
ハイブリッドワーク導入でもオフィス出社が約6割、その目的は「雑談」にあり!新たなオフィスの役割を考える
オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方、ハイブリッドワーク。コロナ禍以降、テレワークを導入する企業が増えましたが、同時にコミュニケーションが取れなくなるなどのデメリットも浮き彫りになりました。ハイブリッドワークはこれらのデメリットを解消し、オフィスワークとテレワークのメリットを活かすことができるワークスタイルとして注目を集めているのです。本記事では、ハイブリッドワークの魅力とともに、それに適したオフィスの役割と機能を解説します。
目次
ハイブリッドワークとは?
オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方
ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方です。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業でテレワークが取り入れられました。その結果、テレワークのメリットを実感した企業が増え、オフィスワークと組み合わせたハイブリッドワークを採用する動きが広がっています。ハイブリッドワークは企業と従業員の双方に多くのメリットをもたらし、今後の新しいワークスタイルとして定着していくでしょう。
ハイブリッドワークは両者のいいとこ取り
オフィスワークではコミュニケーションが取りやすい一方で、通勤時間がストレスになる場合があります。テレワークは通勤の必要がなく、生活スタイルに合わせやすい反面、コミュニケーションのスピード感や密度がどうしても損なわれがちです。ハイブリッドワークは、これらの両方の利点を組み合わせた「いいとこ取り」の働き方です。近年は、テレワークの場所として、コワーキングスペースやシェアオフィスなども注目されています。
【こちらもおすすめ】働きやすいオフィスは「社員全員」でつくる!オフィスカイゼン活動の進め方とは
ハイブリッドワークのメリット
ハイブリッドワークの導入によって、具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
従業員が生活スタイルに合わせられる
ハイブリッドワークの大きなメリットは、生活スタイルに合わせた働き方を選択できる点です。たとえば、これまで休業を余儀なくされていた子育て中や介護中の従業員でも、ハイブリッドワークであれば仕事を続けやすいでしょう。また、柔軟な働き方によってプライベートの時間を確保でき、ワークライフバランスも向上します。快適な労働環境で仕事ができれば「長く働きたい」と感じてもらえ、結果的に従業員の定着につながるでしょう。
【こちらもおすすめ】多様化する働き方…新しいオフィスのあり方とは?課題や対応策を解説
生産性の向上につながる
ハイブリッドワークでは状況に応じて仕事の環境を選択できるため、作業効率が上がります。たとえば、会議や引き継ぎ、レクチャーなど直接やり取りした方が効率がよい場合には出社、細かい作業など集中したい場合はテレワーク、といった選択ができます。
採用活動にプラスになる
近年は労働環境が重視され、勤務先の条件に「働きやすい企業」を挙げる人も増えています。企業がハイブリッドワークであることを企業紹介や採用ページでアピールすれば、企業のブランドイメージが向上し、応募者が集まりやすくなるでしょう。また、従業員が働き方に満足していれば、知り合いに自社を紹介してリファラル採用につながる可能性もあります。
オフィスを有効活用できる
ハイブリッドワークの導入により全従業員が同時に出社する必要がなくなり、オフィスレイアウトや制度を見直す企業も増えています。たとえば、従業員ごとの固定席をつくらないフリーアドレスや、リラックスして会話が楽しめるコミュニティスペースの設置などです。限られたスペースの中、企業ごとのニーズに応じてレイアウトを見直すことができる点は、大きなメリットといえるでしょう。
災害時に安全を確保しやすい
ハイブリッドワークは、災害発生時の従業員の安全確保にもつながるでしょう。たとえば、台風接近時には、自宅勤務に切り替えて危険を回避できます。出社を義務付けている場合だと、公共機関がストップし自宅に帰れない状況が生じることもあるでしょう。身の安全のために休んだ場合、業務が停滞するケースも少なくありません。必要に応じてオフィスワークとテレワークを切り替えることで、従業員の安全を確保しつつ業務を進行できる点は、ハイブリッドワークの大きなメリットだといえるでしょう。
ハイブリッドワークのデメリット
ハイブリッドワークには多くのメリットがありますが、注意すべきデメリットもあります。制度として導入する前に、きちんと把握しておきましょう。
