
ベンチャー4年目の起業家・田原貴一氏が語る「組織づくりのポイントとオフィス選びの重要性」
時代の最先端をひた走る経営者に、経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣を紐解くのが本連載「成功を掴んだターニングポイント」。今回は、ROSCA株式会社の代表取締役・田原 貴一氏にお話を伺いました。
同社は、2020年に創業しエンジニアに特化した人材紹介事業を展開。常にユーザー目線で雇用形態にとらわれない多様なキャリアを提案することが評判で、順調に事業を拡大させています。そんな田原氏に“5つの問い”を投げかけてみました。
<プロフィール>
ROSCA株式会社
代表取締役
田原 貴一新卒からエンジニア専門エージェントに従事し、株式会社BrandingEngineer にてエンジニアエージェント事業立ち上げを行い、事業を成長させつつ、従業員100人規模まで牽引。その後、2年間、営業・組織戦略の業務委託として働きつつ、日の出ネジ株式会社にて取締役に就任。建材製造を行う部署にて事業立て直しを行い、3年で黒字化達成。取締役を兼任しながら2020年4月よりROSCA株式会社を創業。エンジニアを専門にシームレスなキャリア実現を目指したエージェント事業を展開している。
目次
Q1.貴社の事業について教えてください

出典: 経営ノウハウの泉
エンジニア・クリエーターに特化した人材紹介事業を展開しています。量より質を重視して、1人ひとりのキャリアをじっくり一緒に検討した上で、その人に合った最適な求人を紹介しています。
弊社の特徴は、正社員・フリーランスなど雇用形態で区切らずに、その人に合った“シームレス”で多様性のある働き方を提案している点です。転職や就職をして終わりではなく、生涯を通じてキャリア形成をサポートしていくような“キャリアの伴走者”であることを心がけています。また、エージェントがエンジニアの仕事内容やスキルに精通していて、キャリアへの深い理解が評価されています。
Q2.創業から「組織づくり」における苦労はありましたか?

出典: 経営ノウハウの泉
創業2年目に中途採用を始めたのですが、弊社の事業に興味を持ってくれているのが嬉しくて、今振り返ると採用基準がやや甘くなったことがありました。そのため、採用した方があまり定着せず苦労しました。退職した方のなかで、弊社に入社した理由としてよく挙がっていたのが「ベンチャーで事業の立ち上げに携われるから」といった理由です。その入社理由だと、長期的にはどうしてもモチベーションが続かなかったのだと思います。
その翌年から、中途採用の方法をガラリと変えました。先ほど申し上げました「シームレスなキャリアを提案する」というビジョンに対して、きちんと共感してくれている人を優先的に採用するようにしました。そのおかげで、以前よりも定着率が上がってきています。今後はさらに中途採用を増やす予定です。
Q3.組織づくりの工夫はありますか?

出典: 経営ノウハウの泉
社内の“コミュニケーションの促進”には力を入れています。たとえば、営業の目標数値が前月を超えたら、メンバーみんなで16時ごろに早上がりして、美味しいものを食べに行ったりしています。
あと最近、メンバー間での1対1でのランチ会を実施しています。以前まで4人でのランチ会をしていたのですが、4人だとどうしても話す人と話さない人が出てきてしまう。そのため、1対1にすることで、どちらも話す場をつくり、普段話せない人ともコミュニケーションをとれるようにしました。まずランチをする相手を人事が決めて、その2人の予定を90分おさえます。会社から予算を渡し、それでランチをしてもらいます。実際に参加した社員からは「業務では普段関わりがない人と話すことができて新鮮でした」などの好意的な意見もあって、今後も続ける予定です。ちなみに、私も参加しています。
また、創業して3年目に社員が増えたので、オフィス移転をすることで働く環境も整えてきました。
Q4.オフィス移転のきっかけとその後の変化は?

出典: ROSCA株式会社
以前のオフィスが手狭になったので、2022年により広いオフィスに移転しました。その時、弊社はまだ立ち上げて3期目で人がさらに増える予定もあり、さらなる移転を見据えて、セットアップオフィスの物件で探しました。

出典: ROSCA株式会社
セットアップオフィスなら、すでに内装工事が行われていて、什器がそろった状態になっているので、スムーズに入ることができますし、退去時のコストも抑えられます。弊社の場合、さらに人数が増えることで次のオフィス移転も予想していたので、入居・退去時のコストが軽減できるセットアップオフィスを選びました。実際に人数が順調に増えていまして、次のオフィス選びをしています。次に移転するオフィスでは、個別で作業できるブースや、Web会議ができるスペースをつくりたいですね。
あとは、オフィスのスペースだけでなく、日々使う備品にもこだわるようにしています。備品にコストをかけることで、社員のモチベーションが上がって、業務の質をさらにレベルアップできるからです。たとえば、Web会議が多いので頻繁に使うヘッドセットは質の高いものを支給することで、周囲の音に気をつかうことなく、ユーザーやクライアントとの話に集中することができます。次のオフィスでは椅子などにもこだわって、社員が働く環境を整えていきたいです。
Q5.今後の展望について教えてください
“ルールが少ない組織”にしたいです。必要以上にルールがあると管理する人が必要になってきて、社員も「管理されている」と感じてしまう。自分で選択している仕事なので、ルールに縛られずに、能動的に仕事をするような組織をつくっていきたいです。
事業としては、今の実績をしっかり積み重ねていきつつ、エンジニアがキャリアに悩んだら「ROSCAに相談しよう」と思われるくらい、多くの人に知ってもらえるようになりたいです。弊社の特徴である「雇用形態にとらわれずにシームレスにキャリアを考える」ことも広めたいので、地道にコツコツと1人ひとりに向き合っていきたいと思っています。
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今回は、立ち上げから間もないベンチャー企業ならではの、組織づくりやオフィスづくりのポイントをお聞きすることができました。激変するビジネス環境において、オフィスづくりは各社の課題といえるでしょう。ROSCA株式会社の、事業の状況にフレキシブルに対応できるようなオフィス選びは、目から鱗の思いがしました。貴社においても組織づくり・オフィスづくりのヒントとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
Interview&Photo/Takanobu Sasaki
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