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予実管理

【まずはここから】予実管理表の重要性と作り方をわかりやすく解説【テンプレート付】

企業の経営における数値の重要性は、多くの経営者が理解していることでしょう。しかし、予実をしっかり管理できている中小企業は、少ないかもしれません。予実管理を実施することで、計画がうまく実行できていない場合にもいち早く気付くことができます。本稿では、予実管理の重要性と予実管理表をエクセル(Microsoft Excel)で作成する方法を解説します。


予実管理の重要性

予実管理とは?

予実管理とは、“予算実績管理”の略で、会社の予算に対し実績がどれくらいあるかを比較し、管理することをいいます。予算とは、売上や仕入、販管費などに対して策定した数値目標です。この目標通りに実績が推移しているかを見るのが予実管理であり、経営のどの部分の進捗が遅れているかをいち早く判断するのに有効です。

予実管理は、全社の売上や利益だけではなく、商品や部門単位で変化を追うことが可能です。また、項目に決まりはないため、マークしておきたい項目を管理することができます。

なぜ予実管理が必要?

予実管理が必要な理由は、予算と実績を数値で判断できるからです。数値で可視化するのは非常に大事です。なぜなら、感覚と実際の数値の間には乖離がある場合が多いからです。感覚で判断していると現在の状況や課題、経営上のリスクを正しく把握できないかもしれません。

また、計画そのものの妥当性も数値で計ることでわかります。実績と予算にあまりにも乖離があると「そもそも予算の立て方のほうが甘いのではないか?」という課題が見つかります。甘い見通しの計画を続けることなく、途中で方向転換できるのです。

予実管理表の項目・形式

予実管理表の項目

予実管理表は、法律で定められた書類ではないため、項目や形式は決まっていません。自分が把握しやすい項目に厳選して作成するとよいでしょう。一般的には以下のような項目で作ります。

  • 売上高
  • 売上原価
  • 売上総利益
  • 販管費
  • 営業利益
  • 営業外損益
  • 税引前利益

もう少し詳しく予算を立てたい場合は、販管費を内訳ごとに分けるなど、粒度を細かくしてもよいでしょう。

予実管理表の形式

予実管理表はどんな形式で作っても良いですが、いちばん作りやすいのはエクセルなどの表計算ソフトです。予算と実績を管理するサイクルは細かいほど厳密な管理ができます。一般的には月次で管理することが多いですが、年次や週次、日次で管理する場合もあります。

予実管理表の作成方法

エクセルで予実管理表を作成してみましょう。

1. 行の見出しに管理項目を記入する

まず、どの項目で予算を管理するかを決め、エクセルの行の見出しに記入していきましょう。ここでは例として以下の項目を記入します。

  • 売上高
  • 売上原価
  • 売上総利益
  • 販管費(人件費、広告宣伝費、支払手数料、消耗品費、その他)
  • 営業利益
  • 営業外損益
  • 税引前利益

2. 列の見出しに比較項目を記入する

次に、比較する予算実績や時間軸を列の見出しに記入していきます。ここでは例として以下の項目を記入しました。

  • 当月発生
  • 当月予算
  • 予算との差額
  • 予算比
  • 前年同月
  • 前年との差額
  • 前年比

3. 前年同月のデータを入力する

前年同月のデータを入力しましょう。これが予算の基準となります。

4. 予算を立てる

各項目について予算を立てましょう。予算はあくまでも現実と比較するものですので、あまりにも非現実的な予算を立てるのはやめましょう。現実的に達成できそうな根拠があり、なおかつ従業員のモチベーションも上がりそうな予算にするのがコツです。

5. 実績を入力する

次に実績を入力し、予算との差額を計算していきます。数式を入力しておけば自動で計算されるため、あらかじめ入力しておくと良いでしょう。

ここで作成した予実管理表は、テンプレートとして以下からダウンロードできます。数式も入力済みのため、数式を扱うのが難しい方はダウンロードしてお使いください。

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予実管理表の運用方法

予実管理表を作っても、ただ入力して終わってしまっては意味がありません。しっかりと運用し、経営に反映させましょう。運用するコツを3点解説します。

①予算と実績の差が大きい項目の原因を調べる

予算と実績の乖離が激しい項目があるならば、その項目が“上手く行っていない部分”です。なぜ乖離が発生しているのか原因を調査しましょう。

これは表面的な要因ではなく、本質的な真の原因を突き止める必要があります。例えば、「大型連休などのかき入れ時に悪天候が重なり、想定よりも客足が伸びなかった」というなら単に運が悪かっただけで、自社に原因があるわけではないのでそこまで深刻ではありません。しかし、「特に要因が見当たらないのに客足がどんどん落ちている」というのなら何らかのテコ入れが必要でしょう。それは顧客から自社の商品やサービスに「No!」を突きつけられているということだからです。調査した結果「人手不足で接客の質が落ちている」「材料の仕入先を変えたら品質が落ちた」などの根本原因がわかればそれを改善し、また1ヶ月後に予算との乖離を見ます。

予算よりも異常に値が乖離している場合は、何らかの原因が必ずあるので、それを突き止めるのが大事です。

②現実性とモチベーションのバランスを取りながら予算を立てる

予実管理で立てる予算は、夢や希望ではなく、あくまでも計画です。理論的に実現可能な範囲でなければなりません。あまりにも高すぎる目標は社員の働く意欲を失わせます。しかし、現実を厳しく捉えすぎるあまり消極的な予算になってしまっても、社員のモチベーションは落ちてしまうでしょう。

よって、予実管理で策定する予算は「達成はできなくもないけど、少し厳しいかな」と感じる程度がちょうどよいとされています。現実性とモチベーションのバランスを取りながらちょうど良い予算を設定しましょう。

③月次サイクルで比較する

どの会社も予算は1年ごとに計画すると思いますが、予実管理は月次サイクルで行いましょう。細かいサイクルで予算と実績の比較を実施することで、計画とのズレを早期に発見できるからです。併せて実施した施策の結果も1ヶ月単位で見直すことで、どの施策がどの程度効果があったのかがわかりやすくなります。

まとめ:細かい予実管理で異変をいち早く察知しよう

予算はただ策定するだけのものではなく、計画の実行が上手くいっているかどうかの基準となるものです。一定のサイクルでこまめに予算と実績を比較すれば、予算からの数値の乖離によって計画の実行に狂いが生じていることに気が付けます。また、予算を立て共有すれば、従業員一人ひとりに具体的な数値目標を示すことができ、モチベーションも上がりやすいでしょう。予実管理のテンプレートを用意しましたので、まずはダウンロードして運用してみてください。

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*星野スウ、jupiter、cba / PIXTA(ピクスタ)

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