企業側のデメリット
- 労務管理が複雑化する
- 人事評価が難しい
- テレワーク環境を整備する必要がある
企業側にとって最大の課題は、従業員の労務管理です。ハイブリッドワークは個人の裁量による部分が多いため、勤務時間の把握が難しく、長時間労働が見過ごされる可能性があります。また、実際の働き方が見えず、人事評価においても公平な判断が難しいことも懸念されます。さらに、テレワーク環境を整えるためには、従業員全員の自宅に対するネット環境の整備などが必要です。
これらの課題に対処するためには、労務管理においてはクラウド型の勤務管理システムの導入などが有効でしょう。人事評価については、ハイブリッドワークを前提にした評価基準に見直すことで、公平な人事考課が行えます。テレワーク機器の購入に関しては、助成金を活用してコストを抑えることが可能です。たとえば、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」では、中小企業がテレワークを新規導入する場合に最大200万円が支給されます。
従業員側のデメリット
- 孤独を感じる
- 長時間労働になりやすい
- キャリアが描きにくい
従業員にとっては好きな場所で仕事ができる一方で、在宅勤務比率が上がるとコミュニケーションが希薄になり孤独を感じたり、チームワークが取りづらくなったりするケースがあります。また、帰宅時間を気にしなくてよいため、長時間労働になることもあるでしょう。さらに、上司からの指示やアドバイスを受ける機会が減少し、自分の役割や企業への貢献度を実感できず、キャリアが描きにくくなることも懸念されます。
これらのデメリットを解消するためには、定期的なコミュニケーションの機会を設けることが重要です。たとえば、出社時に1対1での面談や食事会を開催することで、従業員同士のコミュニケーションやチームビルディングを促進できます。
ハイブリッドワーカーがオフィスに行く理由は「雑談」
コクヨによる調査によれば、ハイブリッドワークを導入している企業でも約6割の人がオフィスに出社していることが分かりました。従来、オフィスは「毎日の仕事場」でしたが、ハイブリッドワークの導入により「仕事をする場所のひとつ」へと変化しています。つまり、その日によって仕事をする場所を変える時代なのです。
同調査において、ハイブリッドワーカーがオフィスに行く目的として一番多かった回答は「同僚や顧客との雑談」でした。次いで2位が「面談・相談」、3位が「意思決定を必要とする会議」という結果になりました。テレワークを選択できる環境下でも、従業員が対面でのコミュニケーションを重視していることが伺えます。
オフィスワークの利点は、何気ない「雑談」からアイデアが生まれる点や、同じフロアで仕事をすることにより結束力や仲間意識が高まる点です。また、会話によって従業員同士に信頼関係が生まれ、チームワークの向上にもつながるでしょう。テレワークの導入により従業員同士の交流が少なくなった現代では、オフィスでの対面交流が再評価されているのです。
【参考】注目の「ハイブリッドワーク」に適したオフィスのあり方とは?/コクヨ
ハイブリッドワークに適したオフィスの役割・機能
コクヨは、オフィス内のコミュニケーションを、「偶発・不定期」もしくは「計画・定期的」に発生するものと、意見やアイデアを出す「動的・発散」や結果を出したり意思決定する「静的・収束」によって分けることができるとしています。
この分類に従い、オフィス内で発生するコミュニケーションを大きく4つのタイプに分類することができ、それに合わせた最適な空間づくりをコクヨは提案しています。

出典: コクヨ
より詳しい内容は「ハイブリッドワーク時代のコミュニケーションオフィスのつくり方」をダウンロードのうえ、ご確認ください。
まとめ:オフィスは「コミュニケーションの場」へ
近年注目されている、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークについてご紹介しました。従業員だけでなく企業にとってもメリットが多く、今後は新しい働き方としてますます広がりを見せるでしょう。
テレワークが増えて対人コミュニケーションが希薄になることで、より重要視されているのがオフィスの役割です。従業員の多くが出社する目的を「同僚との雑談」と答えており、オフィスをコミュニケーションの場として捉えています。つまり、オフィスの役割は「仕事の場」から「コミュニケーションの場」へとシフトしているのです。このような背景から、近年はコミュニティスペースの設置も注目されています。これを機に、オフィスのレイアウトを見直してみませんか。
*fizkes, insta_photos, Troyan, NDAB Creativity / shutterstock
【まずはここから】オフィス移転・改装・レイアウトお問い合わせはこちら