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Progate宮林さま

株式会社Progate COO宮林卓也氏にインタビュー!プログラミング学習サービスから人の可能性を広げるためのインフラへ

2024.04.22

時代の最先端をひた走る経営者に、経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣を紐解くのが本連載「成功を掴んだターニングポイント」。

今回は、株式会社Progate COO宮林卓也氏にお話を伺いました。

株式会社Progateは「誰もがプログラミングで可能性を広げられる世界」というビジョンを掲げ、オンラインプログラミング学習サービスを展開しています。

プログラミング学習の入り口として世界320万人以上のユーザーが利用する『Progate』、エンジニア実務につながる経験が積める『Progate Path』はエンジニアを目指す学生を中心に1万人以上が活用しています。

今回は、株式会社Progateの設立から現在までの転換期や組織づくりについて、経営の本質に直結する“5つの問い”を投げかけてみました。

株式会社Progate
COO
宮林卓也

大学卒業後、不動産企業で営業を担当。その後人材系ベンチャー企業で経営管理や人事責任者を歴任し、経理業務や評価制度の策定などに従事。金融関連企業にてIPOを達成。2019年1月に株式会社Progateに入社。財務責任者として国内外の会計、決算業務他、バックオフィス業務全般にも携わる。現在はCOOとして海外進出や事業拡大を進めている。

Q1. 自社の歩みの中で印象に残っている“転換期”について教えてください

僕が入社する前の話になってしまいますが、創業からの数年間は、労働時間度外視でよいものをつくろうとしていたと認識しています。ユーザーは増えていく一方で、短距離走を全力で駆け抜けるような働き方により、開発側は徐々に疲弊して燃え尽きていってしまったのではないかと考えています。

そこで、未来を見据え長距離を走っていける組織に変えていくために、社内の働き方を“個人ではなく、チームとして役割を分担しながらよいものをつくっていく”というスタイルへと変更したことが一番大きな転換期です。

また、コロナ禍での変化も印象に残っています。当初は個人のパフォーマンスを測る制度がないまま、リモート勤務に切り替えたため、相手の声や顔から得るようなノンバーバルといわれる言語以外の情報量が圧倒的に減ってしまい、テキストコミュニケーションとリアルのコミュニケーションの差分に非常に苦労しました。

そこで、まずはメンバーに対して弊社は“コミュニケーションを重視している企業だ”というスタンスを明確にしました。弊社の報酬に関する基本的な思想には“ハイパフォーマンスハイリターン”という考えがあるのですが、“いかにチームに貢献したか”ということが、ハイパフォーマンスであると会社としての価値観や判断基準の定義づけを行い、社内の等級と評価制度を企業バリューと密接に紐つける形の評価制度につくりかえました。その結果リモート勤務でのコミュニケーションがかなり改善されました。

特にリモート勤務下では、「我々は何を大事にしたいのか」という会社の考えを理解してもらう難易度も高くなりますし、浸透させていこうとしてもコミュニケーションの場が少なく同じ方向を見ることが難しくなります。だからこそ会社としてのスタンスをはっきりと明確にすることが重要であると考えています。

Q2. 自社のパーパス、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)についてお伺いします

弊社の創業のきっかけは、代表の加藤が大学のプログラミングの授業でつまづき、その後、壁を乗り越えた瞬間に、「プログラミングって楽しいんだ、こんなに自分の可能性が広がるんだ」と気付いたことです。『誰もがプログラミングで可能性を広げられる世界』という弊社のビジョンを、創業から10年間何一つ変わらずピュアに追い続けています。

また、ミッションの『Be the gate Be the path』は2018年にできた新しいミッションです。初心者に向けての入り口(gate)と、エンジニアになるまでの道のり(path)、キャリアパスを支援する存在になっていきたいという想いを込めています。

現在は経営陣で話す時間を設けており、「次の3年で何を決めなければいけないのか?」「それは本当にユーザーのためになるのか?」といった幅広い議論をしています。

日々の業務では常に生産性を意識しているのですが、生産性だけでは広がらない部分があります。目の前のタスクだけをクリアしていこうとすると連続的な成功は生まれますが、非連続的な成長は生まれません。

未来のゴールを描くための「より遠くの議論を持つ時間」があるからこそ、逆算的に非連続的な成長を考えるための思考の時間が生まれます。その上で、目指すゴールにむけて実務を効率的に進めるための「より早く進む時間」をそれぞれ日々設けるようにすることで、会社としてより遠くに、より早く進んでいこうと施策を生み出し続けることができます。

