登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 給付金・補助金 > IT導入補助金2024受付開始!申請方法や注意点を分かりやすく解説
Business,Report,,Graph,And,Business,Figurines,Illustrating,Profit,Decrease,Analyze.

IT導入補助金2024受付開始!申請方法や注意点を分かりやすく解説

中小企業にもデジタル化が必須となってきている現代において「インボイス発行の手間が増えてしまった」「顧客情報の管理業務に時間がかかっている」などの課題がある場合、ITツールの導入も解決方法の一つです。

ITツールの導入にはコストがかかりますが、その際に活用できる「IT導入補助金」をご存知でしょうか。

本記事では、2024年2月中旬から新たに公募が開始される予定の「IT導入補助金2024」の情報(2024年1月現在)をもとに、IT導入補助金の内容や特徴、申請の注意点などを解説します。
【参考】「IT導入補助金」でIT導入・DXによる生産性向上を支援!」/中小企業庁

IT導入補助金の概要

IT導入補助金は、主に中小企業・小規模事業者などがITツールを導入する際に、経費の一部を国から支援してもらえる制度です。ITツールの導入やDXの推進により経営課題を解決することで、生産性向上を促すことを目的としています。

前回のIT導入補助金2023との変更点は、新たにインボイス枠が拡充され、前回は必須ではなかった、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」機能を有するソフトウェア(インボイス対応必須)が対象となった点です。また、インボイスに対応する小規模事業者に対する補助率を一部「4/5」へ拡大しています。

このことから、インボイス制度に伴い、中小企業などが会計業務や決済業務に変更が求められていることに対して、国として支援する動きがあることが分かります。

さて、今回解説するIT導入補助金2024の申請枠には、①通常枠、②インボイス枠(インボイス対応類型)、③インボイス枠(電子取引類型)、④複数社連携IT導入枠、⑤セキュリティ対策推進枠の合計5つのパターンがあります。それぞれ対象となるITツールの種類や補助額が異なりますので、ここからは、枠別の制度概要について確認していきましょう。

①通常枠

補助額が2つに分かれています。現在まだ詳しい条件が出ていませんが、前回と同様とすると、導入するITツールの[ソフトウェアに必要な業務プロセス]の中で対応する数によって、申請できる類型が区分されると考えられます。

ソフトウェアに必要な業務プロセスについて

以下は2023年の情報を参照しています、最新情報は2024年版が更新され次第ご確認ください。

①顧客対応・販売支援
②決済・債権債務・資金回収
③供給・在庫・物流
④会計・財務・経営
⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
⑥業種固有
⑦汎用・自動化・分析ツール
【参考】IT導入補助金2023 申請区分について/一般社団法人 サービスデザイン推進協議会

②インボイス枠(インボイス対応類型)

2023年10月から開始されたインボイス制度に対応しており、新たに拡充された枠になります。補助下限はなく安価なITツールの導入にも利用できます。

※2 補助額50万円以下 3/4(小規模事業者4/5), 50万円超    2/3

③インボイス枠(電子取引類型)

インボイス対応類型と同様、新たに拡充された枠になります。

④複数社連携IT導入枠

⑤セキュリティ対策推進枠

補助金を受けられる条件とは

(1)補助の対象となる事業者とは

IT導入補助金を受けられるのは、主に「中小企業」及び「小規模事業者」です(インボイス枠(電子取引類型)では大企業でも申請可能)。「中小企業」や「小規模事業者」については、業種や組織形態に応じて資本金・従業員数により定められています。

申請の対象となる中小企業・小規模事業者

「製造業その他」「卸売業」「小売業」「サービス業」といった業種は、「日本標準産業分類」で国が定めています。自社がどれに当てはまるかは、総務省のホームページでこの「日本標準産業分類」を確認することができます。

具体的な例を挙げると下記のとおりとなります。

(例)
従業員30名、資本金1,000万円の製造業 →中小企業
従業員4名、資本金500万円の小売業 →小規模事業者

(2)補助対象となるITツールとは

IT導入補助金の対象となるITツールは、IT導入支援事業者(以下、ITベンダー)によって事前にIT導入補助金事務局の審査を受け、登録されたものでなくてはなりません。

まず、ITツールを選定するためには、自社のニーズと課題点を洗い出しておく必要があります。全体の業務を見直してみて、とくにコストや時間がかかっている業務を探してみましょう。あらかじめ、事務局のポータルサイトのITツール検索で確認するか、ツールを提供するITベンダーに対象ツールであるかを確認しておくとスムーズに進みます。

ITベンダー1社としか契約ができないため、いくつか使いたいツールがあった場合は、広くITツールを扱っている企業と契約したり、補助金を利用するツールに優先順位を付けるとよいでしょう。

【こちらもおすすめ】自社は大丈夫?最近増えつつある助成金・給付金の不正受給…影響と対応策とは

申請プロセスと期限

(1)申請プロセス

IT導入補助金は、他の補助金と異なり、「ITベンダーと協力して申請」することが必須となっています。

特に交付申請やその後の報告は、ITベンダーと共同で行うため、ITベンダーとの関係性が非常に重要となります。実績豊富で丁寧な対応で親身に相談に乗ってくれるITベンダーを選定し、しっかりコミュニケーションを取りましょう。

