
【今さら聞けない】経営者が最低限知っておくべき「ウェブ集客」の基本
近年のマーケティングでは、インターネット(ウェブ)を活用した集客が必須とも言える状況となっています。これはオンライン上のビジネスだけではなく、店舗などのオフラインのビジネスでも同様で、特に対面営業がしづらいコロナ禍に入ってからは重要性を増しています。
とはいえ、ITになじみが薄い業界やITに詳しい方があまりいない中小企業ではなかなかウェブ集客のイメージを掴むのが難しい場合もあるでしょう。しかし、中小企業は大企業よりも意思決定のスピードが速くフットワークが軽いため、ウェブ集客がはじめてでも着手しやすい環境であると言えます。本稿ではインターネットやウェブになじみが薄い企業の経営者向けに、ウェブ集客の基本を解説します。
目次
ウェブ集客とは
ウェブ集客とはその名の通り「ウェブで集客すること」を指します。ウェブの正式な意味は「インターネット上でハイパーテキストを用いて情報を発信したり閲覧したりする仕組み」ですが、難しければ「ウェブ=インターネット」だと考えて差し支えないです。つまり、あなたが普段スマホやPCなどで見ているホームページやSNS、YouTube、ブログなどを総称してウェブと言います。この記事もウェブです。このようなウェブを使って集客するマーケティング手法をウェブ集客と言います。
ウェブ集客の基本3種類について解説
ウェブ集客と言ってもさまざまな種類があります。しかし、最初からあれもこれも手を出すとどれも中途半端になってしまいかねません。したがって、まずは入門編として基本的な3つのウェブ集客方法について解説します。
①SEO(検索エンジン最適化)
ウェブ集客において基本となるのが検索エンジンからの集客です。検索エンジンとはGoogleやYahoo!のことだと認識して問題ありません。検索エンジンの上位に表示しやすいようなホームページ(会社概要やサービス情報のページ)やメディア(記事やコラム)、ランディングページ(申込みや購入を誘導するページ)などを作り、多くのユーザーを呼び込むための対策をSEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)と言います。
SEOのメリット
SEOのメリットは費用対効果が比較的高い点です。自社でホームページを作るだけならほとんどコストはかかりません。また、検索エンジン(自然検索)には掲載料金がかかりません。どれだけユーザーを呼び込んでもタダなのです。つまり、一旦成果が出るとホームページの維持管理費のみで比較的長くユーザーを呼び続けられます。
SEOのデメリット
ただホームページなどを公開しただけではほとんどユーザーは来ないのでSEO対策をしなければいけません。しかし、専門の業者にアウトソーシングするとそれなりに費用がかかります。また、検索エンジンは完成したばかりのホームページをあまり高く評価しません。コツコツと質の高いコンテンツを追加し続けても、成果が出るまでには半年以上はかかります。すぐに売上に繋げたい場合には向かない集客方法と言えるでしょう。
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②SNS運用
SNS(Social Networking Service)とはさまざまな人とつながり、コミュニケーションを取ることができるウェブサービスです。人気のSNSにはTwitterやInstagram、Facebook、TikTokなどがあります。最近はSNSを集客に使う企業も増えてきました。魅力のある発信をし続けて、ターゲットとなる層にどれだけフォロー(継続して購読するように登録)してもらうかが鍵となります。
SNS運用のメリット
SNSのアカウントは無料で運営できます。自社で運営すればさほどコストはかかりません。また、まだ自社に興味を持っていない潜在的な顧客にリーチできたり、ターゲットの絞り込みが比較的やりやすいのもメリットと言えます。
SNS運用のデメリット
SNS集客は失敗するとネットで炎上するケースがあります。したがって、失敗したときのダメージは他の集客方法で失敗したときよりも大きいかもしれません。また、SNSは近い考え方の人が集まりやすく、それ以外の意見が見えにくい特徴があるため、現実とは意見が乖離して見えやすいのもデメリットと言えるでしょう。SNSでは自社の評判がものすごく良く見えるのに、現実の売上には全く繋がらないという事態が起こり得ます。
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③ウェブ広告
ウェブ広告とは広告事業者にお金を払ってウェブに広告を流す方法です。ウェブ広告の中でもさらにさまざまな種類に分かれます。以下はウェブ広告の中でも一部の種類です。
- リスティング広告(検索連動型広告)・・・検索エンジンの検索結果に広告を表示する
- ディスプレイ広告(コンテンツ連動型広告)・・・ユーザーが訪れたホームページの内容に応じた広告を表示する
