表のトップに記載し、これに入出金額をプラス・マイナスして毎月の現預金繰越額を計算します。現預金の翌月繰越額がマイナスになると、資金不足を意味し、その場合は新たな借り入れなど、早めの対策が必要になります。

経営改善計画書のエクセルテンプレートはこちら(テンプレページを作成したら、URLを差し替えます。)

まとめ

経営改善計画書は、経理担当者や外部専門家に丸投げせずに、経営者が中心となって自ら作成することが大切です。自社の課題に向き合い、厳しい計画を着実に実行していけば、利益体質の会社に変わることができます。そのためにも、経営改善計画書は一度作ったら終わりではなく、その時々の経営環境に合わせて毎年作り直すようにしてください。

*PeopleImages.com – Yuri A / shutterstock

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