(2)申請期限

2024年2月中旬に始まる申請枠の公募スケジュールは下記のように予定されています。1次締切分のみ記載していますが、それ以降は「IT導入補助金2024 事業スケジュール」をご確認ください。

①通常枠

・締切日      :2024年3月15日(金)17:00
・交付決定日    :2024年4月24日(水)(予定)
・事業実施期間   :交付決定~2024年10月31日(木)17:00(予定)
・事業実績報告期限 :2024年10月31日(木)17:00 (予定)

②インボイス枠(インボイス対応類型)

・締切日      :2024年3月15日(金)17:00
・交付決定日    :2024年4月24日(水)(予定)
・事業実施期間   :交付決定~ 2024年10月31日(木)17:00(予定)
・事業実績報告期限 :2024年10月31日(木)17:00(予定)

③インボイス枠(電子取引類型)

・締切日      :2024年3月15日(金)17:00
・交付決定日    :2024年4月24日(水)(予定)
・事業実施期間   :交付決定~ 2024年10月31日(木)17:00(予定)
・事業実績報告期限 :2024年10月31日(木)17:00 (予定)

④複数社連携IT導入枠

・締切日      :2024年4月15日(月)17:00
・交付決定日    :2024年5月27日(月)(予定)
・事業実施期間   :交付決定~2024年11月29日(金)17:00(予定)
・事業実績報告期限 :2024年11月29日(金)17:00(予定)

⑤セキュリティ対策推進枠

・締切日      :2024年3月15日(金)17:00
・交付決定日    :2024年4月24日(水)(予定)
・事業実施期間   :交付決定~2024年10月31日(木)17:00 (予定)
・事業実績報告期限 :2024年10月31日(木)17:00(予定)
【参考【IT導入補助金2024】 公募スケジュールのお知らせ/TOPPAN株式会社

申請するときに注意したいポイント

(1)申請の注意点

補助金は後払い

どの補助金も同じですが、補助金は事業実施、経費の支払い後に報告し、それを確認してもらってから交付となります。つまり、補助金は後払いとなります。補助金が交付されるまでの間、必要経費は手元資金から拠出する必要がありますので、注意が必要です。

GビズID(gBizID)は早めに登録しておく

IT導入補助金の申請には、行政システムの利用に際しての共通認証システムである、「GビズID(gBizID)」の取得が必要です。GビズIDには「プライム、メンバー、エントリー」という3種類のアカウントがありますが、このうち「プライム」を取得しなければなりません。

「メンバー、エントリー」のアカウントではIT導入補助金の申請に利用できない点に注意してください。

GビズIDの取得は、通常期なら2週間程度で可能ですが、混雑期には最長で1か月近くかかる場合もあるので、申請を検討している方は早めに取得しておくことをおすすめします。

スケジュールに余裕を持って取り組む

IT導入補助金はオンラインでの申請システムのため、締切直前は申請マイページ及びIT事業者ポータルへのアクセス集中により、各種画⾯遷移やSMS認証などに伴う接続時間が通常よりも⻑くかかったり、エラーになってしまう可能性があります。

申請される方は、日時に余裕をもって手続きを行えるようスケジュールを把握し、早めに申請まで進めましょう。

必要書類や情報の不備

補助金申請が不採択となる理由で意外にも多いのが情報の不備です。特に提出書類に記載されている情報に不備があると他の項目に関係なく、不採択に直結します。

気をつければ避けることができる初歩的なエラーですので、申請内容を第三者に確認してもらうなど、申請内容のチェック体制を整えるようにしましょう。

(2)よくある申請不備の例

①履歴事項全部証明書

  • すべてのページが揃っていない
  • 履歴事項全部証明書の内容と入力した企業情報が異なっている
  • 期限が過ぎている(発行日から3か月以内のものが必要です)

②法人税の納税証明書

  • 直近のものでない
  • 消費税や市税の納税証明書など間違った納税証明書を提出した(税務署で法人税の納税証明書が必要です)

(3)申請理由の記載方法

IT導入補助金は、申請後に審査が行われ、採択されて初めて補助金を受けることができますが、採択されるためにはどのように申請理由を記載したらよいでしょうか。

気を付けたいポイントは「具体性と一貫性」という点です。審査では、「経営課題に沿ったITツールを選んでいるか」が重視されます。

申請するITツールを入れることで、本当に自社の弱みや経営課題が解決されるのか(一貫性)、また課題解決のために最適なITツールである、と伝わるような具体的な申請内容かどうか(具体性)が重要視されます。これらをきちんと申請理由に記載しましょう。

まとめ

最後に、ITベンダーから提案を受けて申請する企業もあると思いますが、申請者のニーズ(課題解決)とITツールのミスマッチに気をつけてください。「自社が何をしたいか」を明確にしないと、導入ツールと業務との間にミスマッチが起こりかねません。

まずは、補助金申請のスタートとして「自社の経営課題の把握」から始めてみてはいかがでしょうか。

* Jirsak, mapo_japan, metamorworks, Prathankarnpap / shutterstock