- アフィリエイト広告(成果報酬型広告)・・・アフィリエイターと呼ばれるメディア運営者に記事広告の配信を依頼し、成果(問い合わせなど)が発生した場合にのみ報酬を払う
メリット
ウェブ広告のメリットはすぐに成果が出やすい点です。例えばリスティング広告はオンラインで入稿でき、早ければその日のうちにユーザーに配信され始めます。広告の出来が良ければ運用を開始した日に成約まで繋がる場合もあります。さらに、アナログ広告に無いメリットとして計測のしやすさが挙げられます。どんな属性の人がどのようなコンテンツから広告に興味を持ったかが全て可視化されるため、ターゲットを絞った配信がしやすいです。
デメリット
ウェブ広告は運用ノウハウを持っていないと成果が上がりにくいです。媒体ごとに性質が異なるため、自社の課題や目的に合わせて媒体を選んだり、運用したりするための知識が必要になります。しっかりと成約まで繋げるにはマーケティングの本質を掴んでいる必要があり、短期間で成果が出やすい反面、小手先のテクニックでは成果が出づらいのです。
その他のウェブ集客方法
ウェブ集客には上記3つの他にも以下のようにたくさんの種類があります。
- メルマガ・・・メールマガジンの略。顧客のメールアドレスにコンテンツを配信して良い関係を築く手法。
- LINE公式アカウント・・・LINEで作れる企業アカウント。メルマガと同じく顧客にコンテンツを配信して良い関係を築く。
- YouTube・・・自社に関連する動画を配信する。あるいはYouTuberの動画に広告を出稿する。
- プレスリリース・・・プレスリリース配信サイトに自社の情報を流す。ニュース性のある情報を流すのがコツ。
- インフルエンサーマーケティング・・・インフルエンサーに有償でPRを依頼する。
- ポータルサイト・・・企業のサイトを集めたポータルサイトへの登録。例えば『食べログ』や『ぐるなび』、『エキテン』など。
- ウェビナー・・・ビデオ会議ツールを使った大人数でのセミナーやイベントを開催する。
ウェブ集客方法やツールの選び方
ウェブ集客方法やツールはターゲットや目的に合わせて選ぶのが重要です。ウェブ集客方法には向いているターゲットと向いていないターゲットがあるからです。一例を挙げると以下のような使い分けが考えられます。
- すでにニーズを自覚している見込み顧客層を自社の顧客に育てたい→SEO
- 自社を知らない非認知層も含めた幅広いターゲットに情報を拡散したい→SNS・ウェビナー・プレスリリース
- コストがかかってもいいから短期間で成果に繋げたい→ウェブ広告
- 若年層へのサービスの認知度を高めたい→インフルエンサーマーケティング
- 既存客のドロップアウトを防止したい→メルマガ・LINE
集客方法の性質と自社の目的を考慮して最適な手法を選択しましょう。
ウェブ集客の流れ
1. ターゲットからのアクセスを増やす
どのウェブ集客でも始めはターゲットへのリーチを増やすことから始めます。例えばホームページを作ってSEOで集客したい場合には、自社の商品に関連する検索キーワードで検索してきたユーザーからのアクセスを増やします。SNS運用ではターゲットとなるユーザーとコミュニケーションを取ってフォロワーを増やします。
ウェブ集客では母集団の規模が無いと話になりません。まずはできるだけアクセス数を増やしたり、規模を拡大することを意識しましょう。
2. 収益に繋げる
十分な規模のターゲットの母集団が形成できたら、問い合わせや購買に繋げます。多くのウェブ集客初心者が勘違いしがちなのは、集客と収益を同一視してしまうことです。ウェブの場合、集客しただけでは収益には繋がらない場合がほとんどで、集客から収益化への施策を打つ必要があります。
注意しなければいけないのは、多くのインターネットユーザーは広告やマーケティング、セールスといったビジネス色の強いコンテンツを嫌うという点です。せっかく集客したのにビジネス色を出した途端にドロップアウトしてしまう場合が多々あります。集客から収益に誘導するのにもそれなりのノウハウが求められるのです。
3. リピーターを維持する
せっかく収益化できても既存顧客のドロップアウトが多いとジリ貧になっていきます。新規顧客を獲得するのと並行してリピーター向けの施策も打つ必要があります。
まとめ:まずはウェブ集客に慣れるところから始めよう
ウェブ集客にはたくさんの種類があり、それぞれに特色や向いているターゲット、運用ノウハウが異なります。まずは、“新規顧客を獲得したい”“商品や会社の認知度を高めたい”など、自社がウェブ集客を通じて何をしたいのかを明確にしてみましょう。そして、社内の担当者やウェブに知識のあるメンバーと、適切な集客方法は何かをディスカッションしながら、着手してみてはいかがでしょうか。
最初からいろいろな施策を完璧に実行するにはあまりにも奥の深い世界です。まずは自社に合った1つの集客方法を選び、その運用を通じてウェブの世界に慣れるところから始めましょう。
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*mayucolor / PIXTA(ピクスタ)