Q3. 採用や組織づくりにおいて重視されている点について教えてください

採用の際は、ビジネスモデルや技術、環境などの枝葉に対してのみの共感ではなく、弊社のビジョン自体に共感をしてくれているのかどうかを重視しています。

自分の想いと会社の想いがずれることは往々にしてあります。たとえばリモート勤務に魅力を感じている方だと、リモート勤務が変更になれば去って行ってしまいます。そのため、面接では候補者の方の原体験や、過去に自分が嫌だと感じた企業や上司の意思決定についての質問を行い、見極めというよりは弊社のビジョンや方針とマッチする方なのか擦り合わせるようなイメージでお話ししています。

人間が人間を評価するのは本当に難しいことだと日々思います。どれだけ頑張って用意をしても、1時間の面接では相手のことをすべて理解することは難しいです。相手により自分たちのことを理解してもらう努力も必要だと考えており、自社で発信できる情報に関しては積極的に発信していこうと、今出ている情報が常に最新の状態になるよう注意して情報の発信を心がけています。

また、組織づくりにおいては、できる限り社員に裁量を持ってもらうようにしています。打席に立って、失敗してもいいのでバットを振ってほしい。全員がリーダーになってほしいと思い、組織づくりをしています。経営側が「こんなことをお願いしたい」といわなくても、社員側から「こんなことをやったらより早くユーザーさんに価値を出せるのでは?もっとやってよいですか?」とグイグイ来てくれることも増えました。裁量を渡すからこそチャレンジも増えましたし、裁量があるからこそ自分事としてオーナーシップを持って仕事に取り組んでくれる人が増えたと思います。

Q4. オフィス移転のきっかけや目的を教えてください

移転のきっかけは、オフィス維持のためのコストを削減し、メンバーのモチベーションアップや会社の成果を最大化するために費用をかけていきたいと考えたためです。

以前は、コロナ前の移転だったということもあり、一人ひとりが快適に仕事ができるよう敢えて広めのオフィスに移転しました。ところが、リモート環境になってしまい出社率が下がると、広すぎる空間ではメンバー同士の会話が生まれず、ただ黙々と作業するような場所としての色味がとても強くなってしまいました。移転によりオフィスが小さくなることを逆手に取り、あえてすべての席からモニターを撤去し、快適に集中できるような作業スペースもなくしました。座席も基本的には中央に視点が向くように配置して、人と人が繋がる場を意識して設計しました。

自然と隣で仕事をするメンバーが見えるようになり、チームを超えたコミュニケーションも生まれています。移転前よりも明らかにメンバー同士の会話が増えたのは狙い通りではありますが、やはり会社としてどんな場を設計するのかは大事だなと気付かされました。

リモートを前提にした採用をしており、リモートの体験もかなり向上したと思いますが、今後は出社時の体験向上にも力をいれていきたいと考えています。たとえば1階のカフェと提携してコーヒーを無料にしたり、出社時のチームランチを支援したりと、“会話やコミュニケーションがが生まれる場”としてのオフィス環境を整備していきたいです。オンラインとオフラインの役割がまったく違うので、オフラインはオフラインの楽しさを感じてもらえるような体験設計ができたら嬉しいです。

Q5. 企業の成長についてお考えをお聞かせください

今までは初心者向けの教育コンテンツの会社でしたが、DXやデジタル人材育成のニーズの高まりもあり、今後は企業研修のサポートや、より実践的なプログラミングを学びたいという人たちのニーズにも応えていきます。また、学習意欲が高い学生と出会いたい、おもしろい技術を使っている企業を紹介してほしいと要望をいただくことも増えておりますので、学習者と企業が繋がりあえるようなサービスをつくっていきたいと考えています。

たとえば直近、『Progate Prospects』という新卒採用プラットフォームのβ版をリリースしました。このサービスは単なる採用サービスではなく、ユーザーがどのような学習をしてきたのか、どのようなコードを書くのか、学習傾向はどうなのかといった学習データを通してスキル面の担保を可能にし、技術力の高い人材を見極め、採用までのプロセスを効率化することができます。学歴で判断するのではなく、実際のスキルをベースにして企業と学生のマッチングができるようになれば、企業は学習意欲の高い優秀な学生と繋がることができ、エンジニアを目指す学生もより自分にあった企業を見つけることができるような世界がやってきます。

弊社がこれまで10年にわたり積み上げてきた教育サービスの経験を活かし、独自の新しい機転で複合的なサービスに進化していくことで、人の可能性を広げるためのインフラになることを目指しています。

***

組織づくりにおいては、“根本の考え方が一致しているかどうか”が一番重要であるという宮林氏。だからこそ、争いが起こらずピュアにビジョンを追い続けることができるのですね。ユーザーから支持され続ける株式会社Progateの一番の強みは一体感がある強い組織力だと感じました。

宮林氏へのインタビューいかがでしたでしょうか?

是非、参考にしてみてください。

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