創業5年で急成長!株式会社ACROVE代表取締役CEO・荒井 俊亮氏にインタビュー
「成長する企業の共通点とは」「会社を成長させるために経営者に必要なこととは」これらの“問い”は、経営に関わる人なら常に考えているものではないでしょうか。
本連載では時代の先端をひた走る経営者に、経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣を紐解いていきます。
今回は、株式会社ACROVEの代表取締役CEO・荒井 俊亮氏にインタビューしました。
株式会社ACROVEは、提携先のEC支援を行う「ECプラットフォーム事業」、 ブランドや事業の育成を目的としたM&Aを実現する「ECロールアップ事業」を展開。ECプラットフォーム事業では、平均売上成長率は300%を超えていて、既に160社以上のクライアントを支援しています。また、ECロールアップ事業では、買収したブランドや事業のバリューアップにも取り組んでいます。
そんな株式会社ACROVEの代表取締役CEO・荒井氏に経営についての考え方や、事業拡大にともなったオフィス移転について本稿では紐解いていきます。
目次
<プロフィール>
株式会社ACROVE
代表取締役CEO
荒井 俊亮学生時代に株式会社アノマ(現ACROVE)を創業、プロテインEC販売事業を開始し約1年で年間売上5,000万円程度のブランドに成長。その後、コロナ禍を機に『社会的価値の大きな事業をやり、100年以上残る企業を創る。』と決意。EC利用者が増加していることから、EC事業に着目し、ECプラットフォーム事業を開始。2022年にはECロールアップ事業を開始し事業を拡大。現在、160社以上のお客さまをご支援、10を超える自社ブランドを運営している。
Q1. 自社の歩みで印象に残っている「転換期」について教えてください
創業当時に行っていたプロテイン事業は好調でしたが、2020年5月頃のコロナ禍で自分の視座が大きく変化しました。「自社だけが儲かっていても仕方ない」と感じ、より社会的に価値のある事業を行いたいと考えるようになったのです。そこで「社会的価値のある“大きな事業”を行い、100年以上残る企業を創る」と決意、EC関連のニーズが高まっていたこともあり、売上最大化に向けたEC支援のビジネスをスタートしました。
その後、弊社独自のツール『ACROVE FORCE』を開発し、“仕組み化”をすることでさらに精度の高い分析と支援を行えるようになりました。2020年の夏から秋にかけて事業は急成長。メンバーも増加していき、現在は約160人のメンバーがいます。
また、2022年6月に家庭用クッショントランポリンのブランド『OPPOMAN』のM&Aを実施。ECブランドを買収してさらにブランドの価値を高めていく『ECロールアップ事業』を順調に成長させています。
Q2.貴社のミッションについて教えてください
最初の質問でお答えした弊社の“転換期”に、ミッションもつくりました。その際に、まず国内におけるこの30年間で急成長した企業を徹底的に調べ上げました。そこでわかったのは、この30年間で急成長した企業の多くが「ITコングロマリット」、つまり複数の事業を持つ組織となっていることでした。
このような大きな企業を築くためには、多くの事業を持つ”果樹園”のような組織をつくる必要があると考えました。そこで生まれたミッションが『社会の果樹園を創造する。』です。
ここでの”果樹園”とは、グループ全体のことです。事業を”果実の木”になぞらえ、複数の事業を展開しているグループ会社を実りの多い果樹園と例えています。仮に1事業の継続が困難になったとしても、培われた経験や実績などは新しい事業が生まれ育つ肥料や土壌になります。果樹園になぞらえたグループ全体を成長させるには、新しい事業が生まれる、そのような循環が必要です。
事業の変動は自然なもので、新しい事業が生まれ、それが成長し、他の事業に取って代わられることもありえます。このサイクルを持つ組織が長期間、営業利益を上げ続ける企業の特徴であり、私は経営原則の一つである「社会循環の協力」に貢献できるように、そのような組織をつくりたいと考えています。
Q3. 組織づくりや採用で注力されていることはありますか
私たちの会社は、採用の際、技術的なスキルに加え基本的な価値観や性格を非常に重要視しています。具体的には、「素直さ」、「賢さ」、「ハードワーク」、そして「愛嬌」の4つの要素を評価しています。
素直さは、他者からの意見やアドバイスを受け入れる心の持ち主であること。
賢さは、問題を言語で表現したり、それを解決する力。
ハードワークは、たとえば、家電量販店で冷蔵庫を見たときに「なぜこの冷蔵庫が売れているのだろう?」と疑問を日常的に持てる意識。
愛嬌は、人とのコミュニケーション能力。特に、未経験者が多い中で、質問力や他者からのフィードバックを受け取る能力が求められます。
これらの4つの要素は、学ぶスピードに大きく影響します。EC業界は人材不足であり、経験者が少ないため、未経験者を採用して経験者に育てる仕組みが重要です。そのため、これら4つの要素を持つ人材を採用し、経験がなくても成長可能な環境を提供しています。
さらに、私たちの会社ではMBTI®(※)のような性格理解のためのツールを取り入れて、性格ごとの傾向を理解しています。若いメンバーが多いがゆえに、こうしたツールを用い、自分自身のことや他者との違いを理解することで、コミュニケーションを取りやすくし、多様な意見や視点を取り入れています。
※Myers-Briggs Type Indicatorの頭文字をとったもので、世界45カ国以上で活用されている性格検査。
Q4.オフィス移転のきっかけや目的を教えてください
2023年5月に4回目の移転をしたのですが、前回の移転から1年も経たないうちに社員数が約80名(2023年5月時点)と、2.5倍に増加しました。この急成長により新たなオフィススペースの必要が生じまして、今のオフィスへ移転に至りました。
新オフィスのコンセプトは「communication」です。この新しいオフィスはワンフロアで、開放的な空間と大きな窓が特徴です。これにより、部署やチーム間の自然なコミュニケーションが増えることを期待しています。
このような偶発的なコミュニケーションは課題解決や新しいアイデアの創出、さらにはビジネスの新たな機会を生む可能性があります。弊社では、社員間のコミュニケーションの活性化をとても大事にしていて、全員に出社してもらっています。
オフィスの場所や環境は、企業の文化を形成する大切な要素となると考えています。新しいオフィスが、私たちのサービスや商品に対する共通の理解や価値観を生み出す場となることを期待しています。
Q5. 成長していく企業の特徴はどのようなものだと考えていますか
多くの人からのサポートがあることではないでしょうか。たとえば弊社でいうと、起業してまだ間もない、社員も2~3人の小さな組織だったころから、上場企業で数千人もの従業員を持つような経営者の方からアドバイスをいただいていました。
これは経営者の人脈や運などもあると思いますが、一番大事なのは高いクオリティをもった商品やサービスを生み出し続けることだと考えています。正々堂々と市場に出て、お客様とまっすぐに向き合うことで、よい商品をつくりだしていく。結果として、その姿勢に共感してくれる方が必ず出てきて、自然と応援してくれる人が増えてくるのだと思います。
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成長の過程、事業の展開、組織づくり、そしてオフィス環境に至るまで、株式会社ACROVEの取り組みについてお聞きしました。価値観や性格を重視する採用方針、コミュニケーションを活性化させるための新オフィスへの移転の話は参考になったのではないでしょうか。株式会社ACROVEの今後の展開に目が離せません!
Interview&Photo/Takanobu Sasaki
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